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出産直後に夫のうつが発覚。二人で乗り越えた方法

  • 2021.10.2

ウィメンズヘルスアカデミーメンバーでもあるヨガ講師、武藤沙織さんが、夫のうつ病を3年で寛解させるまでの経験をシェアしてくれた。周囲にうつで悩む人がいたら、参考にしてみて。

夫がうつの診断を受けたのは、2015年の1月。私が長男を出産して4カ月ほど経った頃だった。長男の出産後しばらく実家で世話になっていたので、夫が子どもと会うのは週末1~2回のみなのに、いつもひどく疲れていて実家で眠ってしまうことも多々あった。その時は仕事が忙しいのだろうとしか思っていなかった。

子どもを連れて自宅に戻ってしばらくした頃、夫が「オレうつかもしれない」と打ち明けてきた。一瞬驚いたが、すぐにメンタルクリニックへ一緒に行った。当時のことを夫に聞くと「正直何が原因でそうなったのかはっきりわからない。でも色々なことが重なったのだろうな」と言っていた。

それからは通院しながら会社に行っていたが、徐々に行けない日が増え休職することになった。治療は問診、投薬でおしまいといった様子で、とにかくゆっくり休むことが一番の薬ということで、自宅で寝ていることが続いた。

私は初めての出産、育児に追われ先のことを考えては不安になることが多かった。このままでは私の心も壊れてしまうと思い、まず始めに周りの人に夫がうつであることを話した。すると治療の方法や、相談する場などの情報が集まってきた。私自身も話すことで状況が整理できたように思う。そして産後しばらく休んでいたヨガを再開した。凝り固まっていた体がほぐれる開放感と、ちゃんと息が吸えるという感覚、自分の心身を感じる時間が、その時の私にとても必要なことだった。それからはできるだけヨガの時間をとり、簡単な太陽礼拝を繰り返し行っていた。

Women's Health

うつ治療が始まって1年半ほど過ぎた頃、夫の知人が富士登山に誘ってくれた。うつの人を楽しいところに連れ出すことや、気分転換を促すのは逆効果になることがあるということは知っていた。しかし以前うつについて調べた際に、少し息が上がる程度の運動量で、誰かと競ったりしないような運動が良いというのを目にしたことがあったのを思い出し、それはまさに登山ではないかと思った。

Women's Health

私の後押しもあり、練習のため低山に挑んだ夫は、徐々に山に行く回数が増え、山関連の雑誌やグッズを買いに出かけるようにもなった。時を同じくして、段々と薬の量が減っていき、ついに社会復帰することができた。今回の記事を書くにあたり、改めて夫に登山の魅力を尋ねると、「当時はよくわからなかったが、山を登っている間は何も考えていなかった。そのせいか、心が落ち着いて平静を取り戻していたように思う」と言っている。

それはヨガでいうところの「今この瞬間を感じる」ことに似ていると思った。過去未来にとらわれず、今この瞬間、今ここに集中することで思考が休まり、脳のリフレッシュになる。私にとってはまさにヨガがそれであり、夫は登山がそうであったのだ。

今ここに集中できれば何でも良いのかもしれないが、私や夫の実感としては体を動かしながらも頭の中は落ち着くようなことが、健やかな心身を維持していく上で必要であるように思う。

寛解した現在も登山は継続しており、私には違いのわからないギアが増え続けているが、元気が一番! と心広く見守れるのは、病気になった副産物かもしれない。

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