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医師に聞いた!急増する「コロナうつ」の症状と見分け方とは?

  • 2021.12.16
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「コロナうつ」という単語が広まってはや数カ月。コロナ禍での日常生活や仕事の変化から、心身の不調を感じる人が増えているそう。今回は、急増する「コロナうつ」について、「たけつな小児科クリニック」の竹綱庸仁先生に話を聞きました。

コロナうつの主な症状を教えて下さい

まず、うつがなぜ引き起こされるのかという点についてお話しします。うつは、さまざまな不安が慢性的に持続することにより、二次的に引き起こされる状態です。医学的には「コロナうつ」と言う用語はなく、新型コロナウイルスの感染により生まれた造語です。新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年3月の時点では、短期で新型コロナウイルスの感染は落ち着くだろうとの見方もあり、自宅でのテレワークや外出を控えるなど、日常生活の制限がかかったとしても、うつを発症することは多くありませんでした。しかし、感染者数の増加や、緊急事態宣言の延長により、社会の先行きが不安になるにつれ、GWを境に新型コロナウイルス感染が引き金となりうつとなる、いわゆる「コロナうつ」の患者数は増加した印象があります。うつの主な症状としては、やる気が起こらない、眠りが浅い、早朝に目覚めてしまう、食欲がない、さらに食欲がなくなることによる体重減少などがあります。ただし、これらの症状は新型コロナウイルスの感染症によりうつになってしまう場合と、新型コロナウイルスの感染症以外が要因となりうつとなる場合とで、症状の差はほとんどありません。

一般的なうつと「コロナうつ」の見分け方を教えて下さい

結論から言うと、新型コロナウイルス感染症以外の原因で発症するうつ(一般的なうつ)と新型コロナウイルス感染症により引き起こされたうつ(コロナうつ)について、両者を症状からはっきり見分けることは非常に難しいです。

なぜなら、一言でうつといっても、うつには様々な状態があり、自身が「うつ状態」なのか、「うつ病」なのかという点でも異なるからです。詳しく説明すると、うつ状態とは、自分自身が気分が乗っていないなどの症状を自覚している状態に対して、うつ病は自分自身が気がめいっていることや食欲が減っていることなどを認識できていない状態です。うつ状態であれば、自分自身がある程度の原因を自覚し、原因を解決することによってうつ状態から回復することができる場合もあります。しかし、うつ病の場合は、自分自身が自覚症状がないため、家族や友達、ときには医師など、他人がうつ病の原因を考える必要があり、時間を要する場合も多々あります。

話はそれてしまいましたが、一般的なうつとコロナうつになった際に大事なことは、新型コロナウイルスの感染が原因かどうかということ以上に、うつになった原因をしっかり見極めることです。

自分や周りの人が「コロナうつ」なのかを見極めるポイントを教えて下さい

人の感情に浮き沈みは必ずあります。感情が沈んでいる状態で、仕事や日常生活に弊害が出た際には、少なくともうつ状態になっていると考えて差し支えないと思います。

新型コロナウイルスの感染が拡大する以前は、通常、朝から出社し、ときには会議を行い、仕事でたまったストレスを発散するため、運動したり、カラオケに行ったり、飲みに行ったり、友達とお茶をしたり、人は少なからず、ストレスをためない行動をしてきました。ところが、2020年の3月から新型コロナウイルスの感染が拡大し、日常生活が一変し、今まで普通であったことに制限がかかってしまい、うまくストレスを発散することができなくなったことがコロナうつの最大の原因です。

さらに、(1)日本のみならず、世界中の感染者数が増加し、新型コロナウイルスの感染がいつ収束するのかという不安、(2)緊急事態宣言が発令されており、いつまで社会的制限がかかるのかという不安、(3)社会的制限がかかることにより、他人との接触機会が減り、孤独感を持つようになる、(4)さらに、職種によっては、仕事をすることすら制限され、その結果、経済的に不安となる、といった複数の不安要因がコロナうつを発症させます。さらに、その要因が悪循環となり、結果的にコロナうつになる方が増加していきます。したがって、悪循環を作らない、そして、ストレスがかかったと感じたら、自身のストレス解消法で悪循環を断ち切ることが大切です。

コロナうつの治療法を教えて下さい

コロナうつに限らず、ストレスを発散するということはうつ状態の方にとって、誰もが簡単にできる非常に有効な手段となります。ストレスの発散方法は人それぞれなので、運動をする、映画や音楽を鑑賞する、友達と話すなど、自分に合った方法でストレスを発散するとよいでしょう。

対して、うつ状態で最もやってはいけないことは「がんばる」ということです。目標に対し、がんばった結果、いい結果が出なかった場合に、自己嫌悪感が増加し、うつをより悪化させてしまう可能性があります。したがって、目標に対し、「がんばる」ということより、むしろ「がんばらない」、「スローライフ」を心がけることにより、うつの悪化は防ぐことが可能となります。まだうつ状態であれば、自身の日常生活のちょっとした変化で、うつ状態から回復することもありますが、うつ病まで進行してしまうと、生活の変化だけでは改善が難しく、医師に相談し、場合によっては、薬を服用し、治療をする必要があります。なんとなく気分が重くなる状態がある程度続いた場合は、周囲の人に相談するか、医療機関への受診をした方がよいでしょう。

その他、何かアドバイスがありましたら教えて下さい

2021年3月から医療従事者、高齢者を対象とした、新型コロナウイルスのワクチン接種が開始されました。国民の8割近い方が接種をした効果もあり、国内の新型コロナウイルスの感染は下火となり、感染者の減少に伴い、重症化する方も減少してきています。しかし、新型コロナウイルス感染症が消滅したわけではなく、私たちが1年以上継続してきたマスクの着用や、手指消毒など、個々でできる感染予防策を今後も継続することは非常に大切だと考えます。新型コロナウイルスが原因で発症するうつを予防するためにも、まずは感染者を増加させないことを第一に考え、自分のストレスを溜めないように、通常のストレスの発散方法以外にも、生活に制限がかかった際にできるストレス発散方法を、感染の落ち着いている「今」だからこそ発見していくことが大事だと考えます。

教えてくれたのは

たけつな小児科クリニック 竹綱庸仁先生

2004年、愛知医科大学医学部卒業。同大学で臨床研修終了後、小児科に入局。2013年、奈良県の病院で小児科の立ち上げに従事。2017年、たけつな小児科クリニックを開設。「すべては子どもたちのために」をモットーに、一般的な疾患からてんかんなどの神経疾患、食物アレルギーや喘息、日本でも数少ない小児頭痛を専門とするなど幅広い診療を行う。現在は病児保育室バンビを運営する他、言語発達遅延の子どもに言語訓練を行う児童発達支援施設「のびいく」を運営している。

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