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未曽有のフィットネスブームを影で支える「ゲーミフィケーション」とは?

  • 2021.10.9

スタイリッシュなスマートウォッチからデータ重視のジムマシンまで、フィットネス業界はテクノロジーと共に進化を続けてきた。そしていま、私たちのワークアウトを一新させる新たなデジタル化「ゲーミフィケーション」の波が押し寄せている。オーストラリア版ウィメンズヘルスより詳しく見ていこう。

そんな難しい言葉には興味がないと思う人も、実は高い確率でゲーミフィケーションを使っているはず。アップルウォッチの“リングを完成させる”行為も、1日の目標歩数を達成するのも、ランニングアプリ『Strava』で友達とタイムを競うのも、ゲーミフィケーションあるいは“コネクテッド・フィットネス”の形式に含まれる。

さらに驚くべきことに、ゲーミフィケーション市場の価値は、2025年までに77億円になると言われている。その狙いは、いつもの宅トレを一新すること。

「ゲーミフィケーション」とは?

ゲーミフィケーションは“ゲーミング”から発想を得たコンセプト。インタラクティブな手法で、ユーザーが夢中になるようなゲームやチャレンジを作り出す。目的は、エクササイズを一段と楽しくして、私たちの競争心を駆り立てること。

ゲーミフィケーションの先駆者は、熱狂的なファンを持つ『Peloton』。自宅用のエクササイズバイク、ランニングマシン、アプリの機能を備えたペロトンは、ゲーミフィケーションの手法を用いて、同じワークアウトを行う人たちでスコアを競わせる。その人気はすさまじく、世界に540万人のユーザーを持ち、ペロトン専門のインストラクターが35名以上いるほど。『Mirror』もゲーミフィケーションの先駆け。見た目は普通のスタンドミラー。でも、壁に掛けて電源を入れると、パーソナルトレーナーに大変身。リース・ウィザースプーンも、ジェニファー・アニストンも、ニーナ・ドブレフも、ケイト・ハドソンも『Mirror』の大ファン。

オーストラリア生まれの『Vitruvian』は、レジスタンストレーニング用のインタラクティブなプラットフォーム。ただの分厚い板みたいに見えるけれど、ユーザーのフィットネスレベルに合わせた負荷をかけてくれるので、重量の違うダンベルやケトルベルをそろえる必要がない。クラスに参加するだけでなく、そこで友達と競うこともできる。『Vitruvian』は、ワークアウトをしながらゲームやチャレンジが楽しめるアプリも発売予定。

ゲーミフィケーションのボーナスメリット

精神科医のキーラン・ケネディ博士によると、日常生活の他のエリアと同じく、フィットネスがテクノロジー頼みになってきたのは自然なこと。「テクノロジーとゲーミフィケーションは、現代心理学の一部にすぎないと思います。私たちの脳は問題を解決し、何に関しても、よりよい方法を見つけるように作られていますから。これは、とてもポジティブなことですよ」。ケネディ博士いわくゲーミフィケーションには明白なメリットがある。「家の中にバーチャルな(フィットネス)プラットフォームがあり、それで体を動かせるなら、ソファでダラダラするよりいいですよね。どんな運動も、心身の健康にプラスの影響を与えますから」

シンガポールの南洋理工大学が発表した2015年の論文によると、ゲーミフィケーションはワークアウトに対する考え方を改善するので、運動が楽しくなって習慣になる。また、豪クイーンズランド工科大学によると、ゲーミフィケーションに関する19本の論文のうち59%は、ゲーミフィケーションがユーザーのウェルビーイングにプラスの影響を与えるとしている(41%の結論はまちまち)。さらに、医学情報誌『JAMA Network Open』に掲載された2021年の論文は、ゲーミフィケーションによって2型糖尿病患者の運動量が増え、運動習慣がつきやすくなることを指摘している。

『Vitruvian』創設者のジョン・グレゴリーにとって、ゲーミフィケーションは「それなしでは得られないレベルのフィットネス・エンゲージメント」を生み出すもので、フィットネス業界を席巻する「止めようのない力」。「ゲーミフィケーションはテクノロジーになくてはならない要素の1つです。万人向けではありませんが、一部の人にとっては本当に魅力的です」

ゲーミフィケーションの安全な使い方

体にとってはプラスでも、心の健康状態は定期的にチェックして。「ワークアウトが楽しいアクティビティというよりむしろプレッシャーのように思えてくるのは、ちょっとした危険信号です」とケネディ博士。ゲーミフィケーションを用いたフィットネスプラットフォームの中には「ゲームやチャレンジに参加しよう」「体を動かそう」「立ち上がろう」「心拍数を上げよう」「スコアを上げよう」などのプッシュ通知で、プレッシャーをかけてくるものものある。これではユーザーが目標達成に対する不安やストレスを感じても無理はない。

「スクリーン上またはオンラインのプラットフォームにも、従来のフィットネスと同じメンタルヘルス改善効果があるとは限りません」とケネディ博士。「自然の中でのワークアウトは、メンタルヘルスにより一層効果的であることが分かっています。また、スポーツやジムを通して作られる社会的つながりは、かなり質が高いでしょう」

新しいフィットネスの世界を楽しみつつも、ヘルシーなバランスをキープするポイントは、テクノロジーを自分とライフスタイルのためにうまく使うこと。プレッシャーを感じたら、遠慮なく休んで散歩に出よう。友達と外でリフレッシュしてから、もう一度ゲームオン。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Lucy E. Cousins Translation: Ai Igamoto

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