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【出張篇】料理家・冷水希三子さん宅へ出張!生クリームと香ばしいパンに合う「東鶴 純米吟醸 生酒 BLACK」~『伊藤家の晩酌』第二十七夜1本目~

  • 2021.10.11
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弱冠24歳で唎酒師の資格を持つ、日本酒大好き娘・伊藤ひいなと、酒を愛する呑んべえにして数多くの雑誌、広告で活躍するカメラマンの父・伊藤徹也による、“伊藤家の晩酌”に潜入!酒好きながら日本酒経験はゼロに等しいというお父さんへ、日本酒愛にあふれる娘が選ぶおすすめ日本酒とは?今回も伊藤家を飛び出し、出張篇を全3回でお届け。料理家の冷水希三子さんのお宅にお邪魔し、ワインに合う洋風な料理を作っていただきました。第二十七夜の1本目は、ナチュールワインのような甘酸っぱい佐賀のお酒。

料理研究家の冷水希三子さんに作っていただいたのはフランス料理!?

父・徹也(以下、テツヤ)「改めまして。料理家の冷水希三子さんです!」
冷水希三子(以下、冷水)「こんにちは!」
娘・ひいな(以下、ひいな)「今日は出張第2弾!冷水さんのお宅に参りました!」
冷水「よろしくお願いします!」
ひいな「父がいつもお世話になっております」
冷水「いえいえ(笑)」
テツヤ「いつもお世話になっております。撮影が終わるとたいてい、そのへんに寝ているという…」
ひいな「冷水さんの料理を食べて、飲んで、寝る」
テツヤ「そう」
ひいな「困ったもんだねぇ。でも、しあわせだねぇ。うらやましいな」
テツヤ「僕がね、料理の写真を撮るきっかけになったのが冷水さんなので」
ひいな「そうなんだ!」
冷水「そんな大げさな(笑)」
テツヤ「2017年くらいまで、料理家さんとはほとんどご縁がなくて。料理家さんと料理を撮影する仕事をしたのは冷ちゃんが最初」
ひいな「へぇ!伊藤徹也、第2の人生の原点なんだね」
テツヤ「そう、原点!その頃、冷ちゃんは鎌倉に住んでてね」
冷水「そうそう」
テツヤ「料理家さんの家ってどんなだろうって思ったら…」
冷水「小さいおうちの小さいキッチンで」
ひいな「そうなんですか!」
テツヤ「そうそう。でも、すごく光がよくてね」
冷水「初めて仕事する方で、大御所さんって知ってたから…」
テツヤ「大御所って(笑)」
ひいな「まさか今では冷水さんの家の床で寝るようになるとは(笑)」
冷水「ね(笑)」
テツヤ「でもね、2〜3回目くらいの撮影から、編集さんが帰った後、ワイン持って海に行って飲んだりしてたんだよね」
冷水「そうそう。料理の撮影の後は飲めるもんだと思ってるからね」
テツヤ「車で撮影に行かないもんね」
冷水「撮影する時は荷物を置きに前日入りしたり(笑)」
テツヤ「搬入日を設けました(笑)」
ひいな「飲むのに本気な父。さすが(笑)」
テツヤ「今日は、冷ちゃんの料理をいただきながら日本酒を飲めるとあって、最高にしあわせな撮影です!」

ひいな「今回、冷水さんから『チキンときのこのフリカッセ』というメニュー名をお聞きして、『フリカッセ』をあわてて調べました(笑)。クリーム系だっていうことはわかったんですけど」
冷水「日本酒に合わせなさそうなメニューだよね。生クリームが日本酒に合うのかどうか…!?」
テツヤ「もし合わなかったら、合わないって正直に言っていただいて」
冷水「は、はい!」
ひいな「遠慮なく言ってください!今回は個性派の日本酒をそろえてみました!」
冷水「わぁ、楽しみ!」
ひいな「楽しみにしていてください!」

1品目は、生クリームを使ったフランスの煮込み料理「チキンときのこのフリカッセ」。

ひいな「わ〜、いい香り!」
テツヤ「いいね〜」
冷水「さぁ、どうぞ!」

さぁ、召し上がれ!
ごろっと大きな骨つきの鶏肉で食べ応えたっぷり。
ワインが飲みたくなるおいしさ(笑)。

ひいな&テツヤ「いただきます!」
ひいな「両手でいっちゃっていいですか?」
冷水「どうぞ、どうぞ」
テツヤ「え〜ワインください」
冷水「え〜(笑)」
ひいな「私もワインください!」
冷水「ダメじゃん(笑)」

レモン汁やハーブでマリネしておいたチキンをフライパンで焼く。
こんがりときつね色に焼けたら…。
チキン、きのこ、白ワイン、生クリームを加えて煮込む。「フリカッセ」とはフランスの家庭料理で「白い煮込み」という意味。

