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家入レオ「言葉は目に見えないファッション」vol.40エッセイのはじまり

  • 2021.10.29
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クォーター・ライフ・クライシス。それは、人生の4分の1を過ぎた20代後半〜30代前半のころに訪れがちな、幸福の低迷期を表す言葉だ。26歳の家入レオさんもそれを実感し、揺らいでいる。「自分をごまかさないで、正直に生きたい」家入さん自身が今感じる心の内面を丁寧にすくった連載エッセイ。前回は vol.39 夕方5時のチャイム

vol.40エッセイのはじまり

GINZAのwebでエッセイを書かせて頂く様になってあっという間に1年半以上が経過した。連載のお誘いを頂いた時のことは、今でも嬉しく胸にしまってある。更新頻度もTOP画像も、詳細は何もかもまだこれから!という段階だったのに「書きたい」という意欲に満ち溢れていた。文章と写真や動画をワンセットにして投稿するSNSが当たり前のものとなり、その恩恵を楽しく受けながらも、自分が投稿するとなると文章だけでも構成することができるブログの方が性に合っているのかも?という気持ちになることもしばしば。時代の流れも自分の気持ちも、なんとか両方大事にできないものだろうかと思っていた矢先。新曲の取材中に「以前担当されていた日経新聞のコラム記事読んでました」と声をかけて下さったのが当時GINZAのwebで編集を担当されていた方だった。ファッションやカルチャーのみならず社会的な動きにもアンテナを立てていらっしゃる守備範囲の広さ…それがきっかけとなりスタートする運びになったこの連載。本を読むことが好きで、文章を書くことも好き。だけど好きって気持ちだけじゃ通用しないこと、好きって気持ちがなきゃ何もはじまらないことも知っているから、楽しさと良い緊張感のバランスをいつも探している。

先日から始まった来年の2月20日に東京ガーデンシアターで開催するデビュー10周年ライブの打ち合わせ。今回は細いところまで自分でやってみない?とお世話になっている演出家の方にサポートして頂きながら日々やりとりしているのだけど。自分の語彙力の無さ、コミュニケーションの難しさにうな垂れてばかりいる。照明さんは音で感じて、音響さんはステージを絵で見ているという感覚に驚いたり。客観的な視点を自分の中に育てることはこの先の力にもなる。作ってみたセットリストや気づきをグループトークに展開しつつ、「自分がどんな表情で歌っているのか、歌を聴いているお客さんはどんな表情なのか、私とお客さんを包み込む会場はどんな雰囲気なのか。プレイリストを作ってイメージトレーニングしながら聴いてみます。その念作りみたいなものって、楽曲制作と似てるのかもです」と送ると、「人にいいものを届けるということは、基本全て同じだと思います。」と返信が。エッセイも曲作りもライブもギリギリまで頭で考えて、皆さんの前で届ける時には、それを全部忘れて心だけで伝える私でありたい。

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