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子どものやる気スイッチはどこにある?子の「内発的動機付け」を引き出すには

  • 2021.10.9

子どもが自ら勉強や習い事に取り組んでくれれば…と思うママは少なくないのではないでしょうか。ガミガミ言いたくない、かと言って放っておけばやらずじまいで大変なことになる場合もあります。「子どものやる気スイッチはどこに?うちの子にはないのではないか」なんて思ってしまいますよね。

しかし実は、子どもをやる気にさせるかどうかは、親の言動にかかっています。子どもがやる気になるポイントとそのための声掛けや、逆にやる気を奪う声掛けについて見ていきましょう。

内発的動機付けと外発的動機付けとは

人が何かに頑張って取り組み努力するためには「動機付け」が必要です。心理学では動機付けには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」の2つがあるとされています。

外発的動機付けは、評価や報酬、もしくは称賛や罰則などの自分の外側の要素によって起こるやる気です。「お小遣いをもらいたいから手伝う」「怒られたくないから勉強する」などですね。

一方の内発的動機付けは、こういった報酬や罰則などがなくても自分自身から発生するやる気です。「何度も転んでも練習して自転車に乗れるようになる」「読み始めた本が面白くて時間を忘れて読み続ける」など、時間を忘れて夢中になれます。

外発的動機付けは「やらされている、やらなければやらないからやる」という感覚のため、効果は一時的であり人格的成長には必ずしもつながらないと言われています。ただ、外発的動機付けによって行動を続けるうちに次第に興味・関心が生まれ、内発的動機付けへ変化することもあると言われています。

内発的動機付けは「やりたくてやっている」のが特徴で、自身の幸福ややりがいにつながり持続力もあります。

「マズローの欲求段階説」では、人間の欲求は5段階のピラミッドで構成されており低階層の欲求が満たされるとより高い階層の欲求を欲するとされています。低層が外発的、高層が内発的となります。

第1階層は「生理的欲求」で、生きていくための基本的な本能的欲求です。空腹で食べたい、夜には眠りたいなどとなります。

第2階層は「安全欲求」で、危険を回避したい、安全・安心に生活がしたいという欲求です。風雨の心配がない家で暮らしたい、病気にならずに健康で生活したいなどとなります。

第3階層は「社会的欲求」で、会社・家族などの集団・グループに所属したい、同じ趣味を持つ仲間が欲しいなどの欲求です。

この階層までが低次欲求となり「外的に満たされたい」という部分になります。それ以降は高次欲求となり「内的に満たされたい」と感じる部分です。

第4階層は「尊厳欲求」で、認められたい、尊敬されたいという欲求です。

第5階層は「自己実現欲求」で、自身の力を発揮してあるべき自分になりたいなどの欲求です。

通常に学校や会社などの社会生活をしていると、第3階層までが満たされていることになります。第4階層の尊厳欲求はやりがいにつながるので、持続性の高いモチベーションとなるのです。

認める、褒めることで第4階層の欲求が満たされ、内発的動機付けへと変えていくことが可能になるということが分かります。

子どものやる気を削ぐ言葉・行動

子どもに行動してほしいがあまり、なにげなく言っている言葉が逆にやる気を奪うということがあります。どんな言葉が子どものやる気を奪うのでしょうか。

・勉強を強要する言葉

・けなす言葉

・他人と比較する言葉

・我慢を強要する言葉

・先生を責める言葉

1位は「勉強しなさい」などで最も多く、63.1%を占めています。2位の「だからあなたはできないのよ」などけなす言葉、3位の「〇〇ちゃんは成績が上がったんだって」などの比較する言葉もそれぞれ47.7%と高い数値です。

※「成功する子は“やりたいこと”を見つけている 子どもの“探求力”の育て方」

別の調査では、「勉強しなさい」と声をかけた場合声をかけない時と比較すると勉強時間が3.6分少なくなったという結果があります。つまりこの声掛けは、勉強時間を増やすのに効果がないばかりかむしろ逆効果であるとも言えます。

言葉だけではなく、行動もやる気をなくす原因となります。やる気を削いでしまう親の行動を3つ確認しましょう。

・怒る

やらないと怒ってしまいがちですが、怒るのは逆効果です。仮にやったとしても怒られるのが嫌で取り組んでいるだけなので、その場限りとなるかその後もイヤイヤ取り組むことになります。次もやらなければ次も怒ってさらにやる気をなくす…という悪循環に陥る可能性もあります。

・無理やりやらせる

明日までに提出する宿題など、ときには強硬手段を取ることも必要かもしれませんが、毎日続くのであれば当然やる気を失います。

・無視する

やらないことが続いているからと言って無視をすることもNGです。自分への関心がないのだと感じると、子どものやる気は上がりません。

やる気を失うと、勉強に身が入らない、自主性・主体性を持てない、将来の夢を持てないなどの子どもになってしまいます。また、一見行動しているように見えても「やらされている感」が強くなればその行動は持続しません。

やる気スイッチはこうやって引き出そう!

