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「私はいったい〜」李闘士男監督、山場はなくていい「その人を好きになれば、見続けられます」

  • 2021.12.15
李闘士男監督
李闘士男監督

映画「私はいったい、何と闘っているのか」でメガホンを取る李闘士男監督。同作は、地元密着型スーパーで働く45歳の伊澤春男(安田顕さん)は勤続25年にして万年主任ですが、店長の「春男はこの店の司令塔」という言葉にやる気をかき立てられています。店長昇格のために頑張る春男ですが…お笑い芸人・つぶやきシローさんの同名小説の映画化です。

オトナンサー編集部では、李監督にインタビューを実施。山場の工夫や安田さんへのリクエストなどについて聞きました。

人がいとおしく見えるシーンを

Q.作品の山場の工夫はどのようにされましたか。

李監督(以下敬称略)「山場っていう考え方自体がゲームシナリオの発想だと思います。その見方は正しいとも間違っているとも思いません。映画のシナリオの作り方もゲーム化しています。その方が飽きないし、楽しいのは分かっています。

でも、事件のような派手な盛り上がりがないのに、人がいとおしく見えるシーンもすてきだと思います。山場論だと、事件を起こすことになるじゃないですか。それ以外のやり方だと、登場人物に共感していけるかどうかになります。共感できると、山場がなくても見ていけます。

山場という考え方をせず、春男やスーパーのスタッフたちのおかしさに興味を持ってもらえるかということは考えました。大きな山場がなくても、その人を好きになれば、見続けられます。僕はそう考えています」

Q.春男を作るに当たって、共通認識を安田さんと持たれましたか。

李「こうやったら面白いだろうなと思ってやるのではなく、真面目にやってほしいと言いました。見ている人は面白いと思っても、本人は真面目で、面白いと思ってやっているわけではありません。僕がコメディーをやるときの大前提はそれです。

春男の場合はセリフとモノローグを分けました。モノローグが春男の本音で、セリフは建前です。本音と建前の振り幅が大きいほど楽しいんだから、そのギャップを大きくしましょうと話しました。コメディー作品はモノローグを多用することが多いです」

Q.安田さんにリクエストしたことはありますか。

李「先ほど話したことと重複しますが、面白くしようとせず真面目にやってください、でも、あまり暗く演じないでくださいと言いました。映画の冒頭は少し、音楽を大きめにしています。最初の芝居が暗く感じたので、音楽を大きめに使って、楽しい雰囲気を演出しました」

Q.コメディーを撮っているときは楽しいですか。

李「人生がしんどいので、映画くらい楽しい方がいいと思っています。コメディーが好きというより、そこに救いを求めています。人が好きなので、人をチャーミングに撮りたいです」

Q.役の説明は毎回、俳優さんにされるのでしょうか。

李「具体的に言うときと言わないときがあります。役は監督と役者が作り上げるものなので、こうした方が面白いんじゃないかと話し合います」

Q.上映時間2時間以下にしたいと資料にありましたが、何か理由があるのでしょうか。

李「単純にトイレに行きたくなるからです(笑)2時間を超える映画はそれだけで、見に行くのが嫌になります。何を考えて、そんな長い尺にしたんだと思います。2時間を超える大作はほとんど見ません。インド映画は3時間を超えますが、インターミッションがあるので見ることもあります(笑)」

映画「私はいったい、何と闘っているのか」は12月17日から全国公開。

オトナンサー編集部

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