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人を観るか、作品を観るか? 「エリザベート」と「七月大歌舞伎」

  • 2015.7.28
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7月後半、宝塚歌劇の観劇はちょっとお休み。観に行ったのは、帝劇で上演されているミュージカル「エリザベート」と七月大歌舞伎「南総里見八犬伝」「与話情浮名横櫛」「蜘蛛糸梓弦」。一般的に、宝塚歌劇は人を観に行く、つまりタカラジェンヌさんたちの成長や活躍、あるいはかつての名作を、この人が演じるとこうなる。この組が演じるとこうなる、という、いい意味での意外性や発見を観に行くという感じがします。私たちファンは、演目の発表があったときから、「あの役は○○ちゃんが合いそう」というように配役を予想したり、あるいはまだ演目発表もされていないのに「○組であの作品をやってほしい」などと妄想(笑)。そんな他愛ない想像が楽しく、宝塚歌劇の魅力は、舞台の上だけにあるわけではない、という気がします。

そういった意味でも、歌舞伎は宝塚歌劇に似ています。今回の「与話情浮名横櫛」は、一目惚れから始まった男女の恋の顛末を描いた世話物。「しがねえ恋が情けの仇」などの名台詞もある名作の一つですが、小悪党の与三郎を演じるのは市川海老蔵さん。お富を演じるのは坂東玉三郎さん。この二人のお姿を拝見するために観た、という感じもありました。湯上がりの髪や肌を整えるお富さんの仕草、少し崩したような姿態は、たおやかな色香にあふれていて、オペラグラスで見入ってしまいました。与太郎も、小悪党とはいえ、今でいうところのプレイボーイ。粋で洒脱な空気感を所作と表情で表していました。お衣装の早変わりがあり、蜘蛛の糸に見立てた小道具を存分に使う「蜘蛛糸梓弦」は、市川猿之助さんが大奮闘。こういったアクション系の歌舞伎は、やっぱり楽しいなぁと改めて思いました。

そして「エリザベート」は、宝塚歌劇でも幾度も上演されている作品。演出は、宝塚歌劇でも活躍されている小池修一郎先生。ですが、この東宝版は、よりリアリティあふれる力強い作品になっていて、ファンタジックにまとめられた宝塚歌劇版とはまた違った味わいがあります。特に私は、黄泉の帝王、トートを初めて演じる井上芳男さんを観たくって。オーストリア皇后のエリザベートもWキャストですが、私は"永遠のザ・娘役"花總まりさんを拝見したく。女優さんに年齢のことをいっては失礼ですが、年月の経過をまったく感じさせない透明感と美しさは圧巻! こういう方がエリザベートを演じると、とても説得力がありますね。そして、もう一人、私のお目当ては、京本大我さんが演じるルドルフ! ジャニーズJr.に所属し、俳優の京本政樹さんを父に持つ大我クンですが、リアルな男の子とは思えない繊細な美しさがあり、神経質で気弱なルドルフにぴったり。宝塚歌劇にはない新しい楽曲や演出も加えられ、より深みを増したエリザベートの世界に酔いしれましたが、今回はひときわ"人を観に行った"という感じもします。

さて、猛暑だったり気圧の変化があったりで、体調を崩している人も多い昨今。私もなんだか疲れがとれず、だるくていまひとつモチベーションも上がらず......という感じだったのですが、夏前から朝、Eテレで放映している「みんなの体操」に合わせ、ラジオ体操をすることを習慣にしてみました。窓を開け、深呼吸をしながら真剣にラジオ体操をすると、眠っていた足先や指の先まで新鮮な血液が行き渡り、頭も体もすっきりします。「今日も一日、お元気で過ごしましょう」という体操のおじさんの掛け声も清々しく、一日を気持ちよくスタートできます。夏休みシーズンの今、子どもの頃を思い出して、そんな夏休みらしいことをしてみるのもいいかもしれませんね。

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