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家入レオ「言葉は目に見えないファッション」vol.43巡り巡って

  • 2021.12.10

クォーター・ライフ・クライシス。それは、人生の4分の1を過ぎた20代後半〜30代前半のころに訪れがちな、幸福の低迷期を表す言葉だ。26歳の家入レオさんもそれを実感し、揺らいでいる。「自分をごまかさないで、正直に生きたい」家入さん自身が今感じる心の内面を丁寧にすくった連載エッセイ。前回はvol.42私の普通と当たり前

vol.43巡り巡って

マットレスの上で太陽礼拝のポーズをとりながら自分の身体と対話していく。睡眠時間が短かったり、お酒を飲んだ翌日は筋肉がかたい。反対に夕食を軽く済ませたり、しっかりめに湯船に浸かった次の日はウォーミングアップもスムーズに行える。今年に入ってはじめたヨガを毎朝の習慣にしたことで些細な身体の声や心の動きに気づけるようになった。鼻呼吸を繰り返しながらお尻を高く上げダウンドック。膝をしっかり伸ばしかかとを床につけることを意識すると脹脛の裏に心地いいストレッチがかかり、肩甲骨が開いていく。ふと、あっ風通しの良いことをしよう、と思った。軽く筋トレをした後、掃除機をかけ洗面所の鏡を磨き洗濯物を干す。帰り時間が読めなかったけど、あまりにも良い天気だったのでやっぱり羽毛布団と毛布も干しちゃおー、とベランダに。午前中で1日の大半のことをやり終えたような気持ちでウォークインクローゼットを開け、さっぱりした格好で少し早めに家を出た。

面白いことないかなー良いことないかなーって思ったら、私の中でそれは循環のタイミング。自分が持っているものをちゃんと手放して、次の何かが入ってくるスペース作りをしたり、その面白いこと良いことの作り手になっちゃおうって計画したり。例えばテイストが合わなくなってきた洋服を欲しいと言ってくれる人にあげたり、お世話になっている人にちょっとしたプレゼントを送ったり、差し入れを買って現場に行ったり。

海外に行った時、チップ文化に感じるものがあって。物価は高いし、比較的リーズナブルだと思って入ったお店もチップ代を含めて考えるとそこそこの金額になったりして最初の数日は慣れなかったけど。自分が持っていたものが、感謝を持って誰かに渡って、またそれが誰かに渡って、って循環して行く大きな流れが最終的にはまたちゃんと自分に繋がって行くんだなぁってことがすごく立体的に理解できた。前までは、募金や寄付が完璧に純粋なものじゃないとダメな気がしていた。最後には自分に繋がって来る、なんて想いが胸の底に少しでもチラつこうものなら、それは偽善だ、ってきっと自分を責めてた。だけど、巡り巡って自分も笑顔になれる、ということの何が悪いことなんだろう?と今は思う。コンビニのレジ横にある募金箱に心ばかりお金を入れたり、駅前で托鉢修行をしてらっしゃるお坊さんに心ばかりのお布施をしたり。微力でも支えられたら、何かの足しにしてもらえたらって、そう思う気持ちに完璧も嘘もない。そして巡り巡っていつか自分が困った時に見えない何かが必ず力を貸してくれると思う。

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