ある数がある数より大きい、あるいは小さいことを、数学の世界では「不等式」で表しています。
例えば「5>3」は「5は3より大きい」という意味です。
「>」は不等号と呼ばれる記号で、大きい数の方には、不等号の口が開いた方が向けられています。一目で数の関係性が分かりますね。
では、この不等式の中に「X」という文字が入っていたらどうすればよいでしょうか?
今回は、この「X」を求める問題に挑戦です。
2X>3X+10 を解いてみましょう!
答え
不等式の問題を解く手順は、方程式を解く場合と似ています。
ただし不等式の場合は、計算の途中で不等号の向きが変わることがあります。この点に注意して式を解いていくのがポイントです。
不等号の向きが変わる条件は何だったか、覚えていますか。
それでは答えを発表します。
正解は
X<-10 でした!
解説
不等式には、以下の性質があります。
a>bのとき
・a+c>b+c
・a-c>b-c
a>bの両辺に同じ数を足しても引いても、不等号の向きは変わりません。
a>bの両辺からbを引くと
a-b>b-b
a-b>0
と書き換えられ、a>bと見比べるとbの符号が変わり右辺から左辺に移動されていることがわかります。この式の変形を「移項」といいましたね。
続いて同じ数を掛けた場合、同じ数で割った場合を見てみましょう。
a>b, c>0のとき
・ac>bc
・a/c>b/c
正の数であるcを両辺に掛ける、あるいはcで両辺を割る場合は、不等号の向きは変わりません。
注意したいのは、以下の場合です。
a>b, c<0のとき
・ac<bc
・a/c<b/c
aとbの大小関係が逆になってしまいました。不等式の両辺に負の数を掛ける、あるいは両辺を負の数で割る場合は不等号の向きが逆になるのです。
これを踏まえて、今回の問題を解いてみましょう。
2X>3X+10
2X-3X>10
-X>10
X<-10
最後の式は、両辺に -1 を掛けたので不等号の向きが逆になっています。
まとめ
不等式の性質は覚えていたでしょうか。
不等式を解く手順は方程式に似ていますが、両辺に負の数を掛けるとき、または負の数で割るときには符号の向きが変わってしまいます。符号の向き1つで意味が全く違ってくるので、十分気を付けたいですね。
ライター:veyu
通信制大学にて高校数学教員免許を取得。数検2級にも合格している「数学が趣味の人」。現在は学習ボランティアを通して子どもたちに数学を教えています。算数や数学の問題に潜む「解ける快感」を一人でも多くの人に味わってほしいです。
編集:TRILLニュース