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転職後の「こんなはずでは」をなくすことができる"現場社員へのリサーチ事項"

  • 2021.10.15

希望する企業に転職できたのに、職場になかなかなじめない、ギャップを感じる。こうした悩みを解消するにはどうすればいいのでしょうか。35歳以上の転職事情に詳しい黒田真行さんが、対策を伝授します――。

オフィスで頭を抱える思い悩む女性
※写真はイメージです

◆今回のお悩み
新卒で入社した日系メーカーで10年以上働いてきましたが、2カ月ほど前に外資系企業に転職しました。フラットで風通しがよく、意思決定も速いところに引かれました。でも、新しい会社の雰囲気や仕事の進め方になかなか慣れることができず、ストレスを感じています。
仕事自体はやりがいがあるので、何とか気持ちを前向きにしてここで働き続けたいと思っています。転職先の環境になじんでいくために、必要な意識や心構えなどありましたら教えてください。(35歳・外資系メーカー勤務)

「郷に入っては郷に従え」が大前提

同じ会社で10年以上働き続けている人は、そこで教え込まれた仕事の進め方を「当たり前」だと思ってしまう傾向があります。仕事の進め方のルールは会社ごとにかなり違いがあって、他社や世間一般でも当たり前であるとは限りません。

転職して違う会社に行くなら「郷に入っては郷に従え」が大前提。そして、これを実践するには、自分が当たり前だと思い込んできたことが本当にそうなのかどうか、かなり強い疑いを持って見つめ直す必要があります。

転職は、長年暮らした自宅から他人の家に引っ越すようなもの。よその家に行けば、雰囲気はもちろん生活スタイルも食事も違って当然です。それを無視して自分のやり方を持ち込んで、例えば「お雑煮は白味噌ベースでなければダメ」「夕飯は19時が当たり前」などと無理に押し通そうとすれば、相手との間に軋轢が生まれてしまいます。当然、ストレスも大きくなるでしょう。

大切なのは、相手方の「当たり前」に慣れていくことです。自分が慣れ親しんできたやり方は場所が変わると当たり前ではなくなるものだと考えて、まずは郷に従ってみる。そこが、新しい職場になじんでいくためのスタート地点になります。

入社後のギャップを減らすために

転職先のやり方に従ってみて、違和感を覚えることもあるかもしれません。でも、それは「前の会社のやり方と違う」という思いから生まれている可能性が高いのです。

どう考えても理不尽だということならともかく、そうでないなら「これがこの会社の当たり前なのだから、時間はかかっても慣れていこう」という意識を持つことが大事だと思います。

確かに、日系から外資系への転職では、上下関係やスピード感が大幅に違うこともしばしば。ただ、そこに引かれて転職した人なら「思っていたのと違った」というギャップは感じないはずです。問題が「やり方に慣れない、なじめない」という主観的な部分だけなら、少し意識を変えることで解消していけるのではないでしょうか。

では、転職先が「思っていたのと違った」場合。女性が活躍できる会社だと思っていたのに実際は男性優位だった、面接で仕事と育児を両立しやすい風土だと説明されたのに実際は違った──。こうしたギャップを自分の力だけで解消するのは難しいので、できれば入社前に実情を把握しておきたいものです。

それには、現場で働いている社員に話を聞くのがいちばんです。内定前後に人事担当者に頼んで、できるだけ自分と年齢や境遇が近い社員とフラットに話せる場を設けてもらうのです。

可能なら2~3人の社員と話しておきたいところ。例えば、育休や時短勤務などの制度が気になるならその経験者、自分が管理職採用や管理職志望なら管理職の人、そして同じ職種の人や中途採用者など、人事担当者に希望を伝えてみてください。

社員に話を聞けば、実際の現場の雰囲気も制度の活用具合などもよくわかります。人事担当者は、採用したい人に対してはプラス面ばかりを伝え、マイナス面を隠しがちですが、結果的にそれがギャップにつながることも少なくありません。

社員に話を聞く
※写真はイメージです
これまでの「当たり前」は通用しない

もし、社員と話したいと頼んでも断られたり、その場に人事担当者が同席したがったりするようなら、ちょっと問題のある会社だと考えていいでしょう。社員の自由な発言を止めたい「何か」があるわけですから、たとえすでに内定をもらっていても再検討する必要があると思います。

もちろん、事前に社員と話せば完全にギャップがなくなるというわけではありません。よその会社であるからには違いがあって当たり前。重要なのは、その違いを事前にどこまで把握しておけるかです。

可能な限り実態をつかんでおけば、入社後に「違った」ということも起こりにくくなりますから、ギャップに悩む可能性をあらかじめ減らしておくことができます。これは、「入ってみたら仕事の進め方になじめなかった」というリスクを回避する上でも有効でしょう。

最近は、転職にあたってリモートワークの有無を重視する人も増えてきました。この点も、フルリモートが可能なのか、それとも週や月あたりの回数が決まっているのか、職場に言い出しにくい雰囲気はないか、きちんと社員に確認したほうがいいように思います。

条件に「リモートワークOK」と書いてあっても、自分の裁量で自由にリモートワークが選択できるとは限りません。今いる会社がそうだからといって、同じように自由に選択できると思い込むのは禁物。中には、リモートワークを選ぶと昇進に響く会社もあると言われています。

会社で教え込まれてきた「当たり前」は他社や世間一般とは違うもの。会社が違えば雰囲気や仕事の進め方も違って当然。長く一つの社で働いてきて初めて転職する方は、この2点をしっかり念頭に置いて転職活動をし、そして転職先での仕事に前向きに臨んでほしいと思います。

構成=辻村 洋子

黒田 真行(くろだ・まさゆき)
転職コンサルタント、ルーセントドアーズ代表取締役
1988年、リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。2014年ルーセントドアーズを設立、成長企業のための「社長の右腕」次世代リーダー採用支援サービスを開始。35歳からの転職支援サービス「Career Release 40」、ミドル・シニア世代のためのキャリア相談特化型サービス「CanWill」を運営している。著書に『転職に向いている人 転職してはいけない人』『35歳からの後悔しない転職ノート』『採用100年史から読む 人材業界の未来シナリオ』など。

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