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「横になって昼寝をする人は午後をムダにする」産業医が教える理想的な"仮眠の体勢"

  • 2021.10.25
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「在宅ワークの日はオンとオフの切り替えができない」「平日と週末の区別がつけにくく、休んでいるようで休めていない」という人が増えています。産業医で精神科医の井上智介さんが、上手に休むためのコツを伝授します――。

あくび
※写真はイメージです
日中に眠くなるのは休めていない証拠

「朝起きてスッキリしない」「寝ているのに疲れがとれない」……。疲れが溜まっていると感じるときは、うまく休めていないサインです。

仕事熱心な人ほど責任感が強く、休むのが苦手。しかし、休みもとらず働き続けているといつかバーンアウトし、心身の健康を損なってしまいます。健康的な働き方をするためには、上手に休むことが欠かせません。

平日と週末、それぞれに休み方のコツがあります。

まず、平日に大切なのは、しっかりと睡眠をとることです。私たちは常に頭をフル回転させながら、大量の情報を処理して生きています。それなのに、頭を休ませる時間は、寝ているとき以外ほとんどありません。ですから、まず睡眠をしっかりとって、頭と体の両方を休ませましょう。

よく「何時間寝たらいいですか」と聞かれますが、「○時間がいい」という基準はありません。ざっくり言うと、日中眠くならない程度ならOKです。

昼食後に眠くなるのは「アフタヌーン・ディップ」と言われる、よくある生理現象なので、気にする必要はありません。しかし、睡眠不足の人の眠気はレベルが違います。「ちょっとウトウトとして15分ぐらいで起きる」のが標準レベルだとしたら、睡眠不足の人はウトウトどころではなく、本気で眠り込んでしまう。それだけでなく、朝からずっと眠気がとれないという状態です。これは明らかに、睡眠不足で疲れが溜まっています。

昼食後の仮眠は習慣に

実は昼食後の仮眠は、午後からシャキッと働くためにも非常に効果的です。習慣化するのも良いと思います。

ただ、在宅ワークだと、つい布団やソファで横になって寝たくなるかもしれませんが、これはNG。というのは、体を横にして寝ると、血圧が下がるからです。いったん血圧が下がると、次に動くときにまた血圧を上げなければならず、午後からのスタートが切りにくくなります。

横になりたい気持ちもわかりますが、机に突っ伏して寝るほうが適切です。仮眠の前にコーヒーを飲むと、その15~20分後にカフェインの効果が出て覚醒しますので、仮眠からスムーズに目を覚ますことができてお勧めです。

夜までダラダラ働くのを防ぐためには、オンとオフの切り替えを意識しましょう。在宅ワークでも、仕事をするときは髪の毛をととのえたり、仕事服を身につけたりと、身支度をすることです。わざわざネクタイをつけて、新品の靴をはいてパソコンに向かう人もいます。そして仕事が終わったら、靴を脱いで、部屋着に着替えることで、オフに切り替える。こうして「仕事モード」と「休みモード」のスイッチを切り替えるための「儀式」をつくるとよいでしょう。

眠っている女性
※写真はイメージです
週末の休み方のポイント4つ

せっかくの週末、休日にも、「うまく休めない」という人は多いようです。僕の患者さんの中にも、「平日の疲れをいやすために週末はダラダラ過ごしているけれど、そうやって夜を迎えると、時間をムダにしてしまった気がして罪悪感を持つ」という人がいます。

週末、上手に休むためには、「生活リズムをくずさない」ことが重要です。週末に生活リズムがガタッとくずれると、平日を使って戻さなくてはならず、当然、週明けの仕事のパフォーマンスが下がってしまいます。

では、生活リズムをくずさず上手に休むにはどうしたらよいのでしょうか。ポイントは4つあります。

(1)朝寝坊は平日のプラス2時間以内

休日は、目覚まし時計をかけずにダラダラと昼まで寝ていたいところですが、朝寝坊は平日のプラス2時間以内におさえましょう。例えば平日6時に起きている人なら、休日は8時までに起きるようにします。

だいたい2時間以内なら、自然に体が調整してくれますが、2時間以上寝坊すると、夜、寝つけなくなり、軽い時差ボケのような状態になってしまいます。週末だからといって、本来起きている時間に寝ていると、いざ月曜日に体を動かそうとしても、なかなか動けなくなるのです。もちろん、2時間以内におさめるのであれば、いつもより多く睡眠時間をとるのは問題ありません。

