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オトナな下北沢トライアングル。後編・緑に触れて歩く愉しみと買い物の魅力

  • 2021.11.5
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「オトナな下北沢トライアングル」と題して2回に渡ってお届けするおすすめの街歩きコース紹介。コロナ禍を経てやはりフィジカルな買い物の良さを改めて感じる人も多いだろう。以前とは違う、アップデートされた休日を過ごすことで東京ローカルの魅力を再発見したい。

地図上で位置関係をみてみると、違うエリアだと思っていた街同士が実は近いことに気づく。長い遮断時間で有名だった踏切がなくなったことで、お互いのエリアの行き来が簡単になったのだ。また、車の往来が激しい通りがこのエリアは少ない。移動しているとエリアとエリアの境目のグラデーションに敏感に気づくようになる。そんな微細な街の変化にも注目しながら、「オトナな下北沢トライアングル街歩き」の後編をスタート!
前編はこちら

公園脇はやっぱりこの店。「FUGLEN HANEGIKŌEN」

新代田から徒歩で向かったのは、最近羽根木公園近くにオープンしたばかりの「フグレン 羽根木公園」。赤堤通りに面して大きく開かれた店は、やはり公園脇がよく似合う。明るく話しかけてくれるスタッフさんの接客も気持ちがいい。店内は、北欧ヴィンテージ家具に囲まれた北欧のDJトッド・テリエのグラフィックでおなじみのベンディク・カルテンボーンのポスターも発見。改めて、フグレンワールドは居心地がいい。

店内で過ごすのもいいが、天気のいい日はやはりコーヒーをテイクアウトして羽根木公園で過ごしたい。

FUGLEN HANEGIKŌEN
世田谷区代田4-36-14 水巻ビル 1F
営業時間 :8:00〜20:00 無休
https://www.instagram.com/fuglenhanegikoen/Harumari Inc.

自然と共存できる街、大きな公園があるエリアは魅力的だ。今までは買い物といえばショッピングビルや百貨店が立ち並ぶいわゆる“繁華街”が定番だったが、もはや街歩きに“緑”は必須になってきた。
大きな芝生広場が特徴的の代々木公園や新宿御苑と比べ、羽根木公園は高低差のある世田谷の地形を活かした園内設計が面白い。

キッズパークやなんと茶室までがあるこの場所は、なんともいえないゆったりした空気が流れている。

ベンチに座ってコーヒーを飲みながら、風景を眺めているだけで休日の豊かさを感じることができるだろう。

羽根木公園
世田谷区代田4-38-52
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kusei/012/015/001/003/d00004240.htmlHarumari Inc.

羽根木公園を後にし、小田急沿線上を道なりに進んで歩いていくと世田谷代田の方へ近づいていく。小田急線沿線はビル群などの高い建物がなく視界が開けているので、空が大きく見える。さらに道の幅が広いので、開放感があり気持ちがいい。天気がいい日は富士山が拝めるそうだ。ただ歩くより、歩きながら景観や季節の変化を愉しみたい。このコースはそんな願望を満たしてくれるだろう。
梅ヶ丘駅の方から続くこの開放的で洗練された歩道は、下北沢駅の方向へもずっと続いているのだが、世田谷代田駅を超えたあたりで雰囲気が急に変わる。これがいわゆる街と街の境目のグラデーションというもの。道の幅も狭くなり、旅館や民家が並ぶ箱根の小径を歩いているかのようだ。ちょっとした旅行気分が味わえる。

そんな雰囲気の中をのんびり歩いていると、見えてくるのが小田急線の線路跡地にできた商業施設「BONUS TRACK」だ。

テラス席は、近所の人が集っておしゃべりをしていたり、仕事の商談をしていたり、楽しい雰囲気が伝わってくる。思えばもともと下北沢は、商店街が形つくった街。そのスタイルを受け継ぐように、商業施設と形態を変えつつ、書店「B&B」やブックカフェ「fuzkue」、「発酵デパートメント」、コワーキング施設など、次の世代を切り開く新しい店が入居している。

BONUS TRACK
世田谷区代田2-36-12〜15
https://www.instagram.com/bonustrack_skz/Harumari Inc.

「発酵デパートメント」でどんどん知りたくなる、発酵沼

なかでも注目なのは、発酵デザイナーの小倉ヒラクさんがオーナーを務める「発酵デパートメント」。
料理の腕前や技術を急に改善するのは難しいが、調味料を変えるだけで食事は劇的に変わる。このような考えは万人に共通するようで、店頭で一番売れているジャンルは、調味料だそうだ。実は、料理初心者ほど調味料にこだわった方がいいらしい。

早速棚を見てみると、醤油やだし、味噌をはじめとする発酵にまつわる見たことがないラインナップが並ぶ。
ここまで種類が豊富だと正直、どれを選べばいいか迷ってしまう。POPの情報量が多く、カゴや梱包用のセルフ棚が用意されており、一見小さなスーパーマーケット。セルフサービスのお店のようにも感じるが、話しかけたり聞いたりすると、商品にまつわる話をすごい熱量で教えてもらえる。
必要な時は手を差し伸べてくれるツンデレな感じ、東京での近所付き合いに似ていてちょうどいい。しつこく接客されることを嫌がる人も多いだろうが、そのあたりのツボを心得てくれているのが嬉しい限りだ。

谷川醸造「いしる」 ¥324Harumari Inc.

教えてもらったのは、チャーハンなどの“味変”に使える能登の谷川醸造が手がける醤油「いしる」。いかの内臓を塩に漬け込んで作っているようだ。その期間はなんと1年〜3年! その間に発酵が進み、うま味となるそう。

商品の点数は劇的に多いわけではないものの、自分にとっての“新しい”が多すぎて全部見るだけでも情報の吸収量が違う。さらにスタッフからそれぞれの商品の違いや魅力をしっかり教えてもらい、見て、聞いて、匂いを嗅がせてもらって……と、五感をフル活用して買い物ができるのが愉しい。

発酵デパートメント
世田谷区代田2-36-15 BONUS TRACK内
営業時間:11:00〜19:30(※飲食ラストオーダー 19:00)
定休日:不定
https://hakko-department.com/Harumari Inc.

ネットで買うのが便利な買い物もあるが、店に行って体験することに意味がある買い物は確実に存在する。短い時間でも、しっかりその物と向き合うことが自分の糧になり、その買い物が失敗であったとしても経験として残っている。大抵そういう買い物は値段が安い・高いに限らず、しっかり記憶に残っているのが面白い。時間を費やして街を歩いてみるといろいろな発見がある。こういう小さくて些細な体験の積み重ねによって、東京での充実度がどんどんレベルアップしていくのだろう。
コロナ禍をきっかけに少し足が遠のいていたフィジカルな買い物の楽しさを再確認できた。

下北沢トライアングルの街歩きは①大人ならではの好奇心・知識欲を満たしてくれる ②大人に支持される確固たるセンスとクオリティ ③街歩きとウォーキングが両立できる最高の環境。これが新時代の街歩きともいえるだろう。ただおいしい、カワイイ、楽しい、だけじゃない愉しみが東京にはまだまだ眠っている。

撮影:yoshimi
撮影協力:FUGLEN HANEGIKŌEN
発酵デパートメント/ BONUS TRACK

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