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【蛙亭・イワクラ】解散を考えたこともあったけど、相方はやっぱり中野さんしかいない

  • 2021.9.27

ネタをやると、「暗くても、面白い人は面白い」って言ってもらえる

――イワクラさんは宮崎出身とのことですが、宮崎県出身の芸人さんが多くなってきてますよね。

イワクラ「とろサーモンの久保田さんが優勝されても『M-1グランプリ』が放送されていない県なのにって。ほかにもオカリナさん(おかずクラブ)やジェラードンのかみちぃさんもいますね」

――そんな宮崎県で育って、芸人を目指されたきっかけは吉本新喜劇を見たことだそうですね。

イワクラ「大阪に叔母が住んでたので、NGKを見に行きたいって。宮崎で新喜劇を見ていたので、どっちが先か覚えてないんですけど、お笑いに興味があったんです。その中に寄席もあって漫才も見て。それで、お笑い自体が好きになった感じです」

――そのときにすぐに芸人になりたいと思ったんですか?

イワクラ「そのときに吉本に入りたいっていいました。NSCって学校があると知ったので、そこに入るって皆に言ってまわって。実際に入るってなったときは、親からは『ほんとうになろうと思ってたんだ』って感じの反応で、止められはしなかったですね」

ネタをやると、「暗くても、面白い人は面白い」って言ってもらえる

――そのNSCに実際に入ってみて、ギャップがあったりしましたか?

イワクラ「けっこう明るい人が多くて、『お笑いってこんな感じじゃないと無理なのかな』と、序盤でくじけそうになってしまいました。私たちのときは700人くらいいて、夏に半分になったんですけど、明るかった人はそこでやめていって。多分、楽しいことを探していて、その楽しいことがお笑いじゃないと思ったんでしょうね。残った人は明るくないほうの人たちでした」

――前半にその楽しい空気に押されて「自分は向いてないのは」って思ってしまう人がいるのは、ちょっと可哀そうな感じもしますね。

イワクラ「ネタをやり始めると、暗くても面白い人は面白いんだって言ってもらえるので、私の場合はそこで大丈夫になる感覚はありました」

――ネタ見せは積極的にしてたんですか?

イワクラ「ピンのときにネタを二個くらいは作ったんですけど、声が小さくて、先生に『何言ってるかわからない』って言われてやめてました。そこから1ヵ月後くらいでコンビを組めたので、ネタ見せをするようになりました」

怒らない相方に、「お前、怒れよ!」って私がキレる

――コンビになったのは、入学してからどのくらいの時期だったんですか?

イワクラ「4月に入学して、2ヵ月くらいは相方がいなくて、6月に『相方探しの会』というのに行って、7月くらいにコンビになりました」

怒らない相方に、「お前、怒れよ!」って私がキレる

――そのときに組んだ中野さんとずっとやってきたんですよね。テレビを見てると、むかつくときもありそうだけど、やっぱり合ってる感じはしますね。

イワクラ「それはほんとに思います。一番よかったのは、面白いと思うところが一緒なところと、私が言ったことで全部笑うというところと、私がまとめる力がないので、ワーッて言ったことを全部まとめてくれるところです」

――単独ライブで、直前に設定を言ったら、それにアドリブで返してくれると。

イワクラ「それがめちゃめちゃ面白いと思います。でも、中野さんは褒められると、そこでちゃんと調子にのるので、そこで『いえいえ』とか言ってくれるといいんですけど……」

――中野さんのことは、文句とか、怒りとかを、あそこまで吸収する人もいるんだなとも思ってみてました。

イワクラ「本当に怒らないんで。性格的に一回も怒ったことがない人で、そのことで私が怒ったこともあります。『お前、怒れよ!』って、すごいキレ方したことがあるんです」

――もし、そこで中野さんがキレたら……。

イワクラ「ちゃんと喧嘩になると思います。でも、喧嘩になったことはないですね」

喧嘩になったことはないですね

解散を考えたこともあるけど、やっぱり中野さんがいい

――でも、イワクラさんはネタ作りで、中野さんが面白くなることを考えてるそうですね。もし他の人だったら、ここまで考えられなかったりするんでしょうか。

イワクラ「一回だけ解散したいなと思って話し合ったことがあって。本気で周りの人にも相談したりしていて。そのとき、この先、どうしようって考えたら、ピンは絶対無理だなと思って。新しくコンビを組むことになるとして、自分の周りで相方のいない人の顔を思い浮かべたけど、だいぶ狭まるなと。そうなったら、ムカつくけど中野さんがいいなって」

解散を考えたこともあるけど、やっぱり中野さんがいい

――解散を考えたのは、そもそもどういう理由だったんですか?

イワクラ「いろんなことが積み重なって。直してっていうことを直さなかったり、ネタの中で変えてって言ってたことを変えてないとか、細かいことが積み重なって、一気にばーんと。中野さんも言い訳してきたので、もういいですって。それもやっぱり私が一方的に言っただけなんですけど」

――それっていつ頃だったんですか?

イワクラ「4年くらい前ですね。ちょうど『ABCお笑いグランプリ』で初めて決勝に行ったときで。賞レース自体でも、はじめて決勝に残ったときで、決勝に残ったのに解散したいって思ってたんです。一番大事なときに」

――思いとどまったのは?

