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真夏の尾道。官能的なまでの美しさを愉しむ、映画『逆光』

  • 2021.12.17

俳優・須藤蓮の初監督作品『逆光』。ロケ地でもあり映画の聖地でもある尾道での先行上映が評判を呼び、映画ファンの間でじわじわ話題になっていた作品が、ついに東京で公開される。

『ワンダーウォール』『なつぞら』『いだてん〜東京オリムピック噺〜』などに出演し、2022年1月期フジテレビ系連続ドラマ『おいハンサム!!!』(主演・吉田鋼太郎)への出演も決定している俳優の須藤蓮。彼が主演・初監督を務めた映画『逆光』が、渋谷のユーロスペースで12月18日(土)から、アップリンク吉祥寺で1月7日(金)から公開される。脚本は『ジョゼと虎と魚たち』『カーネーション』を手がけた渡辺あや、音楽は『花束みたいな恋をした』『あまちゃん』などの劇伴を制作した大友良英が参加するなど、その制作陣のクレジットを見るや期待が高まる。

同作品は須藤と渡辺が共同企画・制作したオリジナル作品だ。1970年代の真夏の尾道で、三島由紀夫に傾倒する青年たちの愛憎劇。須藤演じる大学生の晃は、好意を寄せる先輩の吉岡を夏休みに実家である尾道へ招待する。幼馴染の文江や、少し変わっているみーこを含めた4人で行動するようになっていくが、吉岡を見つめる中で彼がみーこを見つめていることに気づく。若者たちに満ちる苦悩を実に官能的に描いた作品だ。

見どころは、真夏の尾道の強い日差しとクロスする、若者たちの葛藤や情熱の繊細な描写。空・海・山と自然の色が濃い、夏の尾道。そこに、70年代ならではの独特のカラーリングのファッションをした若者たち。スクリーンの中はまるで美しい写真のようで、とにかくまず「画」に惹きつけられることだろう。
画面の中に登場するのは、三島由紀夫作品に傾倒する若者たち。70年代の空気がそこには確かに描かれており、政治に対する議論や“ヒロシマ”ゆえのストーリーにハッとさせられる。

また、本作品は制作メンバーが配給やプロモーション活動に積極的に参加しているのも特徴だ。ロケ地である尾道での先行上映、その後広島・関西を経ての東京公開であり、その独特な配給にも熱がこもっている。編集部が『逆光』チームの方に取材で出会ったのは尾道での先行上映期間中だった。(https://harumari.tokyo/71351/
『逆光』に関わっている尾道の人たちの情熱に触れるたびに、この映画の話をしたくなる。そう、誰かに話したくなる映画なのだ。
東京での公開を控え、こちらも同じく制作チームがさまざまなイベントを企画している。渋谷・ユーロスペースで行われる舞台挨拶は「シリーズ化」され、テーマを設けて複数回実施される。キャストや制作チームのトークを聞けば、よりこの映画を深く楽しめるだろう。

六本木の蔦屋書店では、映画『逆光』フェアが12月31日(金)まで開催中だ。広島での上映中に広島蔦屋書店のスタッフが制作した場面写真のパネル展やコメント集など見応えたっぷりの展示が、東京に“上京”している。

映画のポスターヴィジュアルはイラストレーターのたなかみさきが担当。映画の衣装部とともに作り上げたのだという「映画を知らない人でも手に取りたくなる、ファッションとしても真剣に楽しめる」をテーマにしたグッズの展開も面白い。
映画そのものはもちろんだが、この作品は制作チームの思いや情熱を知ることでより『逆光』の世界を愉しむことができる。イベントへ足を伸ばし、真夏の尾道に思いを馳せよう。

映画『逆光』
https://gyakkofilm.com
https://www.instagram.com/gyakkofilm/Harumari Inc.
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