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子どもがショック受けないか…「サンタ卒業」考える?考えない?悩む親たち

  • 2021.12.19
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「サンタ卒業」は親の悩みどころ
「サンタ卒業」は親の悩みどころ

「サンタクロースは実在し、プレゼントを届けてくれる」と信じている子どもは多いようです。ある調査では、71%の子どもが「サンタの存在を信じている/信じていた」と回答したように、さまざまな調査でサンタを信じている子どもが多い結果が出ています。とはいえ、子どもがいつか、サンタの真実を知って、ショックを受ける時のことを考えると、親として悩みどころではないでしょうか。

サンタの正体を知る「サンタ卒業」について、現在、サンタを演じる親はどのように考えているのでしょうか。サンタ卒業がうまくいったケースを含め、紹介していこうと思います。

「サンタ卒業」考えていない親が多数

筆者が数人の親に聞いたところ、「サンタ卒業について、特に考えていない」と答えた親の割合が多かったです。筆者にも3歳の子どもがいますが、サンタ卒業をどのようにすればいいか、実は考えたことはありませんでした。

「自分の場合が『サンタの正体に気付いて、親を問い詰め、真実を知る』という形だったので、子どもも『サンタの正体に気付くまで、真実を伝えない』でよいと考えています。確かに、真実を知ったときはショックでしたが、心に傷を残す類いのものでもなかったので…」(41歳男性)

「娘は5歳ですが、小学校の中学年あたりから気付く子どもが多いようなので、その年齢に達する前に『サンタってお母さん?』と半信半疑で聞かれても、はぐらかすつもりでいます。正体を明かすのは、子どもが確信を持って聞いてきたらですね」(36歳女性)

「子どもは私たち大人が思っている以上に聡明(そうめい)でたくましいので、サンタ卒業を大人がお膳立てする必要はないのかなと思います。サンタの正体を知った子どもはその子なりに、その事実をそしゃくして、成長してくれるはずなので」(38歳男性)

これらの親に共通しているのは「子どものしなやかな精神に期待する」構えです。子どもがサンタ卒業をどのような形で迎えようと、それは親が介入して、ケアに当たるほどの大きなダメージは与えない…という考えが前提にあります。

ショックを受ける子どものケアも考慮

一方、サンタ卒業について、今から思いを巡らせているサンタ役の親もいます。彼らはどのような方法で卒業をサポートしようと考えているのでしょうか。

「うちの子は『サンタクロースはいない』と気付いたら、きっと、ショックを受けると思います。サンタ卒業をただショックな出来事にするのではなく、ポジティブな経験に塗り替えられればいいなと考えています。息子が学校の友達との会話の中で、サンタが実在するかどうかをどこまで話しているのかにもよりますが、もし、正体を知らないまま成長していくなら、小学3~5年生あたりで、私の口から説明するつもりです。

その時に『自分が子どもに夢を与え、喜んでもらいたくて、サンタをやっていたこと』『サンタの正体を知ったということは、一歩、大人に近づいたこと』について、丁寧に話してみたいと思っています」(32歳女性)

「サンタを演じるだけ演じて、後は子どもに任せる…というのが無責任な気がするので、私はサンタ卒業まで、しっかり面倒を見たいと思っています。といっても、よいアイデアが具体的にあるわけではありません。『来年から、サンタさん来ないかもね』と声を掛けるか、サンタの正体に気付いた息子に『大人になって子どもができたら、サンタになる時が来るかもしれないね』と声を掛けることくらいしか決めていません」(39歳男性)

子どもの夢を壊さない形でのサンタ卒業が理想的ですが、「夢を壊さないのは難しいけど、サンタ卒業はケアしたい」と考える親はサンタ卒業のショックを軽減する方向で、次善の策を検討している様子です。

サンタからの手紙作戦で成功

では、「サンタ卒業がうまくいった」と自認する人のケースを見てみましょう。

「先輩ママに教わって、娘が小学3年の時に、うちでも『サンタさんの手紙』を試しました。クリスマスプレゼントに手紙を添えたのですが、その手紙は『今年でプレゼントを渡すのは最後になります』といった内容です。娘はサンタさんから手紙が来たこと自体には驚き、喜んでいましたが寂しそうにもしていました。しかし、すぐに気持ちを切り替えたみたいで、『私もサンタさんに手紙を書く』と言って、お礼の手紙をしたためました。

そして、その手紙を枕元に置き、娘は寝ました。サンタが枕元から、手紙を持っていくのを期待したようです。早速、私が回収しておきました。翌朝、手紙がなくなったことに気付いた娘が『サンタさん読んでくれたかな…』と言うので、『手紙がなくなったってことは読んでくれたんだね』と答えました。

サンタからの手紙の感想を尋ねると『仕方ないね。大人はみんなプレゼントもらわないし、私のところにもいつか来なくなるって決まってたことだから』と大人びた回答。また、サンタが来なくなったと決まって、これまで、サンタがプレゼントしてくれた優しさに改めて気付き、感謝していました」(35歳女性)

手紙で別れを告げる方法は、サンタ卒業の方法としては比較的スタンダードなようです。他にどうにもやりようがないといった難しさもありますが、姿を決して現さないサンタが手紙でやんわりと別れを告げるアプローチは優しげで、好ましく感じられます。

今回の取材から、「親それぞれ、『サンタ卒業』の捉え方が違う」ということが分かりました。ある人は「来年から、サンタが来ないこと」をサンタ卒業とし、またある人は「子どもがサンタの正体を知って、現実を受け入れる」ことをサンタ卒業としているようです。冒頭で紹介した調査では、サンタは「『いる』ことにした方がよいと思う」と答えた親は53%、「どちらともいえない」41%、「『いない』ことにした方がよいと思う」は6%となりました。

子どもに夢を与えることはできますが、同時に子どもにうそをつくことにもなる“サンタクロースのふり”は多くの親が悩む問題でもあります。サンタが子どもにとって嫌な思い出にならないように、筆者も“卒業”まで、しっかり見守っていきたいと思いました。

フリーライター 武藤弘樹

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