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いま、大人にこそ「下北沢トライアングル」をおすすめする3つの理由

  • 2021.11.5
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下北沢といえば古着とカレー。バンドマンや演劇人が夜な夜な集うサブカルの街?いやいや、それだけじゃなくなってきているのだ。今、アップカミングなモノ・コト・センスのいい大人が集まるのはなぜか下北沢トライアングル。そんな“外側”の魅力を解剖しよう。

注目のエリアやお店というと、やはり話題にあがるのは飲食店が多い。入りやすさと親しみやすさという意味で門戸は広い。だが人間の胃袋には限界があるので“街にとどまる”という意味でいうと、飲食店以外のスポットがいかに充実しているかが街の構成要素として重要なのだ。そういった意味ではこの新代田・世田谷代田・東北沢からなる「下北沢トライアングル」はついつい長居してしまいそうな個性的なショップと、魅力的な飲食店のバランスが素晴らしい。

大人になるとただ「かわいい・おいしい・楽しい」だけでなく、もう少しマニアックな知識を深堀りしたり、勉強したりしたくなる。そんな知的好奇心が旺盛な“大人オタク”にこのエリアは最適なのだ。

①大人ならではの好奇心・知識欲を満たしてくれる個性派ショップ

この日で迎えてくれたのは、店長であり、フェミマガジン「エトセトラ」編集部の寺島さやかさん。Harumari Inc.

私たちの生活はたくさんのトピックと密接な関係がある。特にジェンダーの話題は、社会で働く私たちの生活と切り離せないだろう。ニュースなどで耳にするたび、さまざまなことに気づき、もっと知りたいと思う。

フェミニズムに関する本を専門に揃える「エトセトラブックス」は、そんな知的好奇心がある大人にこそ訪れてほしい新スポットだ。

社名であり店名である「エトセトラ(etc.)」には、“まだ伝えられていない女性のさまざまな声を届けたい”という思いが込められているという。編集者の松尾亜紀子さんが2018年に独立して立ち上げたプロジェクトだったものが、今年の1月末に新代田の駅近くに実店舗を構えた。

専門書が多いイメージがあるが、同店のセレクトは非常に多彩で興味深い。テーマがフェミニズムでなくても作者がフェミニストであったり、さりげなくフェミニズムの描写があったり。小説や漫画、絵本まで幅広く扱っているため、フェミニズムのことを深く知らなくても大丈夫。むしろ初心者こそ「なるほど」と思うものが多い。時代や国が異なる書籍を、さまざまな角度で読むことで自然といろいろな視点が身につきそう。これは、ある程度社会で酸いも甘いも経験した大人ならではの場所だ。もちろん初心者だけでなく深く知識を得たいと思う人はトークショーなどのイベントにも参加できる。入口は幅広く、でも追求しようと思ったらそれにとことん応えてくれる……知的好奇心を刺激されるスポットだ。取材で初めて訪れた編集部スタッフも「ここは何時間でもいれる……」と沼の入り口であることを実感。

エトセトラブックスは出版社の機能もあり、フェミマガジン「エトセトラ」を定期的に発行している。

また、東北沢と下北沢駅のちょうど間に位置する「reload」内もセレクトショップやカフェ、ギャラリーなど新しくて洗練された大人オタクが喜ぶ店が多い。なかでも「OGAWA COFFEE LABORATORY 下北沢」は、おいしいコーヒーだけでなく「抽出方法まで知りたい!」という一歩先を教えてくれるのが嬉しい。

バリスタと会話しながらオリジナルのチャート“FLAVOR COMPASS”を使って好みのコーヒー豆を一緒に選ぶ。もちろん、ばっちり好みの傾向があるならそれを伝えてもOK。ここは「LABORATORY(実験室)」と名乗っているだけあって、何を使って抽出するか、実際に見せてもらいながら使ってみたい器具を選ぶことができる。コーヒー器具の種類は全部で約40種類。「Kalita」や「HARIO」などの定番から、「acaia」や「FELLOW」などのプロ御用達メーカーまでを網羅する。マンツーマンでプロのレクチャーを受けながら、実際に選んだ器具を試せるのが面白い。コーヒー豆だけでなく数ある中から気になる道具を選び、今回は「acaia」のデジタルコーヒースケールや「FELLOW」のケトルやドリッパーを体験させてもらった。機能も見た目も特別なアイテムを使うと、心なしか動作もスムーズになる。

