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ペットは今を生きる大切さを教えてくれる存在。羽田圭介と考えるペットとの暮らし

  • 2021.11.4
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2021年8月よりMCに小説家の羽田圭介さん(以下敬称略)を迎えて、月1で放送しているオンライントーク番組「スーパーフラットトーク」。 今回のライブでは、ペットとの暮らしで得られる幸せや、東京での猫との暮らしについて考えました。進行を担当した広報の真鍋がレポートします。

一般社団法人ペットフード協会の調査(※1)によると、ペットの飼育数はここ数年でかなり多くなっています。2020年の犬と猫を合わせた数は約1800万匹で、15歳以上の子供の数を上回っているほどです。

羽田さんは、3年ほど前に、自宅で2泊3日の猫のレンタルサービスを利用したことがあるそうです。猫のかわいさには存分に癒されたそうですが、レンタルした結果、現在猫を飼っていません。猫のレンタル経験を経てペットについて感じたことをうかがいました。

まずは、ペットに関するデータを見ながら、ペット飼育の実態をみていきます。ペットを買うきっかけについては、犬猫ともに、「生活に安らぎや癒しが欲しかったから」という理由が第1位でした。また犬猫それぞれを飼ったきっかけは、犬は「以前飼っていた犬が亡くなったから」、猫は「自宅に迷い込んできた、拾った」というのが1位でした。

続いて、生涯にかかる費用についてみていきます。

犬は約200万円、猫は約120万円かかるといわれています。平均寿命が13〜15年といわれるなかで、この金額を見てどう思いますか?

羽田「“人間と同じように飼うべき”という空気が強まっているとのことですが、そのわりには、かけているお金は少ない印象です。例えば、知り合いの飼い犬がガンになってしまい、ペット保険に入っていても、治療費に100万円以上のお金を使ったという話を聞いたことがあります。ガン治療をしようと思うと、ここに表示されている平均額よりはもっとお金がかかると思います。人間の子供だと、当然ながらできる治療は全部しないと非人間的な扱いをされるじゃないですか。人間と同じように飼うというのであれば、ペットが病気になったときに、貯金がなくなるくらいまでお金をかけて治療する気概はあるのかって思ってしまいます。だから今の金額を見たら、かけているお金は意外と少ないなと思って、みんなそこまでは人間扱いしないで飼っているんじゃないかなって思いました」

ペットに関する価値観の変化

ペットを家族だと思っているのならば、どこまでお金をかけるのか……など、羽田さんが語った「人間と同じように扱う」というのは、現代におけるペットに対する価値観だといわれています。このようにペットを家族、生涯を共にする伴侶として扱う価値観を「コンパニオンアニマル」といいます。

帝京科学大学准教授で、獣医師や公認心理師の資格を持つ、濱野佐代子さん(以下敬称略)をゲストにお迎えし、ペットと人との関係について詳しくうかがいました。

濱野「元々ペットは人が一方的に可愛がる“所有物”でしたが、コンパニオンアニマルは、人生を共に生きるパートナーや、伴侶という意味が込められて、かけがえのない家族の一員となりました。ペットから受けられる恩恵は、番犬などといった役に立つものから、関係性によって得られるものへと変化してきました。高度経済成長期を経て豊かになった日本は、少子高齢化を迎えて、獣医療や予防治療の進化、フードの高品質化を促進しました。そのおかげで犬猫の寿命が伸びて飼い主が長く人生を共にする時間が増えました。そのことがより良い関係を築く基盤になっています」

近年は「自分が家族と思う人が家族」という血縁関係に縛られない、家族に対する価値観の多様化もあり、ペットも大切な家族だという感覚が認められてきたといいます。

また、ペットを飼うことで、「癒される、幸福感が高まる」といった心理的効果以外にも、
「健康的に痩せられた、血圧が安定した」という身体的効果や、「散歩によって近所の人との交流が得られる」といった社会的効果の3つの効果が得られると濱野さんは分析しています。

(濱野さんのインタビュー記事→https://harumari.tokyo/73484/

しかし、ペットを飼うにあたって、いずれやって来るのがペットとの別れです。「ペットロス」を懸念して、飼うのをためらっている人もいるかもしれません。

濱野「ペットロスは、時間とエネルギーをかけて、周囲からのサポートを受けて回復していきます。新しい生活を送りながら、途中で現実にペットは存在しないけど、ペットとの絆は続いているということに気づいていきます。亡くなったペットを思い出したときに、悲しみや憎しみよりも、それを上回る楽しくて温かい思い出として、心のなかに存在するようになってきます。ペットを失うのは苦痛な経験ですが、ペットが与えてくれたものや、命の大切さを実感することになる、他者の悲しみに共感性が増し、人間的に成長する、その後の人生の糧になる重要な経験にもなります」

