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仲村トオル、演技は期待に「上質に応えたい」総理役は「リーダーが成長していく過程を…」

  • 2021.11.12
仲村トオルさん
仲村トオルさん

映画「愛のまなざしを」で主演を務める俳優の仲村トオルさん。同作は、精神科医の貴志(仲村さん)は亡くなった妻の薫(中村ゆりさん)のことが忘れられず、薬で精神を安定させる日々を過ごしています。貴志の患者の綾子(杉野希妃さん)は医師と患者の関係を超えて寄り添いますが、亡き妻への思いが断ち切れない貴志に嫉妬心を燃やし…亡き妻への思いを捨てきれない男と、その男に恋をする女が織りなす嫉妬と復讐(ふくしゅう)、救済を描くヒューマンドラマです。

オトナンサー編集部では、仲村さんに単独インタビューを実施。台本の感想や演じる際に意識していることなどを聞きました。

共感することはむしろ邪魔

Q.台本を読まれていかがでしたか。

仲村さん(以下敬称略)「万田邦敏監督と万田珠実さんがお二人で書いた台本の映画に出演するのは3回目です。このシナリオを万田監督が撮ったら、緊張感が途切れない、素晴らしい作品になるだろうなと思いました」

Q.貴志と似ているところや共感するところはありましたか。

仲村「貴志の抱えている過去があまりに重く、心に深い傷というか、埋めようがない空洞を持っています。なので、自分との共通点を探そうとはしませんでした。万田監督の映画のときは心や感情を動かそうとせず、監督の指示通り体を動かしているので、共感することは、演じるときにはむしろ、邪魔だと思っていたかもしれません」

Q.現場の雰囲気はいかがでしたか。

仲村「最初に浮かんだ言葉は『乾いている』です。別の言い方だと無駄がないとか。すごいスピードで撮影していきますが、無駄がないので、慌てているという感じではありません。僕は最善と思われることをする。そして、それがシンプルにカメラに収められていきます」

Q.万田監督から要望はありましたか。

仲村「初めて出演した映画『UN loved』と比べて、今回は少なくなりましたがありました。万田監督の要望は基本的に動きで、3歩動いてくださいとか、あごを少し引いてくださいみたいな感じで、こんな気持ちで表現してくださいとは言われません。セリフにそんな抑揚はいらないですとか、もっと低い音で発してくださいみたいな指示は常にありますが、ほぼ、動きやしぐさに対してですね」

Q.普段、演じる際に意識していることはありますか。

仲村「あまり、いろいろなことを意識しないように意識していますね。映画だったら監督、ドラマだったらディレクター、舞台なら演出家が何を自分に求めているんだろう、何を期待しているのだろうと、相手の心の中を意識することはあります。それに対して、過不足なく上質に応えるということは意識しているのかもしれません」

Q.ドラマ「日本沈没」では、どんなことを期待されていると思いましたか。

仲村「総理大臣役なのですが、できあがった人ではなく、困難な状況の中で鍛えられていく。リーダーが成長していく過程を演じていくことだろうなと思いました」

Q.俳優業をずっと続けられていますが、続けるかどうか悩んだ時期はありましたか。

仲村「悩んだというより、最初の映画から数本目の映画の興行成績がよくなかったとき、このまま負けの状態で、俳優から撤退するわけにいかないと思いました」

Q.普段、リフレッシュにしていることはありますか。

仲村「リフレッシュ自体を求めていない気がします。現場の行き帰りは自分で運転するので、その時間が気分転換になっているのかなと思います。撮影や舞台で演じることで感情を解き放っているので、自分の中にある悪いものや汚いものも浄化できているんじゃないかと思います。

人間は日常で、怒りみたいな感情がたまっても、怒鳴ったり、暴力に訴えたりして、発散してはいけないことになっています。でも、俳優はそれを許される時間があったりします。怒りだけじゃなく、喜びや悲しみを出していいと言われる時間と場所があるので、自分の中の汚い部分や、降り積もったほこりみたいなものを吐き出せているんじゃないのかなと思います」

映画「愛のまなざしを」は全国公開中。

オトナンサー編集部

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