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映画『街の上で』:やさしい気持ちになれる、心がふっと温かくなる珠玉の名作選 Vol.23

  • 2021.12.15
映画『街の上で』

たわいもない恋バナから広がるゆるやかな理解と共感

今泉力哉監督は、“空気”という目に見えないものを撮るのがうまい映画作家だ。

中でもよくできているのが本作の後半、主人公が出会って間もない女の子と家でひたすら恋バナをする長回しのシーン。お互い徐々に、相手が背負っている関係性や、自分に話してくれる物語に共感していく空気感が、セリフや会話のテンポ、役者の口調や表情などからうまく映像に表れている。

恋心や下心とは別物の、やさしい空気が2人の間にフェードインしてくる感覚。テレパシーみたいに心が通い合うゆるやかな共感も、やさしさなのだと気づかされる。

談・佐々木敦

Information

映画『街の上で』

『街の上で』

下北沢を舞台に、古着屋で働く青年・荒川青と4人の女性との出会いと交流を描いた群像劇。監督:今泉力哉/出演:若葉竜也、穂志もえか、中田青渚、成田凌(友情出演)ほか/公開中。
©「街の上で」フィルムパートナーズ

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