イワクラ「ABCのネタの反響もよかったし、中野さんも『絶対、解散はしたくない』って感じだったので」

――解散しないでよかったですよね。最近は、バラエティでも活躍していますし。

イワクラ「NSC生だったときみたいに、『テレビも自分には向いてない』って思うこともあるけど、周りの先輩や知人から、『テレビを見て面白かったよ』って言ってもらうと、『楽しい』っていうか、『よかった』って思えるようになりました。なんとかやっていけると思えるように。どうやっていけばいいかわからないけど、とにかくやっている感じです」

――NSCのときも声が小さいって言われてたってことですし、やっぱりテレビに出るときってスイッチ入れて頑張ってる感じがあるんですか?

イワクラ「はい。ほんとにそんな感じで。エナジードリンクを飲んで、強くなった気にならないとやってけない感じで、普通の精神状態じゃないですね。でも、知ってる人と出演できる番組は、その方たちとの関係性があるのでトークはしやすいんですけど」

どうやっていけばいいかわからないけど、とにかくやっている感じです

――そこに誰がいると、楽ちんな感じですか?

イワクラ「大阪のときから知ってる尼神インターの渚さんとか、ガンバレルーヤのおふたりとか、最近は仲がいいエルフの荒川とか。そういう人がいるとエピソードが言えるので。東京に来てからは、ヒコロヒーさんと話をするようになったり、納言の幸さんとも仲良くなったんで。特にヒコロヒーさんは、めっちゃトークで自分のことを言ってくれるので、すごいありがたいと思います」

キング・オブ・コントの決勝進出。オズワルド伊藤くんは「すげーっ」って

――ほんと、このインタビューをしてると、みなさんそうやって自然に助け合ってるんだなって実感しますね。上京したのがちょうどコロナで最初の緊急事態宣言が出た頃だったんですよね。

イワクラ「去年の4月だったんです」

――なかなか飲みに行ったりができなかったでしょうね。

イワクラ「大阪時代はめっちゃ行ってたので、それでいろんな話ができたのに、それができなかったということはありました」

キング・オブ・コントの決勝進出。オズワルド伊藤くんは「すげーっ」って

――そのとき、心境的にはどうでしたか? 落ち込んだりする人もいるし、逆に平気だったという人もいるし。

イワクラ「上京してひとり暮らしをした家の下の階から奇声が聞こえてきたりして、『これはちょっと自分もメンタルやられるな』と思って。東京に来て3ヵ月で『ルームシェアがしたい』となって。そのタイミングで、オズワルドの伊藤くんがルームシェアのルームメイトを募集していたので、飛び込んだんです」

――そんな経緯があったんですね。大阪時代はどんな人と飲みに行ってたんですか?

イワクラ「芸人と行くときは、エルフの荒川と、紅ショウガの熊元プロレスと、バイト先の店長と女子会をするという」

――店長も一緒なんですね。

イワクラ「その人も面白い人ですごく気が合って。お笑いの話をしているときも、『私たちの世界でもそういうことあるよ』ってすごくいいことを言ってくださって」

――イワクラさんはこのままのテンションで飲みの場にもいるんですか?

イワクラ「荒川はテンションあのままで、私もこのままで、真逆で。けっこう真面目にお笑いの話もしましたね。荒川がテレビに出ることになったときに、『どんな感じでしゃべればいいですかね』って聞かれたら、『荒川は荒川のままで、嘘のない感じのギャルで行けばいいと思うよ』とか、そういう話をしたり。大阪のとき、テレビはほとんど出ていなかったので、舞台の平場でどうしたらいいか、という話もよくしてました」

――ルームシェアをしてる人たちともお笑いの話にはなりますか?

イワクラ「お笑いの話題になったらめっちゃしますね。賞レースの前にお互いのネタを見せたり。森本サイダーがR-1に出るときには、『こっちのネタがいいんじゃない?』とか、思ったことを言い合おうということになったり」

――先日、オズワルドの二人にも取材したのですが、皆、ちょっとずつジャンルも違うのでそういう話がしやすいとも言われていました。

イワクラ「それもありますね。私たちはコント中心なので、『M-1グランプリ』のときは、ちょっと客観的に見られるので。逆にオズワルドはコントをしないので、話を聞いてもらうのに丁度いい。でも『ABC(お笑いグランプリ)』のときは、オズワルドも私たちも同じコンテストの決勝に行ったのでピリつきましたね。オズワルドと同じインタビューの場で、『ABCはどうですか?』って聞かれることがあって、私が『優勝します』って言ったら、伊藤くんも『僕たちが優勝します』ってかぶせてきたりとかあったんで、そのときはバチバチでした」

――オズワルドが『ABC』で優勝したときは、部屋からなかなか出てこられなかったとか。

イワクラ「めっちゃ悔しかったです。『M-1グランプリ』だったら、『おめでとう』ってなるけど、それぞれ大会ごとに違う感情があるので。『おめでとう』とは言いましたが、悔しかったです。でも、『キング・オブ・コント』で決勝進出が決まったときは、伊藤くんはめっちゃ『すげーっ』て言ってくれました」

後編(『キングオブコント』で優勝できたら、やっと自信がもてるのかもしれない)は、10月1日公開予定。

蛙亭・イワクラ

蛙亭・イワクラ
Profile
1990年4月10日生まれ、宮崎県出身。NSC大阪校34期(同期)の中野周平とコンビを組む。ボケとネタづくりを担当。
◆Instgram:@babybabybodybaby
◆YouTube:宮崎よかとこチャンネル【蛙亭 イワクラ official】

撮影/山本佳代子 取材・文/西森路代

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