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東京駅から「乗換1回」どこまで行ける? 札幌から鹿児島まで網羅する鉄道路線のスゴさに驚きの声多数

  • 2021.9.29
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日本の一大ターミナル、東京駅。さまざまな新幹線・在来線が通るこの駅から「乗換1回」で行かれる場所とは? 独自の路線地図を作り上げた鉄道ファンに、驚きと称賛の声が上がっています。

多彩な検証「路線図」制作者をインタビュー

日本は、世界有数の複雑な鉄道網を擁する国。駅で列車に飛び乗って、一体どこまで行けるだろう――? そんな空想を広げ、オリジナルの路線地図作りにいそしんでいる鉄道好きのツイッターユーザーがいます。

日本のターミナル駅、東京。ここから「乗換1回」で行かれる範囲とは?(画像:写真AC)

とと《おっととほくほく鉄道》@東京アドベンチャーラインさん(@Ottotohokuhoku)。

・東京駅から乗換1回すれば全国どこでも行ける説・東京駅からワンコインでどこまで行ける?

などの仮説をみずから立てて検証し、結果を自身のツイッターアカウントで発信。そのたびフォロワーたちからは驚きや称賛の声が寄せられています。

東京駅といえば、数多くの新幹線・在来線が乗り入れる一大ターミナル駅。新型コロナ禍で気軽に遠出できないからこそ、在宅で少しでも旅行気分を味わいたいと考える人も増えている今、とと さんにオリジナル路線地図やその作成意図についてインタビューを行いました。

赤い線は「乗換なし」青い線は「乗換1回」

「幼い頃からよく鉄道を利用していて、気づいたときには電車が好きでした。その後、自分で鉄道について調べたり、本を読んだりするようになり、鉄道って面白いなとさらに好きになっていきました」(とと さん)

自作した路線地図まずひとつめは「東京駅から乗換1回すれば、全国どこでも行ける説」です。

この作成を思い立ったのは、以前ツイッターで別のユーザーが「東京駅から乗り換えなしで行ける都道府県」を白地図に塗り分けている投稿を見たことがきっかけだったと言います。

東京駅から乗り換え1回でどこまで行ける? 検証した路線地図(画像:とと さんのツイート)

各説の検証の主な条件は、(1)バスや飛行機は含まず、鉄道のみ。また(2)構内通路でつながっている東京メトロの大手町駅も、東京駅に含むこと。

架空の鉄道を自由に書くことができるサイト「空想鉄道」を使い、空いた時間を見つけては1か月ほどかけて完成させたと言います。

図上、赤い線で表しているのは「東京から乗換なし」で行かれる場所、そして青い線で表しているのが「東京から乗換1回」で行ける場所です。

乗り換え1回という条件を加えることで鉄道網がぐっと細かくなり、行かれる範囲が格段に広がるさまが見て取れます。

地元も乗り換え1回!」鉄道ファンたち興味津々

北は北海道・札幌から、南は鹿児島まで、沖縄県を除く45道府県を網羅した「乗換1回」地図。とと さんいわく「結果『ほぼ全国行ける』ことが分かりました。さすが鉄道大国日本です」。

ツイッターでこの投稿を見た鉄道ファンたちからも、

「(出発地点を)新宿に変えたら一気に範囲狭くなりそう」「東京都内なのに2回以上乗り換えないと行けない駅もあるかな?」

と、熱心に内容を読み解くリプライ(返信)が数多く寄せられていました。

とと さんは「フォロワーさんたちからの『自分の地元も東京駅まで乗り換え1回で行けるんだ!』という感想が多く、新たな発見をしてもらえてとてもうれししかったです」と話します。

「東京駅からワンコイン」横浜や埼玉へも

一方、もうひとつのオリジナル路線地図「東京駅からワンコインでどこまで行ける?」は、南関東一帯にクローズアップしたものです。こちらの検証条件には、(3)おおむね徒歩10分以内程度で移動できる駅同士は、乗り換え対象としてカウントすること、が加えられています。

電車賃500円で東京駅から行かれる場所、都心から特に離れた例では京王線の高幡不動駅(日野市高幡)や、東急田園都市線すずかけ台駅(町田市南つくし野)など。この2駅の場合、東京駅からまず徒歩で移動し東京メトロ日比谷駅に乗るところからスタートするルートです。

東京駅から直線距離で約32km離れた京王線・高幡不動駅へもワンコインで(画像:写真AC)