お湯やコーヒーの分量を教えてもらいながら、丁寧に工程を踏んでいく。その甲斐あって、しっかりとコクがあり香り豊かなコーヒーが完成した。

いつも目分量で淹れているコーヒーも、器具を揃えてレシピ通りに行えば素人でもおいしく淹れられるのだ。コーヒー通のみならず、家でコーヒーを頻繁に飲む人なら完全にハマってしまう。

ちなみに、ここで使った器具類は、「OGAWA COFFEE LABORATORY 下北沢」の公式サイトにアクセスすると一覧で見ることができるそう。コーヒー豆を購入して、それに適した器具まで提案してくれるなんてなんとも心ニクい。家に帰ったら、今日使った「acaia」や「FELLOW」をついポチってしまいそうだ。

②大人に支持される確固たるセンスとクオリティ

今や世界中からも注目を集める「新築の商店街」世田谷代田のBONUS TRACKも、大人がグッとくる“いいもの”を揃えている。そもそもなぜこの辺りにそういったお店が多いのだろうか。

世界中にファンも多い「カルディコーヒーファーム」や高級スーパー「信濃屋」は世田谷代田が発祥だ。海外駐在などの経験から輸入食品などの知識が豊富な層が住民に多かったことも人気に拍車をかけたといわれている。信濃屋の世田谷代田店はスーパーでありながら、なんと2000銘柄ものワインとチーズを揃えた「ワイン館」が別棟として営業するなど、食料品へのこだわりが強い顧客が多いそうだ。

世田谷代田はひとことでいえば「閑静な住宅地」だが、その分日々の生活の愉しみにこだわりを持つ人が多いのだろう。だからこそ、その人たちに支持されるような確固たるセンスとクオリティが求められる店が育つ。

それはひとえに街の個性。日々新しく生まれてくるエリアにも、目利きの住民のお眼鏡に叶うであろうショップやカフェが多いのだ。

また、世田谷代田から徒歩ですぐの新代田は、事務所やアトリエを構えるクリエイターやデザイナーが多いことでも有名。閑静な住宅街でありながら、その住宅地のなかにポツンポツンとハイセンスなショップが点在している。その数が近年増えてきたこともあり、隣りあう世田谷代田とあわせて散策する人も多いのだろう。

③街歩きとウォーキングが両立できる最高の環境

そして何よりも、いまの時代の街歩きに欠かせない条件は「景色」だ。若い頃は人混みや人気のあるエリアに魅力を感じた人も、今は混んでいる場所は苦手という人は多いだろう。

その点でいうとゴミゴミした混雑がないのが「下北沢トライアングル」の最大の特徴だ。下北沢駅の周辺であれば、たとえ平日であっても常に混雑している。だがこの“トライアングルのエリア”は、週末であっても静かなので不快に思うことはない。コロナ禍において歩くことに慣れて、1日の歩行距離が以前より伸びたという人は多いだろう。

前回の記事で触れたように、ウォーキングが習慣化した私たちにとっては、「下北沢トライアングル」を巡ることは決して苦ではない。寄り道せずに歩けば、各駅間は8〜10分とたいした距離ではないうえに踏切や信号など足を止められるものが少ない。車や他の通行人を気にして歩く道路が少ないため、ひとりや友人とのんびりゆっくり歩くことができるのだ。

個性的なショップを巡ったり途中のカフェで休憩したりしているうちにかなりの距離を歩いていることに気づくだろう。せっかくなら、このエリアの憩いの場である羽根木公園はぜひコースに入れたい。

大きな芝生広場が特徴的な都内の大きい公園と比べ、羽根木公園は高低差のある世田谷の地形を活かした園内設計が面白い。その地形のせいか、ランナーよりは散歩をしている人が多い印象だ。そしてその高低差をうまく活かしたこどものプレイパークがあり、昼間はまるで幼稚園かのようにキッズたちで賑わっている。

カフェでコーヒーをテイクアウトし、園内のベンチでゆっくり休憩でもしたい。

時の流れが東京とは思えないくらいゆっくり流れていることに気づくだろう。だがこれこそが、いまの時代の休日に必要なことなのかもしれない。

撮影:yoshimi
撮影協力:エトセトラブックス
OGAWA COFFEE LABORATORY

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