テツヤ「いやだって、こりゃうまいよ。ワインでしょう?このクリームソースが決め手なのかな?ワイン少し入ってる?」
冷水「入ってる」
テツヤ「日本酒に合いそうな感じはあるけど…やっぱりワイン飲みたくなるね(笑)」
冷水「今まで私が飲んできた数少ない日本酒のラインナップだと合うかどうかわからないけど、ひいなちゃんが選んできてくれた日本酒なら合う気はする」
テツヤ「さぁ、どうなることやら」
ひいな「私がイメージしていたフリカッセより、すごく軽いです」
テツヤ「うん、確かに軽いね。ぜんぜん重くない」
ひいな「だから、日本酒とも合わせやすそう」
冷水「おっ!?」
テツヤ「フリカッって聞いて、どういうお酒をセレクトしたの?」
ひいな「どちらかというと、クリームソースと合わせるためにちょっと変わり種の日本酒というか、昔ながらの日本酒っぽくないやつをセレクトして、軽めに流そうかなと思っています」
テツヤ「じゃ、食べた後、流す感じなんだね」
ひいな「うん。チキン日本酒って行き来できるようなイメージで」
冷水「なるほど」
ひいな「でもどうしよう。合わなかったら…」
冷水「大丈夫、大丈夫」
テツヤ「まぁまぁ、飲んでみよう」

「チキンときのこのフリカッセ」に合わせるのは、「東鶴 純米吟醸 生酒 BLACK」。

佐賀県多久市にある東鶴酒造。県産の酒造好適米「さがの華」を100%使い、地元の山から流れ込む伏流水に、黒麹で仕込むことでコクと厚みが生まれた一本。「東鶴 純米吟醸 生酒 BLACK」720ml 1,760円(ひいな購入時価格)/東鶴酒造株式会社

テツヤ「手描きのラベル、ワインぽくない?」
冷水「うん、ワインっぽい」
ひいな「でも、名前は昔ながらの『東鶴(あずまつる)』って言うんですけど」
テツヤ「東に鶴で『東鶴』?」
ひいな「そう」
冷水「どこの日本酒?」
ひいな「佐賀の多久市です」
テツヤ「へぇ」
b>ひいな「『東鶴 純米吟醸 生酒 BLACK』です」
テツヤ「生酒 BLACK」
冷水「名前だけ聞くとね」
テツヤ「ザ・日本酒だよね」
ひいな「フリカッセと合うかどうかドキドキですが、香りを嗅いだら合うってわかるかもしれない」
テツヤ「ほんと?」
冷水「香りで合うのがわかるってすごい!」
ひいな「ぜひ。冷水さんに嗅いでいただいてもいいですか?」

ひいな「どうですか?」
冷水「うん、合うと思う。でも、流すんじゃなくてクリームのソースが立ってくる感じの合わせ方だと思う」
(父・テツヤも香りを嗅ぐ)
テツヤ「うん。こりゃ、流すんじゃないね」
ひいな「え〜。ずるい!」
テツヤ「いや、いずれにしても合うと思うよ」
ひいな「温度はね、常温よりちょっと冷たいくらいで飲んでもらおうと思って」
テツヤ「さっき、冷蔵庫から出してしばらく外に置いてたもんな」
ひいな「では、いただきましょう」
冷水「伊藤家へようこそ!」
ひいな「お邪魔します(笑)」

みんなで乾杯〜!
おどろくほどフルーティ!

一同「乾杯〜!」
冷水「あぁ、おいしい!」
テツヤ「日本酒ぽくないね」
冷水「うん。ワインっぽい」
テツヤ「絶対フリカッセに合うよ。わかるよ」
ひいな「すごいおいしいよね」
テツヤ「酸味と甘みがね、なんかね…」
ひいな「お!そのコメント数値的にも正しい」
テツヤ「酸味と甘みのバランスがいいね。りんごみたいな、フルーティな酸があるよね」
ひいな「たとえがうまくなってきたね(笑)」
冷水「さすが(笑)」
テツヤ「もうね、この連載も100回越えたからね」
冷水「それはすごい!」
ひいな「日本酒の酸度って数値であらわすと、1.6とか1.5とかそのあたりが普通なんだけど、これは3.4なの」
テツヤ「高いんだね」
ひいな「そう。だいぶ高いから酸度が高めということ。伊藤家は酸っぱいの好きだからね」
テツヤ「結構、色もついてるよね」
ひいな「ちょっと発泡してる感じもある。日本酒度ってプラスになればなるほど辛くて、マイナスになればなるほど簡単にいうと甘いっていわれてるんだけど、これは−11だから」
テツヤ「甘口だね」
ひいな「酸っぱいけど甘いっていうことだね」
テツヤ「俺の第一印象は合ってたわけだ」
冷水「すごいね!」
ひいや「冷やしすぎると酸がもっと強く感じると思うので、今回はクリームに合わせてまろやかな感じがいいなと思ってほどほどの温度に。蔵が推奨してるの温度が15度らしくて」
テツヤ「うん。ちょうどいい感じだよ」

ワインだけじゃない!パンに合わせてもおいしい日本酒をとうとう発見!?

