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1枚じゃダメ?「クレジットカード」は何枚持つのが正解か 複数所有の注意点は?

  • 2021.11.15
クレジットカードは何枚が理想?
クレジットカードは何枚が理想?

昨今のキャッシュレス化の波に加え、コロナ禍によるオンラインショッピングの利用者増大も手伝って、今後ますます、利用機会が増えると思われる「クレジットカード」。1人で複数枚持つこともできるため、財布に何枚か入っているという人も多いと思います。

しかし、ネット上では「2〜3枚作って使い分けるといいと聞くけど本当なの?」「友人に10枚以上持っているつわものがいる」「限定デザインが出るとつい作ってしまい、数だけ増えてしまった」「1枚持ちはあまりよくないのかな」など、適切な所有枚数に悩む人は少なくないようです。

クレジットカードは何枚持ちが正解なのでしょうか。ファイナンシャルプランナーの長尾真一さんに聞きました。

「1枚持ち」の人が最多だが…

Q.そもそも、クレジットカードは1人あたり何枚まで持てるのですか。

長尾さん「クレジットカードの発行枚数には原則として上限がないので、審査さえ通れば、何枚でも持つことができます。審査の厳しさはクレジットカードの種類によって異なるので、例えば、『Aカードの審査は通らなくてもBカードやCカードの審査は通る』ということもあります。一般的に、ゴールドカードやプラチナカードといったステータスの高いカードほど審査が厳しく、発行元が流通系のカードよりも、銀行系のカードの方が厳しいといわれています。

最近は銀行のキャッシュカードやお店の会員カードにクレジット機能が付いたものも増えており、クレジットカードを決済に利用しなくても、保有しているだけで割引や優待が受けられる場合もあります。店頭で『お得になるから』と勧められて、取りあえず、クレジットカードを発行していたら、いつの間にか枚数が増えていたという人も多いと思います」

Q.日本国内におけるクレジットカードの保有率、クレジットカードを複数枚持っている人の割合、また、1人あたりの平均所有枚数ははどのくらいでしょうか。

長尾さん「一般社団法人日本クレジット協会の『クレジットカード発行枚数調査』によると、2020年3月末時点のクレジットカード発行枚数は2億9296万枚で、成人1人当たり2.8枚保有していることになります(※総務省統計局『人口推計』2020年3月1日現在の20歳以上の総人口1億505万人)。

また、JCB(東京都港区)が20〜60代の一般消費者3500人を対象に行った『クレジットカードに関する総合調査』(2020年度版)によると、クレジットカード保有率は86.6%で、大半の人が少なくとも1枚はクレジットカードを保有しています。そのうち、保有枚数が1枚の人の割合が25.0%、2枚の人が24.4%、3枚の人が22.2%で、3枚以下の人が全体の71.6%を占めていますが、一方で7枚以上保有している人も5.1%います。

先述の通り、審査さえ通れば、何枚でも持つことができるので、10枚以上保有している人も決して珍しいわけではありません」

Q.クレジットカードを複数持つことの意味やメリット/デメリットは何でしょうか。

長尾さん「利用する店舗によってクレジットカードを使い分けることで、効率的にポイントをためたり、より多くの特典を受けたりすることができます。例えば、ショッピングサイトで買い物をするときは、そのサイトと同系列の企業のカードを使うと、通常より多くのポイントがたまる場合がありますし、ガソリンスタンドも同系列のカードで支払うと、ガソリン代の割引が受けられるケースがあります。

次に、クレジットカードにはJCB、VISA、Mastercard、American Expressなどのブランドがありますが、店舗によっては利用できるブランドが限られている場合があります。その際、複数のブランドのカードを持っておけば、会計時にクレジットカードが使えないということもないので安心できます。

一方で、複数のクレジットカードを持つと、利用明細や支払日の管理が煩雑になりますし、不正利用被害や紛失のリスクも高くなります。また、複数持つことでポイントが分散されると、結局、どれも中途半端にしかたまらず、せっかくためたポイントを有効に使えないこともあるでしょう。なお、クレジットカードによっては年会費もかかるので、会費に見合ったメリットがあるのかをよく考える必要があります」

Q.つまり、クレジットカードは何枚持つのが適正といえますか。

長尾さん「できれば、メインで使用するカードとサブの計2枚、もしくは3枚程度がよいのではないかと思います。先述の通り、複数のクレジットカードを持つと管理が大変になりますし、ポイントが分散されて、中途半端にしかたまらなくなってしまうと有効に活用できません。

とはいえ、1枚しか持っていないと、お店がそのカードブランドを受け付けていない場合や、磁気不良などのトラブルで使用できないときに困ります。従って、メインのカードに加えて、それとは別のブランドでサブのカードを1枚か2枚持っておくのがよいでしょう。ちなみに、私自身はAmerican Expressのカードをメインで使用していますが、サブとして、MastercardとVISAのカードも持っています」

Q.クレジットカードを複数枚持つ(作る)ときの注意点や、事前にチェックしておいた方がよいことはありますか。

長尾さん「注意すべきポイントの1つ目は『年会費』です。クレジットカードによって、年会費無料のものもあれば、初年度のみ無料や、毎年一定回数(一定額)利用することで年会費が無料になるもの、初年度から年会費がかかるものなどさまざまです。『無料だと思っていたのに実は年会費がかかった』ということにならないよう、事前によく確認しておくのが大事です。

2つ目は『キャッシング利用枠』です。通常、クレジットカードを発行する際、ショッピング利用枠とは別にキャッシング利用枠を設定します。キャッシング利用枠があると、急に現金が必要になったときや海外旅行で現地通貨をATM出金するときに便利な面もありますが、ローンを組む際などにはキャッシング利用枠の累計額によって、借入可能額が少なくなってしまうことがあります。

実際にキャッシングを利用していなくても、利用枠を設定しているだけで借入可能額に影響するので、キャッシング利用枠を設定するのは1枚か2枚までとし、金額も必要最低限にしておいた方がよいでしょう」

Q.複数枚のクレジットカードを上手に活用するためのポイントとは。

長尾さん「メインのカードの選び方としては『ためたいポイントから選ぶ』方法と『よく利用するお店から選ぶ』方法があります。例えば、マイルをためて、特典航空券に交換したい人が航空会社のクレジットカードをメインに使う方法が前者、ネットショッピングをよく利用する人が、そのショッピングサイトで割引やポイントアップなどの特典が受けられるカードを選ぶ方法が後者です。

どちらの方法で選んでもよいですが、自分にとって一番メリットが大きいカードをメインに決めたら、サブのカードはメインのカードが使えないお店か、メインのカードのポイントを上回る特典が受けられるお店でのみ使用するようにして、それ以外はできるだけ、メインの1枚を使用した方が支出の管理も楽です。

また、最近はクレジットカードの不正利用被害が増えていますし、クレジットカードだと現金と違って、無意識のうちにお金を使い過ぎてしまう人もいるので、小まめに利用明細を確認することも大事です。最近はスマホアプリで、いつでも簡単に利用明細が確認できる場合も多いので、定期的に確認することをおすすめします」

オトナンサー編集部

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