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結婚の意味とは?【ひとみしょうのお悩み解決】

  • 2021.10.2

“【お便り募集】文筆家ひとみしょう お悩み解決” に送っていただいたお便りの中から、お悩みをひとつピックアップしてひとみしょうさんがお答えします。

「きらら45歳女性」のお悩み

ひとみさんの、真っ直ぐに心に響くコメントをいつも楽しみにしております。

ひとみさん、人生における「結婚」って一体何なのでしょうか?
結婚16年目ですが、もはや「結婚」の意味が分からなくなってしまいました。
社会保障や子育て、老後生活などの社会生活を潤滑におくるための制度?
男女が簡単には別れられないように縛りつける為の法的制度?
恋愛関係から家族になるための儀式?

他人同士が「結婚」という契約を交わして夫婦になる。でもね、この先の残りの人生を死ぬまで一緒に連れ添える相手かどうかなんて、20代や30代くらいの年齢で決断するのは無理じゃないですか?自分が何者なのか、この先どういう人生を歩みたいのか、まだまだぼんやりしていて手探り状態じゃないですか、20代や30代なんて。(もちろん、そうでない人もいらっしゃると思いますが。)

その上、この先の人生で、どんな人と出会い、恋に落ちるかわからない。「結婚は決意だ」なんて言われますが、いくら決意したところで、自分も相手も周りの環境も日々、変化し続けている。それなのに、一発的中で残りの人生を共に歩む相手を選ぶなんて、「奇跡」に近いと思いませんか? 「この人と相性良くないな」「なんか違うな」「わたし、幸せじゃないな」なんて違和感を感じても、「結婚」という契約を1度交わしたら、そうそう簡単には契約破棄できない。特に子供がいたら尚更ですよね。だから幸せを感じない結婚生活だけど、ずっとレスだけど、子供の為にと自分の気持ちを押し殺して我慢して過ごす。素敵な人に出会って恋したら、世間からは「不倫」と罵られる。

もちろん結婚の一発的中で、一生の伴侶と一緒になれる人も沢山いらっしゃると思います。それはとても幸せなこと。わたしは残念ながら、幸せになれなかった。こんなわたしに、今一度「結婚」の意味を教えてください。

〜ひとみしょうのお悩み解決コラム〜

結婚生活って、部活の合宿みたいなものだとぼくは考えています。

思いやりがすべて

部活の合宿って大変じゃないですか。

朝は5時に起きて、みんなで朝ごはんを作って食べたら6時から練習。9時か10時に休憩があってまた練習。からの、みんなでお昼ごはんをつくり……みたいな感じで夜の10時くらいまで延々と続くのが合宿ですよね。

そのようなハードな日程をこなそうと思えば、言うまでもなく他者に対する思いやりがないと無理ですよね。

友情だって必要でしょう。かわいい女子(かっこいい男子)に恋する気持ちだって芽生えるかもしれません。でもまずは思いやりでしょう。それがないとなにもはじまらないのが合宿。

結婚生活もまったく同じだとぼくは考えます。

男女の愛だって必要でしょう。燃えるようなエッチに代表されるキラキラした恋心だって必要でしょう。でもなによりもまず、相手に対する思いやりがないと話が始まらない。それが結婚生活ではないでしょうか。

妻に捨てられる夫たち

思うに、多くの女性は「結婚生活には愛より何より思いやりが必要だ」と思っていないのではないでしょうか。

たとえば、旦那が無職になった、あるいは収入が激減したとき、「離婚ね」と言う奥さんって多いらしいんですよ。マジ? と思います。

旦那の稼ぎが悪くなったら離婚。そこには思いやりの欠片もありません。ただ「私の生活」「私が理想とする私になれるかどうかという問題」が横たわっているだけでしょう?

離婚後、その奥さんは幸せに暮らしているのかどうかは知りませんが、でも、人の価値観ってそう簡単に変わらないので、どこかで金を持ってそうな男を物色して付き合っているのかもしれませんね。

夫のほうは……ひとりアパートで淋しく暮らしているのかもしれません。あるいは住宅ローンはなんとか払えるということであれば、3LDKの家でひとり淋しくテレビでも見ているのかもしれません。

29歳で結婚したら「勝ち組」か?

きららさんが言うとおり、20代や30代で結婚を決断するのは、本当は無理なんでしょうね。自分が何者なのかなんてわからないし、この先どういう人生を歩みたいのかだってまだぼんやりしていて手探り状態ですからね。

それにもかかわらず、女性の多くは29歳までに結婚することを目標にしています。30手前で結婚すれば勝ち組という世間の声に従って。で、45歳になって「本当にこれでよかったのだろうか」と思います。「29歳で結婚したのって、あれ博打だったな」と思いつつ。

でも、それはそれでよかったのだろうと思います。というか、あとからよかったのか悪かったのかなどと考えても、そんなの後からとってつけた理屈であって、意味がないのです。後からなんてなんとでも言えるわけだから。

結婚の意味とは

ぼくは今年46歳になりました。2回目の結婚生活は今のところまあまあうまくいっています。これから先どうなるのかはわかりませんが、今はまあまあいい感じです(と、ぼくは思っています)。

なぜうまくいっているのかを突き詰めて考えるに、運がよかったからだろうと思います。たまたま偶然、運がよかった。だからバツ2になることなく、無事に暮らせている。

ぼくに限らず、結婚生活がまあまあうまくいっている人たちって、きっと「なぜかわからないけど運がよかった」と言うと思います。むろん、ご本人の努力もあるでしょうし、生まれもった選べないもの(家柄とかDNAとか)も影響しているでしょう。でもそれら全部をひっくるめて「運がよかった」。

そして、他人は、じつはその「運の良さ」こそに、嫉妬したり、真似したいと思ったり、ということではないかと思うのです。

運というものはそのメカニズムが誰にもわかりません。でも、一所懸命生きて、楽しむときは楽しんで、他者に対する思いやりがある、そういう人に向いてくるものではないかと思います。そのようなこと――つまり、部活の合宿のようなこと――を毎日やるところに結婚の意味があるように思います。

反対から言えば、部活の合宿にまったく興味がなく、ひとりでいたい人にとって、結婚(という制度)は無価値なものかもしれません。

(ひとみしょう/作家・キルケゴール協会会員)

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