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『どんめくり』【今日の絵本だより 第250回】

  • 2021.11.9

kodomoe本誌連載の「季節の絵本ノート」では、毎回2か月分のおすすめ絵本を15冊、ぎゅぎゅっとコンパクトにご紹介しています。 こちらのweb版では毎週、ちょうど今読むのにいいタイミングの絵本をおすすめしていきます。おやすみ前や週末に、親子で一緒にこんな絵本はいかがですか。

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『どんめくり』 やぎたみこ/作 ブロンズ新社 1540円

11月10日は、いい丼の日。 最近話題の丼の絵本と言えば、今春発売になったこちら。 『どんめくり』をご紹介します。

表紙を開くと、左に「てんぷらどん」、右に「かつどん」。 次の見開きは、「やさいラーメン」と「カレーライス」。 「きつねうどん」と「たぬきそば」は、あれ、うどんとそばの上に、本物のきつねとたぬきがのっている……? このあたりから少しずつ不思議テイストになってくるのですが、それだけではなくてこの絵本、1ページが上下にわかれています。 つまり、上半分のページだけをめくっていくと、下半分は左右とも「どん」のまま、 「てんぷらどん」「かつどん」 「やさいどん」「カレーどん」 「(本物の)きつねどん」「(本物の)たぬきどん」 となるのです。

言葉で説明するのがもどかしい、実物をめくってもらう方が絶対に早くて楽しいしかけ絵本ですが、上下の組み合わせは、全部でなんと241種類。 下の部分はごはん系や麺系だけでなく、「パフェ」や「アイス」もありますから、「うちゅうパフェ」や「ぼんさいアイス」もできちゃいます。 (……気になりますよね!?) 真面目な顔でおかしなことを言うような、作者・やぎたみこさんのオリジナルワールド、ここでもいかんなくそのパワーが発揮されています。

絵本デビューのお子さんは、上下自由に「めくる」ことを。 文字に興味が出てきたら、組み合わせてできたメニューを「読む」ことを。 そして、「これがいい!」「え~、おかしい!!」と、いろんな組み合わせを「一緒に楽しむ」ことを。 一家に一冊あれば、幅広い楽しみ方が可能です。 普段「読み聞かせはあまり……」という方には、特におすすめ。 順番を気にせず好き放題にめくっていい、そしてどんな組み合わせもおいしそう、もしくは愉快というお得ぶりで、疲れている大人にとってもお助け絵本になることは間違いありません。

選書・文 原陽子さん はらようこ/フリー編集者、JPIC読書アドバイザー。kodomoeでは連載「季節の絵本ノート」をはじめ主に絵本関連の記事を、MOEでは絵本作家インタビューなどを担当。3児の母。

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