やる気を出してもらうためには、いかに内発的動機付けを引き出すかが重要になっていきます。どの様にすればいいのでしょうか。

・成功体験を与える

大人でもそうですが、できないことは頑張るのが難しいものです。やればできるというもの、できそうだと感じるものは頑張ってやってみようという気持ちになります。できるという気持ちが弱い子どもはやる気を出しづらいのです。

そういう子には成功体験を与えることが重要です。子どもが成功できるように、レベルや状況にあった到達可能な目標を設定し、到達したら「できたね」などの言葉掛けで達成感を与え、次に少しレベルアップした目標を設定していきます。

この時、あまりに到達できないような目標ではやってみようという気持ちになりません。細かく少しずつ階段を登るように、スモールステップで目標を設定していきましょう。

達成感を積み重ねることで徐々に自信がつき、学習意欲につながります。最初は本当に小さい目標で構いません。「言われる前に教科書を開く」「昨日よりも5分長く机に向かう」など、子どもに合わせて目標を決めていきましょう。目標にしていなかったことでも、できていたら褒めることも大切です。

・自分で選択させる

「これをしなさい」と人に言われるよりも「これをしよう」と自分で決めたことの方が、内発的動機付けが高まります。また「宣言効果」というものがあり、自分で決めて口にしたことは実効性が高まると言われています。

そのためには質問し自分で選ばせることが必要です。「17時から宿題をしなさい」ではなく「何時から宿題を始める?」「その本を読んだら始めるかな?」など質問を投げかけることで、子どもが自分で考えた結果「17時からやる」と口にするのでやらざるを得なくなります。

この時「やる、やらない」の選択肢ではなく「ご飯の前と後どっちにやる?」「何時からやる?」など行動に結びつく質問にすることが大切です。

筆者は、基本的な週間スケジュールは作っていますが、息子に「今日は何やる?」と聞かれると「何をやったらいいと思う?」と逆に聞いて考えさせるようにしています。

親の思った量に達しないこともありますが、徐々に何が今必要かを考えるようになってきました。親に決められたことをこなすよりも、自分で必要だと考えて始めたことはしっかりやり遂げるようになります。内容の定着率も、自分で決めたことの方がはるかに良くなるでしょう。

・褒める、励ます、信用する

ロチェスター大学のエドワードデシ教授によると、最初は好きで始めたわけではなくても、周りに頼られたり褒められたり見守られていたりという経験をすることで内発的動機が大きくなり、楽しい、もっと知りたいという興味や関心に変わることがあると言います。

特に意欲が低い段階だと、一緒に頑張る存在そのものがモチベーションを上げることにつながります。学習習慣が身に付いていない子ならそばで励ましながら勉強を見てあげましょう。

NG行動で「無視する」とありましたが、逆に誰かが見てくれている、頑張っている自分を知ってくれているということがやる気につながります。当たり前のことができた時こそ「〇〇が出来たね」と声を掛けてあげていきましょう。

信じている言葉もやる気を引き出します。「ママは信じているよ」「あなたならできるよ」「次はきっと大丈夫だよ」と全面的に信用してあげて言葉にします。根拠がなかったとしても「ママはそう思う」と意見として伝えれば良いのです。

続けることで子どもは自信とプライドを持ち始め「きっとできる」という気持ちが育ちます。マラソン金メダリストの高橋尚子さんは、ソフトバンクの孫正義さん、野球のイチローさんなども、監督や父親からこういった言葉をかけられて育ってきたそうです。

信用されて育った子は、自信を持って社会に出ていくことができます。親が「この子はここまでしかできない」と限界を決めずに、どんどん信じて認めてあげましょう。もちろん思うだけではなく、それを言葉にすることが大切です。

・好きなことを学ぶ

好きなことを学ぶ時に感じる楽しさや好奇心は、内発的動機付けの重要な源だと言われています。好きなことは、誰に強制されなくても時には止められてもやり続けたくなるものです。

子どもが好きなことは深堀りさせて「知りたい」という気持ちを止めないようにしてあげましょう。何かに主体的に取り組む姿勢は、学ぶ意欲を引き出します。

子どもが産まれる前ですが、犬を飼いだしてしつけの本を読んだ時に、何もしていない時に褒めることも大切とありました。確かに、吠えたり粗相をしたりした時は声を掛けるのに、吠えずに静かにしている時は何も言いませんよね。そうではなく、静かにしている時にこそご褒美をあげたり褒めてあげたりすることで「これがいいことなんだ」と学ぶのだと知りました。

子育てにもこの考え方はあてはまると感じます。電車で騒いだ時に怒るけど、静かに座っている時は何も言わない…というのではなく、静かにしている時こそ「静かに座れたね」と認めてあげることが大切なのです。

子どもの内発的動機を高めるには、自ら高める子はわずかであり親の働きかけが重要だと感じました。できていることを認めてあげようとすると、親の見る目も変化して怒ることも減ると感じています。

怒ってやらせて投げやりにやってまた怒って…というのでは親も子も疲弊してしまいますよね。子どもがどう言われたら嫌か、嬉しいか、を考えて声掛けをする様に工夫してみると良いでしょう。

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