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医師が解説!「金縛り」はなぜ起こるの?

  • 2021.11.22
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早朝に目が覚めた。全部見えるし、聴こえるし、息も吸える。でも、体が全然動かない。四肢は凍ったようにカチカチで、頭は重く、つま先さえ動かせない。数分たって、気が狂いそうと思った瞬間、体が動くようになる。

ちょっと怖い話でしょう? でも、これが金縛り。金縛りは、眠りに落ちる直前(入眠時)や目が覚める直前(出眠時)に、体を動かしたり話したりすることが一切できなくなること。決して珍しい現象ではなく、成人の約半数が一度は金縛りを経験しているとか。詳しく見ていこう。

金縛りになる理由

金縛りの主要なリスク要因の1つは寝不足(アメリカ人の約35%は常に寝不足)。「金縛りになりやすいのは寝不足の人ですね」と話すのは、睡眠専門サイト『The Sleep Doctor』設立者のマイケル・ブレウス博士。例えば学生、睡眠の質を下げる薬を服用中の精神病患者、ママになりたての人。でも、リスクが一番高いのは、ナルコレプシー(極度の疲労と日中の眠気をもたらす疾患)の人。

金縛りの正体

米睡眠障害研究所『Sleep Disorder Institute』のエクゼクティブ・ディレクター、ゲイリー・ザミット博士によると、人体には3種類の筋肉ー心筋(心臓の筋肉)、平滑筋(不随意に動く内臓の筋肉)、骨格筋(心筋と平滑筋では動かせない四肢などを動かす筋肉)がある。金縛りで動かなくなるのは骨格筋。心筋と平滑筋は動くので、体の中は正常運転。

真夜中に目が覚めて体が動かなくなることもあるけれど、金縛りが一番起こりやすいのは朝、目が覚める直前。これは通常、レム睡眠(夢を見る睡眠のステージ)に入っているとき。「レム睡眠中は体がマヒするようになっています。そうしないと、夢の中でしている動きを実際にしてしまいますからね」とブレウス博士。「レム睡眠中で、体はまだマヒしているのに、脳は起きている状態が金縛りです」

金縛り中の幻覚

金縛り中に、鮮明かつ恐ろしい幻覚を見る人がいる。これは、入眠時でも出眠時でも起こり得ること。幻覚の内容は人によって異なるけれど、一番多いのは、誰かに見られているような感覚、ベッドから引きずり出されるような感覚、誰かが胸の上に乗っているような感覚。このような幻覚によって、金縛りが悪化することはない。ただ格段に怖くなるだけ。

金縛りは、どのくらい続く?

どんなに怖くても、金縛りは15秒から数分で終わる。だから、パニックを起こすのは極力避けて。「不安になればなるほど、金縛りは長く感じられます」とブレウス博士。「呼吸とまばたきが可能な限り、マヒは一時的なもの。もっと寝る必要があるというサインに過ぎません」。今夜は早くベッドに入ろう。

金縛りは深刻な病気?

多くの場合、金縛りは、あまり眠れない夜や徹夜が続いたときにだけ起こるもの。危険なものでも、特に心配するようなことでもないけれど、ブレウス博士いわく、週に2回以上起こる場合は神経科医か睡眠スペシャリストに相談するべき。金縛りの診断を下すための検査はない。でも、医師と話せば、その原因が見えてくるはず。対策として三環系抗うつ剤を飲む人もいるけれど、金縛りを防ぐには、質の高い睡眠の時間を増やすのがベスト。

子供が眠らないときも、金縛りを疑って。ブレウス博士が言うように、ナルコレプシーの症状は10代に入るまで現れないことが多いので、子供が金縛りに似た感覚を訴えるなら診察を受けさせよう。

一緒に寝ている人が金縛りを発症したら? ザミット博士の話では、誰かに触られた瞬間、金縛りが終わるケースもあるみたい。パートナーに手を差し伸べて、怖い呪いを解いてあげよう。

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Mallory Creveling Translation: Ai Igamoto

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