ひいな「このお酒は佐賀のお酒なんだけど、BLACKっていってるのは黒麹を使ってるからなの」
冷水「へぇ、黒麹を!」
テツヤ「焼酎とかで使われる?」
ひいな「そうそう。黒麹で仕込んでるからBLACK。もうひとつWHITEもあって」
テツヤ「それは白麹なんだな」
ひいな「そう。それとはまた別で、ワイン酵母で造ったお酒もあったりして、普通の酵母じゃなく挑戦的なことをしている蔵なの。今回、フリカッセと聞いてワイン酵母と合わせようかなと思ったんだけど、ワイン酵母のお酒のほうは風味が強くて、もしかしてフリカッセの邪魔をしてしまうかもしれないと思ってBLACK にしました。BLACKは、蔵元さんが赤ワインをイメージして作ったらしいんですよ」
冷水「赤ワイン?」
ひいな「そう。だから牛肉とかに合わせて、15度で飲んで欲しいって言ってて」
冷水「なるほど。脂が固まらないようにね」
テツヤ「だから流せるんだ」
ひいな「『東鶴』は江戸末期に創業した老舗の蔵なんだけど、平成元年に一度休業してて、平成21年に蔵元杜氏として再スタートしたらしい」
冷水「杜氏の方は若い方なの?」
ひいな「年齢はちょっとわからないんです。でも、こういうデザインなのもあって、感性が若い方なのかなと」
冷水「なんかね、ナチュールっぽさがあるというか」
テツヤ「そうだね、ナチュールっぽいね」
冷水「ナチュール系とかこういう日本酒って若い造り手さんが多いイメージがある。味の持って行き方の方向性が一緒というか」
テツヤ「テロワール的な考え方が似てるよね」
ひいな「うんうん」

冷水「はい、パンも焼けました!」
テツヤ&ひいな「わ〜い!」
ひいな「このソースにつけたかった!」
冷水「香川県にある〈360°〉っていうお店のパンなんです」
テツヤ「へぇ。そりゃうれしいね」
ひいな「このお酒、パンとの相性がすごくいいかもしれない」
冷水「うんうん、合うね」
テツヤ「パンと合う日本酒をすごく探してたんですよ!まさかこれだとは思わなかった」
テツヤ「日本酒とパンか。いいね」
冷水「ソースをぬぐったパンが合うね。なんでだろう。黒麹だから?」
テツヤ「なんでだろうね」
ひいな「パンに入ってるくるみとも合う」
冷水「うん。香ばしさが合うのかな」

ひいな「白麹よりも黒麹でお酒を造ったほうが、お酒はコクが出やすいっていうのがあって。WHITEはあっさりしてるというか」
冷水「この料理には生クリームを使ってるから、BLACKのほうがコクがあっていいと思う」
ひいな「特にソースにつけたパンと!」
テツヤ「このソース、いつまででも舐めてられるんだけど」
冷水「(笑)」
テツヤ「ソースも残らずね」
ひいな「パンにつけてね」
テツヤ「冷ちゃんは普段、料理に日本酒って合わせたりする?なんとなくワインのイメージがあるけど」
冷水「そうだね。ワインが多いかな。みんなもワインを持ってきてくれるし。でも和食屋さんに行ったら日本酒飲むかな」
テツヤ「この日本酒はどうだった?」
冷水「好き、好き」
ひいな「あぁ、よかった〜!」
テツヤ「ということはマッチング成功なんじゃないの?」
ひいな「1本目、無事成功しました!」

冷水希三子
ひやみず・きみこ/奈良県生まれ。レストランやカフェ勤務を経て、フードコーディネーターとして独立。旬の食材を生かした料理が人気。現在は料理にまつわるコーディネート、スタイリング、レシピ製作を中心に書籍、雑誌、広告など活躍の場を広げる。公式HPはこちら

【ひいなのつぶやき】
フリカッセと黒麹。日本酒界のペアリングとは思えないこの2つの言葉。なんとかペアリングが成功してホッとしています(笑)。ぜひお試しください!
ひいなインスタグラムでも日本酒情報を発信中

photo:Tetsuya Ito illustration:Miki Ito edit&text:Kayo Yabushita

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