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俳優・岡田将生が語る、演じること。役柄の“欠けている部分”ほど愛おしい

  • 2021.11.24
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岡田将生

「ずっと働いていたいタイプなんです」との言葉の通り、デビューして15年、今年だけでも映画5本、ドラマ3作品、舞台2本と意欲的に作品に出演している。

「自分にはまだまだ経験が足りていないというのが今の正直な気持ちです。元来一つのところに留まりたくない性分ですが、コロナ禍で一度立ち止まったことで改めて、様々な現場を踏んで、監督をはじめ良いもの作りをする人たちとこれからもたくさん出会いたいと思うようになりました」

今回岡田さんが主演を務めた映画『聖地X』は、すべてのシーンを韓国で撮影。韓国の映画界では、週の撮影時間を52時間以内に抑える「標準労働契約」という制度が適用されている。そのルールのもと、日韓のスタッフが入り交じっての撮影現場となった。

「限られた撮影時間で入江悠監督は苦労があったと思うのですが、皆で集中力を持って取り組めた良い現場でした。全員で同じ時間に温かい食事をとる習慣も含めて、万全な状態で撮影に臨める環境が整っていたのはありがたかったです。監督ともたくさん話ができて、映画に対する姿勢に共感を覚えました」

「最近ますます演じることが面白くなってきています」という彼に、その訳を尋ねた。

役に尽くし、自由に演じる。

「自分の役に純粋に尽くすために、自分自身ができるだけ先入観なくフラットでありたい。戦場に丸腰で臨むようで怖いことだけれど、その恐怖心を乗り越えた先に突然何かが生まれる瞬間があります。それはとても不思議な体験で、映像に映し出されるときもあれば、監督が目撃していたり、役者同士でわかり合う瞬間もある。役が体に染みついていれば、気持ちが赴くままに自由に動けばいいのだと最近やっと思えるようになりました」

今回の主人公・輝夫役をはじめ、ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』の慎森役や映画『ドライブ・マイ・カー』の高槻役など曲者を演じる機会が続き、見事に演じ切った。演じながら役柄に自分との共通点を見出すことがあるか尋ねてみると「僕自身、少し変なところがあるのかもしれないですね」と笑う。

「人間は足りない部分があって当たり前。他人と関わり合うなかでそれが露呈したときにこそ、“相手を深く知れた”と感じたりします。人間関係とは互いを補うためにあるはずなので、僕は人の欠けている部分を愛したい。だからそういう役柄に惹かれるし、大切に演じているのだと思います」

profile

岡田将生

おかだ・まさき/1989年東京都生まれ。2006年デビュー。ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』や映画『ドライブ・マイ・カー』など話題作への出演が続き、12月には舞台『ガラスの動物園』が控える。

Information

『聖地X』

監督・脚本:入江悠/原作:前川知大『聖地X』/出演:岡田将生、川口春奈ほか/劇作家・演出家の前川知大が主宰する劇団〈イキウメ〉の人気舞台を、入江監督が映画化。オール韓国ロケで臨んだ現場では、日韓スタッフが共同製作を行った。結婚生活に嫌気がさした要は、韓国で暮らす兄・輝夫を訪ねる。不気味な土地に足を踏み入れてしまった2人に惨劇が降りかかる“ホラー映画”でありながら、笑いありの新感覚エンターテインメントに仕上がっている。11月19日、劇場・配信同時公開。

©2021「聖地X」製作委員会

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