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G’s FILM REVIEW 伝説的デザイナーに迫る『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』etc.

  • 2021.10.6
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10月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする映画をご紹介。

『トムボーイ』

10歳のロールは、引っ越し先で知り合った友人たちにミカエルと名乗り、男の子として夏休みを過ごそうとする。まだ女の子と男の子の間に存在しているような、10歳という多感な年頃の戸惑い、ときめき、高揚、不安を繊細にユーモラスに綴るのは、『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ。新学期に向かい真実は明らかになるが、カテゴリーの枠に閉じ込めることなく、最後までロール/ミカエルを優しく見届ける眼差しが印象に残る。製作は2011年。

全国公開中。
©Hold-Up Films&Productions/ Lilies Films / Arte France Cinema 2011

『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』

アノニマスな存在であり、2008年に突然ファッション業界から去った後も撮影や対面インタビューにも応じることはなかった伝説的デザイナー、マルタン・マルジェラ。ドキュメンタリー 『We Margiela』にももちろん登場せず、多くの人に代弁されてきた彼が、ナレーターとして彼の手が生み出してきたものについて大いに語る。『ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男』のライナー・ホルツェマーによる貴重なドキュメンタリー。

全国公開中。
©2019 Reiner Holzemer Film RTBF Aminata Productions

『MINAMATA—ミナマタ—』

高度経済成長期、チッソ水俣工場の排水が原因で起こった有機水銀中毒。いまだ解決せず、苦しみが終わることのない水俣病の存在を世界に知らしめた写真家ユージン・スミスと、アイリーン・美緒子・スミスの同名写真集を題材に脚色し、ジョニー・デップ自ら製作・主演を務めた本作。伝記の映像化は事実をエンタメとして消費するリスクを伴うが、問題から目を逸らさず、過去のものとして忘れないという意志をつなぐこともまたエンタメの力だ。

全国公開中。
©2020 MINAMATA FILM, LLC ©Larry Horricks

GINZA2021年10月号掲載

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