さらに、県境をまたいで京急線・日ノ出町駅(横浜市)や東武東上線ふじみ野駅(埼玉県富士見市)へも行かれるのだそう。

逆に、東京23区内なのに行けない場所もあるといいます。東急世田谷線の松原駅(世田谷区松原)や東京モノレール羽田空港線の整備場駅(大田区羽田空港)がそれに当たるそうです。

実際の直線距離とは異なる、鉄道網上の意外な“遠近感”が明らかになりました。

プロの鉄道ライターに聞く、地図から見えること

せっかくの力作なので、プロの鉄道系ライターにもこのふたつの路線地図を見てもらうことにしました。

当サイト(アーバン ライフ メトロ)のほか「東洋経済オンライン」や「Yahoo!ニュース個人」などで執筆している小林拓矢さんです。まず、ひと目見た感想として「これだけの労作、調べていただいたことにまずは感謝します」と切り出しました。

ひとつめの「乗換1回」路線地図については、

「乗り換えなしでもここまで全国各地へ行けて、さらに1回の乗り換えでほぼ全ての場所へ行くことができる。このこと自体が日本の鉄道網の充実ぶりを示していると思います。新幹線網が充実したことにより、各地への鉄道アクセスは便利になったといえるでしょう」。

さらに、鉄道に関する豆知識として、

「実は長距離特急・急行夜行列車が充実していた頃の方が、乗り換えなしで行ける範囲は多かったのです」

とも明かします。

「しかし、夜行列車は本数が少なかったため、今のように1回の乗り換えで昼間の列車で各地へ短時間で行ける方が、利用者にとっては便利だと考えます。JR各社には、今のような体制を大切にしてほしいです」

と添えました。

さらに、「ワンコイン路線地図」については「この図は『東京圏のどこに住むのがいいのか』ということを示していると言えそうですね」と指摘。

東京駅からワンコイン、行かれる範囲は意外と広い?(画像:写真AC)

「500円ワンコインということは、都心に出やすい運賃の上限と言えるでしょう。私が暮らしている調布周辺の駅を見ますと、京王線では(東京駅から)高幡不動駅まで500円でOKなのに対し、中央線では武蔵小金井駅までしか500円で行けないということが興味深かったです」

「それでもけっこうな広い範囲に500円で行けるのは驚きです。テレワークが盛んになる今の時代でも、会社に行く必要がある日もあるはずです。(一般の勤務先では通勤定期の費用が出ますが)この図と各地の不動産価格を参考にすれば、割安な住まいも見つけやすいと考えます」

と、東京近郊に住む鉄道利用者にとって有益な情報も加えてくれました。

乗り換えや時刻表 「机上の鉄道旅」の楽しさ

2020年初頭以来、1年半超に及ぶ新型コロナ禍は、鉄道ファン――とりわけ「乗り鉄」を自認する人々にとってもつらい自粛期間となりました。なにせ、好きな電車に乗って全国への旅に出られないのですから。

乗り鉄・時刻表鉄・路線図鉄を名乗る とと さんは、「今はなかなか鉄道旅行は厳しいですが、路線図や時刻表を眺めるだけでも楽しいです」と話します。

「『乗換1回』の地図を作成した際、日本全国さまざまな路線について調べましたが、こんな列車があるんだ、とか、この路線はこんなところを走っているのか、など、たくさんの発見がありました。日本って狭いように思えて広いんだなと思いました」

先述のライター小林さんも、

「こんな状況だからこそ、机上で時刻表を読んだりネットでの路線検索をいろいろと試したりしている人もいるでしょう。時刻表といった規則性のある数字の羅列は、思わぬ想像力をかき立て、読んでいても楽しいものがあります」

コロナ禍で楽しむ「机上の鉄道旅」の魅力とは(画像:写真AC)

「『JTB時刻表』『JR時刻表』といった全国のJRが掲載されている時刻表で遠距離の旅を考えるのもいいですし、また東京圏の全列車が掲載されている『MYLINE東京時刻表』を読み込んで、ダイヤパターンを考えるというのも楽しいでしょう。徹底して想像力を駆使することができるのが『机上で楽しむ鉄道の魅力』ではないでしょうか」

と語ってくれました。

※ ※ ※

東京はじめ全国19都道府県に発令されている緊急事態宣言と8県のまん延防止等重点措置は、2021年9月30日(木)の期限をもって全面解除されることが決定しました。

すぐ気軽に遠方へ出かけるムードにはまだならないかもしれませんが、待ち望んでいた旅行の計画が手の届くところまで来ていると感じる人も少なくないかもしれません。

感染対策を万全にしたうえで、「東京駅から乗換1回」の旅へ出かけてみたくなった人もいるのではないでしょうか。

ULM編集部

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