幸せな気持ちにさせてくれるだけではなく、悲しいこともありますが、ペットは、「今を生きることを大切に」ということを私たちに教えてくれるかけがえのない存在です。

羽田さんは、ペットロスとは異なる、ペットを飼うことをためらう理由を語りました。
羽田「知り合いに、友達から『海外に行くからペット預かって』と言われ、ネコ2匹を預かった人がいます。かわいい猫を預かったものの、1ヶ月経っても取りに来ないと思ったら、そのうち海外で結婚していました。預かっている間に調子が悪くなって獣医に診せたら、大きな病気にかかっていて、知り合いが自腹で治療費を払いました。結局1匹は亡くなって、もう1匹は実家で引き取っていましたね。そのくせ猫を見捨てた本人は、海外からSNSで「愛猫が死んだ」という追悼の投稿をして共感を集めていて…。軽い気持ちで飼うからそうなるんでしょうね。勢いで飼い疎ましくなった、という心理になりそうだと自分で予測できないんですかね。だから僕は飼わないです」

ペットの飼育放棄の社会問題化や、街中に野良猫がいる理由は、元を辿れば、無責任な飼い主がいる現状があるからです。数十年連れ添って、家族として一生面倒を見られるか、という覚悟を持って飼う必要性を強く感じました。

東京で猫と暮らすには

いざ、ペットを飼おうと決断しても、現実的に直面するのが住まいの問題です。ペットを飼う人が増えていることで、都内の賃貸マンションなどのペット可物件はどうなっているのでしょうか。

猫専門不動産仲介サイトを運営するネコリパ不動産の葛西真理恵さん(以下敬称略)に解説いただきました。

葛西「ペット可の物件は、調べるとたくさん出ますが、猫飼育可能で調べるとそのうちの3分の1以下ほどです。猫と暮らすのに向いている猫共生型物件をキュレーションしています」

確かに、都内のペット可能の物件は、検索するとたくさん出てきますが、細かく見ていくと、「小型犬のみ飼育可能」という記載が多く、私も家探しに苦労しました。

ネコリパ不動産は、引っ越しの際の仲介手数料の10%〜50%の金額と、家賃から毎月222円が保護猫カフェの運営にあてられるそうです。つまり、引っ越しで猫助けができる仕組みを採用しています。

羽田「猫可の賃貸となると、ボロボロの安いアパートか、20万以上の高級な物件の、安いか高いかのどちらかの印象で、中間のちょうどいい物件がなかなかない印象です」

羽田さんのイメージを変えるような物件はあるのでしょうか。実際の物件を紹介いただきました。

葛西「飼い主の悩みを解決していく問題解決型の物件が多いです。猫のトイレを置く専用スペースがある物件は人気があります。かわいい見た目にも関わらずニオイが結構強烈。リビングにトイレを置くと、食事中に用を足されたら困りますが、食事をする場所から離れた場所に猫トイレが置けるスペースがあります」

右側にある壁の窪みが、猫のトイレを置くためのスペース。Harumari Inc.

猫の運動不足を心配する飼い主も多いそうです。狭いワンルームでも、縦に動いて運動できるように工夫された、キャットウォークやキャットタワーが備え付けられています。
この部屋を見た羽田さんは「部屋に馴染んでいますね、浮いていない! 」と納得された様子でした。

さらに葛西さんからは、まもなく入居募集を始めるおすすめ物件もご紹介いただきました。
表参道から徒歩6分の立地にある、新築物件です。

表参道徒歩6分の新築物件。Harumari Inc.

葛西「表参道徒歩6分ということで、お値段はそれなりに張ります。コロナの影響でリモートワークになった影響で、オフィスを畳む会社や、サテライトオフィスを持つケースが増えていますが、これを機会に保護猫を“社員”としてリクルートして、ぜひ猫を迎え入れていただきたいです」

羽田「こういう住宅が珍しいという状況が、今の日本の住宅問題かもしれません。日本の住宅、不動産業界が変わらないと、ペット事情も抜本的に変わらないでしょうね。」
猫と人間が気持ちよく暮らせる住宅が増えて、家の問題で猫を手放してしまう人が減るように……。ネコリパ不動産は、全ての猫が幸せに過ごせる理想の世界を叶えるための先駆者となるかもしれません。

濱野さん、葛西さんのお話を聞いた羽田さんに、最後に感想をうかがいました。

羽田「ペットに関しては、肯定的な意見しか目にしない、耳に入らないということがわかった感じがあります。住む環境が改善されていること、身体や精神への効用、社会的な繋がりなど、いい面はすごくわかりました。一方、光が強い分それによってできる影、つまりは隠されている部分もあると感じ、光と闇の両方の強さを見た気がしています」

ペットを飼うことは責任と覚悟、そしてお金が必要です。生涯の伴侶として、どれだけの愛情と責任がかけられるのか、大切な家族であるペットに対して、人間の子供と同じくらいの感覚で考えましょう。

羽田「先日、地方で鹿をかわいがりました。飼わなくても野生動物をたまに見るくらいで癒されたので、無理に飼わなくてもたまに見て、動物園とか行こうかなと思いました。動物からの癒しはたまに受け取るくらいでもいいのでないかなと思いました」

羽田さんは、猫をレンタルした経験も踏まえて、ペットや動物からの癒しに頼ることはしばらくないと、自身のなかで答えを見つけたようです。

最後に、今回は読者の皆さんから、自慢のペットの動画を事前に募集して送っていただきました。犬猫はもちろん、ハムスター、ヘビ、トカゲ……など個性的なペットの動画に癒されました。動画をお送り頂いた全員分のご紹介はできませんでしたが、ご協力ありがとうございました。

文:真鍋果夏(ハルマリ・広報)

(※1)一般社団法人ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」(2020)Harumari Inc.
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