(2)一日を3つのパートに分ける

「ダラダラ一日が過ぎてしまった」「気づいたら夕方だった」という事態を避けて、休日の充実度をアップさせるには、一日を3つに分けるのがお勧めです。休日を「午前」「午後」「夜」というパートに分けて、それぞれの時間帯をどう過ごすか、ざっくりでよいので、ある程度イメージしておきます。

まず、午前はゆっくりと過ごしましょう。ただし先程もお伝えしたように、朝寝坊は平日プラス2時間以内に留めます。活動するのは、午後からがお勧めです。午前から動いても良いのですが、予定をぎっしり詰め込んだりして体に負担をかけすぎないようにします。夜は、翌日から始まる仕事に備えた過ごし方がよいでしょう。

午後や夜を具体的にどのように過ごすかについては、以下でもう少し詳しくお話ししていきます。

(3)非日常体験を入れる

メンタルヘルスの不調を予防するには、週末に「非日常体験」を入れることがお勧めです。

その目的は2つあります。ひとつは平日の疲れをいやす「心身のメンテナンス」。もうひとつは、ストレス解消のための「新しい刺激」です。

メンテナンスと刺激、この2つをいつどうやってとり入れるかは、自分のコンディション次第です。ハードな1週間を過ごしてヘトヘトになったときは、メンテナンスをメインにし、余裕があるときなら刺激のある体験を入れるとよいでしょう。

非日常体験というと、「特別なことをしなくてはならないのでは」と思われるかもしれませんが、平日にできなかったことなら何でも大丈夫です。カフェでゆっくりお茶を飲んだり、家で音楽を聴いたり、本を読んだり……。こうした何気ないことも、心身のメンテナンスにぴったりの非日常体験になります。ぜひ取り入れてください。

刺激目的なら、行ったことのない場所に行ってみたり、新しいことをしてみることなどが当てはまるでしょう。

僕のお勧めは、仕事に使う文房具や服などを買いに行くことです。月曜日から始まる仕事のモチベーションにつながるからです。

月曜日というのは、誰にとってもしんどいので、「新しいペンやメモ帳を使ってみよう」「新しい服を着て行こう」など、週末の間に、月曜日が楽しみになりそうな何かを用意しておくのです。

もちろんスポーツやゲームなどの趣味に取り組むのもよいでしょう。ただし大事なことは「今までできなかったことができた」と達成感にフォーカスすること。あまり勝ち負けだけにこだわっていると、負けたときにイライラし、余計にストレスになって、リラックスどころではなくなってしまいます。「できなかったことができた」「やってよかった」と、達成感を持ちながら取り組んでほしいと思います。

(4)日曜日の夜は少し仕事に触れる

夜もなるべくゆっくり過ごしますが、日曜日の夜は特別な時間。日曜日の夜の過ごし方によって、月曜日から快適にスタートが切れるかどうか決まってきます。

そのためには日曜日の夜に、少しでも仕事に関することに触れておきましょう。かえって疲れてしまうような、直接成果物につながる仕事ではなく、軽い準備作業が良いでしょう。例えば、スケジュール帳をチェックして月曜日の予定を確認したり、ToDoリストをつくったりする。データを集めたり、資料を読んだり、アウトプットのための下準備をしておく、などです。

そんなふうに、日曜日の夜に軽くエンジンをかけてウォームアップしておけば、月曜日にはさっとエンジンがかかり、よいスタートが切れます。月曜日の朝、いきなり0から1にするのはエネルギーが必要で大変ですが、0.5になっていれば1まで持っていきやすいはずです。日曜日の夜の間に、0から0.5にしておくというイメージです。

日曜日の夜になると、「明日から仕事が始まるのが不安になる」という人もいますが、そういう人こそ、仕事に少し触れて準備をしておくことで安心できます。

平日はオンオフの切り替えを意識して、しっかりと睡眠をとる。週末は、平日できなかった非日常体験を取り入れて、週明けの準備をする。上手な休み方を身につければ、心身の健康を保ちながら、仕事のパフォーマンスをアップできるはずです。

構成=池田 純子

井上 智介(いのうえ・ともすけ)
産業医・精神科医
島根大学医学部を卒業後、様々な病院で内科・外科・救急科・皮膚科など、多岐の分野にわたるプライマリケアを学び、2年間の臨床研修を修了。その後は、産業医・精神科医・健診医の3つの役割を中心に活動している。産業医として毎月約30社を訪問。精神科医・健診医としての経験も活かし、健康障害や労災を未然に防ぐべく活動している。また、精神科医として大阪府内のクリニックにも勤務

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