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ジェンダーギャップは埋まっていない! 国際ガールズ・デーに考える。

  • 2021.10.12
科学の世界に子どもたちが興味持つきっかけをつくるべく設立されたNYの「チャレンジャー・ラーニング・センター」。宇宙ステーションにおけるシュミレーションを行う小学6年生の少女。2015年撮影。Photo_ Education Images / Universal Images Group via Getty Images
6th Grade Girl in Space Station Simulation, Challenger Learning Center, Allegany, New York, United States科学の世界に子どもたちが興味持つきっかけをつくるべく設立されたNYの「チャレンジャー・ラーニング・センター」。宇宙ステーションにおけるシュミレーションを行う小学6年生の少女。2015年撮影。Photo: Education Images / Universal Images Group via Getty Images

10月11日の今日は、国際ガールズ・デー(International Day of Girl Child)。国際NGOのプラン・インターナショナルの働きかけによって、女の子の権利や女の子のエンパワーメントの促進を広く呼びかける日として国連が国際デーに制定し、2012年以降、毎年さまざまなイベントやアクションが世界中で行なわれる。2021年の今年は、スタートから10年目となる節目の年だ。

プラン・インターナショナル・ジャパン理事長の池上清子は、国際ガールズ・デーに際したメッセージの中で、コロナ禍が引き起こしたさまざまな被害の中心に女の子たちがいることに触れ、世界においても日本においても、これまでも存在していた格差や不平等が拡大していると懸念を示した。

「日本においても『生理の貧困』が社会問題として広く取り上げられるなど、国内外の女の子たちが抱えるさまざまな課題が顕在化しています。貧困のため生理用品を購入することができず学校を辞めざるを得ない女の子がいる一方で、ロックダウンによる学校閉鎖で自宅待機が続くなか、女の子に対する暴力や搾取、ハラスメントのリスクが高まり、家事や介護、子守りといった無償ケア労働の負担も増加しています。そのうえ、多くの国々の女の子たちが、支援を受けるために必要な携帯電話、コンピューター、インターネットへのアクセスがないことや、暴力の加害者や家族の監視下で、電話やインターネットを安全に安心して使えないというジェンダーに基づく『デジタル・デバイド』に直面し、その格差は拡大していると言われています」

事実、VOGUE CHANGEの人気連載で講師を務める清水晶子・東大教授も、連載最新回で「東大の学部生の男女比は8:2」であることなどを例に挙げながら、日本の教育におけるジェンダーバイアスとその背景にある問題について論じている。また、「STEM教育修了者の男女比」についてのOECDの最新調査では、OECD加盟国の中で日本は唯一女子学生の割合が20%を下回り、最下位。大学・短大への進学率だけを見れば男女ともに5割を超えていることから、もはや教育におけるジェンダーギャップは解消されたようにも見えかねないが、私たちの足もとには、今も深い溝が横たわっている。そして長引くパンデミックによって、この溝を完全に埋めるためには、これまで言われていた99.5年よりもさらに長い135.6年もの時間がかかるという試算もある。

ジェンダーギャップは埋まってなんかいない──その事実を無視して、前向きな議論はできないし、誰もが平等に自らの可能性に挑むことのできる社会は実現できない。それが社会全体にとって大きな損失であることは自明だ。何より、シンプルに考えて、性別によってできること/できないこと、やっていいこと/いけないことが決められる社会に誰が生きたいだろう? そんな想いから、VOGUE CHANGEではジェンダーの観点から今の若い世代の人たちが抱えるリアルな困難、社会に対する期待や不安などについてよりよく理解するために、プラン・インターナショナル・ジャパンと共同で、国際ガールズ・デーに関連したアンケートを設計し、記事の下に展開中だ。より多くのオーディエンスの皆さんがアンケートに参加し、自身の声を寄せてくださることを願って。

Text: Maya Nago

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