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飲酒後に「自転車」運転で法的問題は?運転免許停止などの処分も?

  • 2021.11.5
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「自転車の飲酒運転」で逮捕も?
「自転車の飲酒運転」で逮捕も?

コロナ禍を受けた飲食店の酒類提供規制がほぼ全面的に終了しましたが、通勤に自転車を使っていて、飲酒後、そのまま、自転車に乗って帰宅している人はいないでしょうか。自動車の飲酒運転については当然、厳しく罰せられますが、「自転車の飲酒運転」も法的に問題があり、逮捕事例もあるようです。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

自動車同様、「車両」の一つ

Q.自転車の飲酒運転の法的問題を教えてください。

牧野さん「道路交通法2条11号で、自転車は『軽車両』の一つに定義されており、同条8号で『軽車両』は自動車などと同様の『車両』とされています。つまり、自転車での違法行為も自動車と同様に罰せられる場合があるのです。飲酒運転については、道交法65条で『何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない』と定めています。自転車もこの『車両等』にあたるので、自転車での飲酒運転も法律違反となります。

罰則は『酒酔い運転』の場合、『5年以下の懲役または100万円以下の罰金』(道交法117条の2)が科せられる可能性があります。これは自転車も自動車も同じです。『酒気帯び運転』の罰則は、道交法117条の2の2に『3年以下の懲役または50万円以下の罰金』が定められていますが、この罰則は自転車などの軽車両運転者には適用されません。117条の2の2の罰則対象者を説明する文中に『車両等(軽車両を除く)を運転した者』とあるためです」

Q.「酒酔い運転」「酒気帯び運転」の違いは。

牧野さん「酒酔い運転は『アルコールの影響により正常な運転ができないおそれのある状態』で、具体的には『まっすぐ歩けない』『ろれつが回っていない』などの状態です。酒気帯び運転は、呼気1リットル中アルコール分が0.15ミリグラム以上検出された場合です。酒酔い運転は呼気中のアルコール濃度は関係なく、運転者の状況で判断されます」

Q.自転車の飲酒運転の摘発例があれば教えてください。

牧野さん「2018年9月、蛇行運転している自転車を警察官が発見し、運転していた女性がまともな受け答えができずに、呼気から大量のアルコール分も検出され、酒酔い運転の疑いで逮捕されたという事例が報道されました。警察庁の資料によると、自転車の酒酔い運転による検挙件数は年間109件(2019年)に上り、毎年100件を超えています」

Q.自転車の飲酒運転で事故を起こした場合、適用が考えられる罪名と罰則の程度は。

牧野さん「自転車での交通事故によって、他人を死亡やけがさせた場合、過失傷害罪(刑法209条1項、30万円以下の罰金または科料)や過失致死罪(刑法210条、50万円以下の罰金)、業務上過失致死傷罪(刑法211条、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金)に問われる可能性があるほか、民事上の損害賠償責任を負います。酒酔い運転の状態であれば、先述した道交法の罰則も同時に適用される可能性があります」

Q.自転車を飲酒運転したことで、自動車の運転免許を停止されたり、取り消されたりする可能性はあるのでしょうか。

牧野さん「基本的には影響を受けませんが、道交法103条で『運転免許を受けた者が著しく交通の危険を生じさせる恐れがあるときは、6カ月を超えない範囲で免許の効力を停止することができる』とあり、これを根拠に愛知県条例では、自転車で酒酔い運転をした場合、最大で180日間の自動車運転の免許停止処分を受けることを定めています。

飲酒運転ではなく、また、奈良県での事例ですが、自転車が後続のバイクと接触し、バイクを運転していた男性が重傷を負って自転車が逃走した事件で、自転車に乗っていた男性が道交法違反(救護義務違反)で書類送検され、その後、自動車運転免許について150日の免停を受けたケースがあります」

Q.酒酔い運転をした人などを対象にした「自転車運転者講習制度」の仕組みと、講習を受けなかった場合の罰則を教えてください。

牧野さん「自転車を運転中に信号無視などの危険行為(14類型)を行い、交通違反として取り締まりを受けた、または交通事故を起こして送検された者に対し、都道府県公安委員会が自転車運転者講習を受講する旨を命じる制度です。3年以内に2回以上取り締まりや事故を起こした人が対象で、3カ月以内に受講時間3時間、手数料6000円の講習を受けなければなりません。

危険行為(14類型)とは、酒酔い運転や一時停止違反、信号無視などです。例えば、一時停止違反をして取り締まりを受け、その後3年以内に、信号無視が原因となる交通事故を起こして送検された場合などです。受講命令に従わなかった場合、5万円以下の罰金に処せられる可能性があります」

Q.自転車で飲食店に来ている人に「自転車だから大丈夫だよ」とお酒をすすめた場合、すすめた側にも法的責任はありますか。

牧野さん「道交法117条の2の2 5号などに規定があり、お酒をすすめられた人が自転車で酒酔い運転した場合、すすめた側も3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科される可能性があります」

オトナンサー編集部

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