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いながきの駄菓子屋探訪70・100均から駄菓子屋になった「あ~るじゃん」

  • 2021.11.20
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全国約400軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は北海道江別市の「あ~るじゃん」です。

札幌郊外の住宅地にある目立つ店

札幌市の東側にあり、北広島市や千歳市などとともに、札幌都市圏を形成する江別市。実際に行ってみると、幹線道路沿いにたくさんの大手チェーン店が立ち並び、石狩川のそばまで住宅街が続く、穏やかな郊外の街でした(石狩川を越えると急に広大な農地)。住宅街には駄菓子屋がつきもの。JR野幌駅の近くに駄菓子屋があるという情報を見つけたので、訪ねてみました。

国道12号線、野幌町の交差点を野幌駅方面に曲がってすぐのところにある、サーモンピンク色の建物。1階に「だがしや あ~るじゃん」という看板がかかっているお店があり、ひと目でそれとわかりました。「だがしや」と書かれた、日除けになっている大きな暖簾も印象的です。

店主が作った手芸品も販売

店内は見通しが良く、中央が低め、壁側は高めという棚の配置。レジカウンターから全体を見渡せる、考えられた構成です。陳列もきれいに整っていて、駄菓子屋っぽいごちゃつきがありません。どんぐりガムの空き容器を再利用した棚は、なんと11段積み! これまで見てきたこの陳列方法のお店の中では、ナンバーワンの高さです。

特徴的なのは、店主が作った帽子や服、手芸品が販売されている点。「ただの趣味です(笑)」とのことでしたが、年代物の足踏みミシンは完璧に手入れされていてピカピカ。よく切れそうなハサミや、使い込まれた小道具からも、趣味にとどまらない、職人の気質を感じました。

100円ショップとして創業、子どもの声をきっかけに駄菓子屋に

あ~るじゃんは平成2年(1990年)ごろ、当時はまだ珍しかった100円ショップとして創業。その後クリーニング店兼駄菓子屋に転業し、現在は駄菓子屋兼、店主が趣味に没頭できる作業場になっているそうです。店名は、「ここにお店があるじゃん」という言葉が由来とのこと。

駄菓子を置き始めたきっかけは、100均時代に来店した近所の男の子。「お菓子も置いてあったらいいのに」という何気ない一言にピンときて、検討し始めたんだそうです。男の子はもう大人になっていますが、人生を変えてくれたお客さんとして、今でも付き合いがあるんだとか。

子どもたちや地域社会への店主の思い

「長いこと店をやってますけど、30年で子どもたちの様子がずいぶん変わったなと感じます。計算ができないとか、一人で買い物に来られないとか。悪いほうの変化が目立っちゃうね(笑)。でも、そういう細かい部分の積み重ねが、街全体の人の質を作ってると思うんです。だから、江別が良い街であり続けられるように、子どもたちには駄菓子屋を通じて『がんばって!』と言い続けたいです」

電卓を子どもに向けたまま逆側から打っていき、金額をひとつひとつ伝えながら会計する店主。その姿に、子どもたち、そしてその向こう側にある地域社会への思いが垣間見えました。あ〜るじゃんは、買い物を通じて教養を与えてくれる場所。信頼は厚く、子どもから大人まで、幅広い層が絶えず来店するにぎやかなお店でした。

あ~るじゃん

住所:北海道江別市野幌町27-1旭通りシャトウヨシダ1階

電話:011-382-7721

営業時間:12:00〜18:00

定休日:日・祝

[All photos by Atsushi Miyanaga]

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