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男性はなぜ気づいてくれない?察してくれない?【ひとみしょうの男ってじつは】

  • 2021.11.16

彼女が髪を切ったのに気づかない彼、気づいてほしい彼女。彼と結婚したいのに察してくれない彼……。

今回は、男性はなぜ気づかない?というテーマでお届けしたいと思います。

目に見えないものが大好きな男たち

男って女性に比べて「目に見えないもの」が大好きです。

たとえば、「おれ課長になった」と自慢する男。課長という肩書は概念であって目に見えないものです。男はそれが好き。その自慢を聞きながら、女性は内心あきれていますよね?

女性で「わたし課長になったよ」と、だれかれかまわず自慢する人ってちょっと想像できないですよね?

「おれ外車を買った」というのも同じです。車そのものが好きな男もいるものの、多くは「ステイタス」という目に見えないものを買ったことに喜んでいるのです。ステイタスというのは、この場合「おれは他の人よりも偉くなったと具体的にアピールできる道具」のこと。ようするに目に見えないものが大好きなのです。

それは永遠のことである

さて、では男たちはなぜ目に見えないものがそんなに好きなのか?

「永遠」にやられているからです。

永遠というのは、今ここにあるものよりもなんらかの意味において優れているもの、崇高なもの、です。

男たちはなぜか、そういうものをつねに意識しています。がしかし、そのことを彼女に言いません。「おれ、3年後には課長になって偉そうにしたいんだ」なんて、彼女に言わないのです。でも、心の中では「平社員」よりなんらか偉そうに見えて、さらにそこから頑張れば「経営の神様」により近づける可能性のある課長になりたくてしかたなく、うずうずしているのです。

それもこれも、彼の心の中にある永遠のしわざです。

女性はあまりそんなこと思わないですよね?

女性は目の前にいる彼氏を「具体的に」愛しますね。たとえば、彼が「明日弁当を持っていく」と言うと、彼女は「具体的に」お弁当を作ってあげますよね。

もっと一般化して言うと、芸術家の男女比を見るとわかります。あきらかに男のほうが多いでしょう?その理由は複数あると思われるものの、ひとつには、男は「なんらか永遠なもの」を夢想・追求するのが好きだからではないでしょうか。

対して、女性は、現実的に、具体的に、目の前に存在するものを愛するのがとてもうまい。

と思うと、ぼくなんかは、女として生まれてきたかったなあと思うわけですが。閑話休題。

「今ここ」を生きられない不幸な人々

つまり、女性は「今ここ」を生きているのです。

対照的に、男は「あさって」の方、つまり永遠を見ているのです。

とすれば、必然的に、男は目の前にいる彼女の気持ちに気づかない、察することができない、となります。

彼女が彼のことが大好きで、明日にでも結婚したいと思っている傍らで、彼は「同期のあいつとあいつを倒して、来年か再来年にはおれが課長にならなければ!そのためにはあの仕事はこうすべき」とかなんとか考えているのです。

と、なにやら男のことを悪く書きすぎたかもしれません。がしかし、まあそれが現実なのだからしかたないです。

永遠について心理学的に言及した最初の人はキルケゴールですが、彼は男です。さらに、「あさっての方」を一生見続けたいという理由で婚約者と婚約破棄しました。

「サイテー」とか「アホちゃう?」という話ではありません。

男にとって永遠とは、一生かけて追求(追究)するに値するとても大切なものなのです。

卑近な例を挙げるなら「おれは仕事に生きるから君と別れます」というくらい、男にとっては大切なことなのです。

むろん、女性の中にも永遠を追い求めている人がいるはずですが、しかし、男女のちがいの根本を成すのは「永遠の量」ではないかと思います。

(ひとみしょう/作家・キルケゴール協会会員)

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