1. トップ
  2. おでかけ
  3. アーティスト気分が味わえるパリ滞在を、6区の新しいホテルで。

アーティスト気分が味わえるパリ滞在を、6区の新しいホテルで。

  • 2021.12.17

左岸のモンパルナス地区、地下鉄駅ヴァヴァンのすぐ近くにある「Hotel des Académies et des Arts(オテル・デザカデミー・エ・デザール)」。ホテルとしての歴史は150年近くあり、日本からやってきた画家の藤田嗣治が宿泊し、また通りに住んでいたモディリアーニがホテルの最上階にアトリエを構えていて……といった、パリのベルエポック期から20年代にかけてアーティストたちがたむろしていた地区のホテルならではのエピソードを持つ。オーナーが変わったが、芸術関係者たちの心に刻まれた名前はそのまま、この年末に新しく生まれ変わってオープンした。

19世紀の建物のオテル・デザカデミー・エ・デザール。20室の4ツ星ホテルに生まれ変わった。©️benoitlinero

各フロアに4タイプ4室があり、合計20室。ホテルが持つアーティスティックなDNAが感じられる4ツ星のブティックホテルは、“アトリエ・ホテル”と呼びたくなる。室内建築を任されたのは、南仏ジュアン・レ・パンのホテル「Le Sud」を手がけたステファニー・リゼとラファエル・ユーゴによるデュオ「Lizée-Hugo(リゼ-ユーゴ)」だ。場所にハートをプラスする仕事で知られるステファニー。このホテルでも、そのパワーを存分に発揮した。泊まりたくなるホテルが、またひとつパリに誕生である。ノーブルな素材を用い、シンプルな色を基調にまとめられた客室では、壁の上方に並んで打たれた釘が目を引く。中世の道具を鋳造する職人に特注した釘で、ここに絵画を掛ける、というイメージだそうだ。10の客室には天井いっぱいにパステルでデッサンが描かれている。フランク・ルブラリーによるもので、ベッドにごろんと寝転んで天井を眺めれば心地いい寛ぎの時間が過ごせる。また、彼は全客室の扉にもデッサンを部屋番号にあしらっていて、目にするだけで微笑みがつい浮かんでしまう。なんとも魅力あふれる仕事だ。なお、フランクは地上階のレセプションの天井にもデッサンを描き、さらにホテルが朝食などに使用するのも、彼が描いた花や鳥が陽気なヴァロリスの陶器である。

左: 20室のうち、10室は天井にパステルでデッサンが描かれている。右: イノックスのランプシェードでモダ二ティをプラス。©️benoitlinero

左: 家具はホテルのためにリゼ-ユーゴがデザイン。右: 1920年代初頭のイメージで作られたバスルーム。アメニティはビオのグロウン・アルケミストだ。©️benoitlinero

ホテルの地上階は宿泊客が自由に移動する空間としてステファニーは構成。朝食も食卓スペース、サロン、あるいはレセプションホールに配置された木のテーブルで、と好きな場所でとれる仕組みだ。さらに食卓スペースの奥にはアトリエが設けられている。絵を描いたり、デッサンしたりと宿泊客が自由に活用できるスペースだ。また、レセプションホールには長いカウンターが設置されていて、午後にはここで自己申告制のオネスティ・スイーツ・バーが開催される。おいしそうな焼き菓子の数々は、17区のケヴィン・ラコットのパティスリーKLから。オネスティ・バーは宿泊客以外も歓迎とか。

朝食は1階フロアのどこでとってもOK。©️benoitlinero

左: ビュッフェスタイルの朝食。右: お皿にはフランク・ルブラリーのデッサンが。モチーフは複数あり、販売もしている。プレート Φ25cm 55ユーロ、大皿 Φ28cm 65ユーロ、カラフェ 40ユーロphotos:Mariko Omura

左: サロン。ここでも朝食がとれる。右: ステファニー・リゼとラファエル・ユーゴのデュオ。©️benoitlinero

1階奥、アトリエが設けられている。©️benoitlinero

左: 長いカウンターは左半分がレセプション、右半分がバー。右: KLパティスリーのスイーツを午後のオネスティ・バーで。©️benoitlinero

ホテルは若いアーティストたちのメセナ活動にも積極的で、たとえばマキシミリアン・ペレにエントランスのカラフルな陶製の壁を依頼し、また客室内の壁やパブリックスペースを飾るシャルロット・キュロやキャロリーヌ・ルズールなどの作品は購入可能というように。アートとの関わりとして、お向かいの有名なアカデミー・ドゥ・ラ・グランド・ショミエールともホテルはコラボレーション。ここで1日1回開催されるモデルのデッサン講習会に参加(20ユーロ)できたり、あるいはアカデミーの講師の個人指導を受けられたり。詳細はレセプションにて。ホテルとは関係がないが、画材屋の「Sennelier(セヌリエ)」も同じ通りにあるので覗いてみよう。

左: 入り口のセラミック。右: ホテル内で若手アーティストの作品を展示。たとえばシャルロット・キュロのグアッシュ&コラージュ。左は2,600ユーロ、右は1,400ユーロ。©️benoitlinero

アカデミー・ドゥ・ラ・グランド・ショミエールのアトリエで、ポートレートあるいは裸婦のデッサンにトライ!photo:Mariko Omura

Hotel des Académies et des Arts15, rue de la Grande Chaumière75006 ParisTel 01 43 26 66 44www.hoteldesacademies.fr

元記事で読む
の記事をもっとみる