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「ついつい不安で…」は実はNG。助産師が見たちょっと困ったママがやりがちなこと

  • 2021.10.16
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助産師・国際ラクテーションコンサルタントの榎本さんがちょっと困った妊婦さんについて教えてくれました。母乳が足りないと思って、つい育児用ミルクを足してしまうことありませんか?

あなたも足しすぎているかも?

退院直後の新生児期に、おっぱいが足りているか不安になりますよね。なかなか眠ってくれなかったり、おっぱいをあげたあとに育児用ミルクを足すとどんどん飲んだりするとさらに不安になることもあるかもしれません。

しかし、特に1カ月健診では体重増加が多く母乳が出てきているのに、育児用ミルクを足しすぎているなと感じる場合も多いです。
今回は、在胎週数37週以降に、2500g以上で生まれた病気などない健康な赤ちゃんへの育児用ミルクの補足についてのお話をします。

新生児はどれぐらい飲むの?

赤ちゃんの胃の大きさは下記のように言われています。

・生後1日の赤ちゃんの胃はアメリカンチェリーほどの大きさで、5~7mlの容量で、ティースプーンに1~1.4杯
・生後3日の赤ちゃんの胃はくるみ大で、22~27ml
・生後1週間の赤ちゃんの胃はアプリコットほどで、45~60ml
・生後1ヶ月の赤ちゃんの胃は大きな卵ほどの大きさで、80~150ml

一般に産院で目安にされている育児用ミルク量は日数×10ccとなっていますが、上記から多いことがわかります。


新生児期には、1回に飲める量が少ないので、赤ちゃんの要求にあわせて自律授乳をすると、授乳回数が1日10〜14回になることがあります。また、育児用ミルクが半分程度に消化される半減期は2時間半、母乳は1時間半程度といわれています。


母乳はどれくらい飲めているかわからないので、ミルクを補足する場合は、胃の容量をミルク量の最大量という目安で補足されるといいかと思います。退院してから1カ月健診までの胃の容量を考えると、母乳の後に補足する育児用ミルク量は最大量で60〜80mlになります。


家に赤ちゃん用の体重計がある場合、母乳測定をすることがあるかと思います。1回量が20〜40gであれば、赤ちゃんの欲求に合わせた自律授乳をすることで育児用ミルクの追加はしなくても大丈夫な場合が多いです。
母乳分泌が多いのに赤ちゃんが少ししか飲めない場合、母乳量を増やしたい場合は搾乳を追加するといいでしょう。

おっぱいが足りてないサイン?

赤ちゃんは満腹感を感じる中枢が未熟なので、たくさん飲んでもお腹がいっぱいと感じにくいといわれています。胃の容量以上に飲んでしまうことも多く、吐いて調整していることもあります。生後2カ月を過ぎるころに満腹感を感じる中枢が発達してくるので、必要量以上飲まなくなってくることが多いです。


母乳のあとに足している育児用ミルクを残すようになったり、全く飲まなくなることもあります。以下はおっぱいが足りていないサインと思われがちですが、必ずしもそうでないことがあります。


①授乳後に抱っこしていれば寝ているが、布団に寝かせるとすぐに泣いてしまう
②授乳時間が30分以上かかる。乳首をずっと吸っていて自分から離さない。
③母乳をあげたあとは落ち着くが、3時間経たずに1時間半程度で泣いてしまう
③母乳をあげたあとに落ち着いたり眠るが、哺乳瓶でミルクをあげると飲む
④授乳したあとに、口に指をあてるとパクパクとする

また、たくさん飲んでいる赤ちゃんに多い状況は下記の3つになります。
①母乳や育児用ミルクを飲んだあとに毎回吐く
②おなかがパンパンでガスが溜まっている
③飲ませて少し経ってから、うんちを出すようないきむ様子で泣くことがある

新生児期の体重増加の目安は?

出生後、生理的体重減少というのがあります。

母乳や育児用ミルクを飲む量よりも、水分などの排泄が多くなるので体重が減ってしまいます。出生体重の10%まで(例として3000gの赤ちゃんは300gまで)は問題なく、生後3〜4日目以降に増加してきて、生後2週間までに出生体重まで戻るのが理想です。

現在、産院では出生後早期から予防的に育児用ミルクを補足することが多く、退院までにほぼ出生体重に戻っていることが多いです。
1日の体重増加の目安は、18〜30gです。
1カ月健診で、体重増加が1日50〜60gになっている赤ちゃんも時々います。母乳が出てきていても実感できず不安だったり、赤ちゃんも育児用ミルクを補足しても嫌がらずたくさん飲むのでわからなかったということがあります。

体重以外にチェックできる方法

家に体重計がなくても大丈夫。体重以外に飲めているか確認できるポイントを教えます。

①おしっこが1日6〜8回以上出ている。一回量の目安は、50g(鶏卵1個分)で紙おむつの場合はおしっこラインが出るまで。
②うんちは1日1〜3回以上出ていて、胎便(黒緑色)から黄色の便に変化している。
③母乳だけの場合、1時間〜1時間半程度授乳間隔があくようになる。

※布団におくとすぐ〜30分程度で起きて泣いてしまうことはよくあります。
④嚥下音(のどが動いてコクンという音)がする
⑤体温が平熱(36.5〜37.4℃)


新生児期の赤ちゃんの中には、必要量以上にたくさん飲んでしまう赤ちゃんがいます。
育児用ミルクの補足で飲む量が多くなっている場合は、体重増加が大きくなるだけではなく、飲ませ過ぎることで、赤ちゃんへ胃腸の負担がかかったり、お腹が張って腸が過剰に動くことで辛いこともあります。


しかし、母乳が多く出るママの場合は、赤ちゃんは飲む量を抑えることができません。母乳は消化がよく胃腸への負担がないので、母乳のみで体重増加が多い場合は問題ないといわれています。また、成長に合わせて赤ちゃんが飲む量を調整できるようになります。
赤ちゃんの体重や、育児用ミルクの補足量、母乳分泌の現状などに不安がある場合は、母乳外来や地域の助産院などにできるだけ早い時期に相談するようにしましょう。


監修者・著者:助産師 国際ラクテーションコンサルタント・おむつなし育児アドバイザー 榎本美紀

2001年に助産師免許取得後、杏林大学医学部付属病院・さいたま市立病院・順天堂大学練馬病院の勤務を経て、2013年に埼玉県さいたま市に訪問型の助産院「みき母乳相談室」を開業。病院勤務での経験を元に、母乳育児支援の国際ライセンスである国際ラクテーションコンサルタントとして、地域の母乳育児を支援。訪問時の相談は多岐にわたり、おむつなし育児アドバイザーとしてトイレトレーニングなどの相談も。一児の母。

ベビーカレンダー編集部

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