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彼はなぜ私を束縛する?彼氏や夫の束縛への対処法【ひとみしょうの男ってじつは】

  • 2021.12.12
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相手を束縛する人は寂しい人です。つねに「なんか寂しい」と感じている人です。と、キルケゴール「心理学」は言います。

今回は、キルケゴール「心理学」をもとに、彼女や奥さんを束縛する男性心理と、その対処法について一緒に見ていきたいと思います。

「永遠」を隠しているから寂しいのです

相手を束縛する人は、彼女や奥さんがいても「なんか寂しい」と思っています。彼女や奥さんのことが嫌いだからそう思っているのではありません。本人も理由がわからないのです。

理由はわからないけれど、なんか寂しい。仕事が100%イヤなわけではないけれど、なんかやりがいを感じない。同僚のことが嫌いではないけど、なんか孤独だ……。わけもなくそういった気持ちを持っています。

では、なぜ「なんか寂しい」「なんか孤独だ」と感じるのでしょうか。

この問いについて、キルケゴール「心理学」は、自分の心の中にある「永遠」に気づいていないからだ、と言います。

自分の心の中にある永遠とは「それに気づいてしまうとまともな社会人でいられなくなる問題」です。

たとえば「なぜ死んではいけなのか?」という死の問題。あるいは、同じことですが、「なぜ自分は生きているのだろう」という生の問題。

はたまた、「なんか寂しい」とは何か?という、とらえどころのない心の問題。

そういった問題について、私たちは真剣に考えませんよね。

真剣に考えたら、仕事に行くのがバカらしくなるから。パートナーが「ふつう」に暮らしている傍らで生や死の問題を考えていたら、「今ここ」という感覚が遠のいて、パートナーに失礼だから。

女性もじつは同じです

このことは男女に共通することです。

女性の中にだって、相手を激しく束縛する人がいますね。激しく、ではなく、マイルドに束縛する人もいますね。たとえば、彼氏が寝た後、彼氏の右手の親指をこっそり使って彼氏のスマホのロックを解除して、彼氏のLINEをくまなくチェックする人とか。

そういう人は、彼氏がいても、なんか寂しいとつねに思っている人です。

なぜそう思うのかと言えば、「永遠」に蓋をしてしまって見ないふりをしているからです。

誰だって子供の頃か、思春期に生や死の問題について、一度は真剣に考えたことがあるはずです。どんなに美人でモテモテだった女子であっても、どんなにイケメンで女子に不自由しなかった男子であっても、なんらかのきっかけで、一度は生と死の問題を真剣に考えたことがあるはずです。

そのあとは……?

そんな問題にかかずらっていると受験勉強がおろそかになって「落伍者」になってしまう。就活に失敗して「落伍者」になってしまう。「暗い子」と思われていじめられてしまう……。そういった心配が先立って、生と死の問題、つまり永遠を置き去りにしてきたはずです。

だからみなさん、「なんか寂しい」のです。

だから、相手のことを束縛するのです。

母のイデア

というのが、男女に共通することですが、男性の場合はこれに「母のイデア」が加わります。

母のイデアとは、自分の母親を基準として生まれた「理想の女性像」のことです。

たとえば、母親があまり子をかまわなかった場合、子は「よくかまってくれる女性」を「理想の女性像」として胸に抱くようになります。

反対に、母親が過保護だった場合は、さっぱりした男前の女性こそが理想だと思うようになります。

彼女や奥さんを束縛する男性とは、「自分のことを四六時中かまってくれる女性」を母のイデアとして、すなわち理想の女性像として持っています。

だから、その理想像と外れたことを彼女や奥さんがした場合、彼は束縛するのです。「ぼくの理想の女性でい続けてほしい」と思って。

「なんか寂しい」を消す方法

男性にとっての母のイデアは、もう死ぬまでついてまわる「まぼろし」です。そんな理想の女性なんていないと、本人はわかっているんです。イデアってこの世に存在しないものの総称だから。

でも、なぜか、つい、ふと、探し求めてしまうのです。

それは、もしかしたら、女性にとっての理想の男性像、すなわち「父のイデア」も同じかもしれません。

なので、イデアはさておくとして、「なんか寂しい」という感情はどう消せばいいのか?

答えは1つです。

あの日あの時置き去りにした「永遠」についてよく考え、自分なりの答えを出すべきだ、というのが答えです。

思い返すに、私たちは中高生の頃、本当に「いいこと」をたくさん考えてきました。考えたという自覚のない人であっても「死ってなんだろう」とか「私はなぜ私なのだろう」などと考えてきたはずです。それが思春期というものだから。

その問いにかかずらっていると、現実の世の中に取り残されてしまう……わけですが、でも、少しずつでもいいので、永遠に答えを与えていかないと、「なんか寂しい」という感情は消えてなくなってくれないのです。

というようなことを、キルケゴール「心理学」は私たちに伝えています。

※参考 拙著『自分を愛する方法』玄文社(2020)

(ひとみしょう/作家・キルケゴール協会会員)

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