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【彩凪翔】元宝塚歌劇団・雪組男役スター『凪様』×ヘアメイクCHIHARU対談~後編「初舞台から美少女で目立ってました」

  • 2021.9.18

退団後初のインタビューでVOCEに『凪様』こと彩凪翔さんが登場したのは5月1日。彩凪さんの歌劇団在団中、そして“今”に迫った取材は公開初日から大反響を呼び、「凪様のインタビューをもっと読みたい!」、「彩凪さんのメイク企画はできませんか?」とファンの方々からたくさんの問い合わせが。 そこで『彩凪翔大特集』をなんと9回にわたってお送りいたします。

CHIHARUさんとの対談企画はまだまだ続く!

前回に引き続き、今回はスペシャル対談の後編をお届け。「『るろうに剣心』のポスター撮影でご一緒させていただいてから、ずっとメイクアドバイスをもらっていました!」と凪様が絶大な信頼を寄せる、元宝塚男役スターで、現在ヘア&メイクアップアーティストとして活躍中のCHIHARUさんとの本音トークは必読。前編では『凪様』とCHIHARUさんの出会いからメイクアドバイスまで、細かくお届けいたしました。今回の後編では『凪様』の今後について、二人がじっくりトーク。最後まで楽しんで読んでくださいね。

翔ちゃんは“懐が深い”タイプなの。

CHIHARUさん
CHIHARUさん

宝塚はほかの外部ミュージカルと違って、すべて自分でプロデュースしないといけない世界。だから、上手くいけばいいけれど、勘違いしていたらどんどん違う方向に行ってしまうから、やっぱり演出の先生に「髪型は、髪の色は? どうしましょう?」って相談します。小池先生がすごいのは、本当にすごく細かいところ(笑)。


彩凪翔さん(以下、彩凪さん)

修正依頼がミリ単位で来ますよね(笑)。


CHIHARUさん

そうそう!(笑) でも、そういうことを“美意識”として生徒に伝えてくれた小池先生の存在は大きかったと思います。それまでは「男だから分からない。メイクなんてどうでもいい」という雰囲気だったんです。もともと小池先生は細かいところまで高い美意識を持ってらしたけれど、私がメイクで入るようになってからはさらにメイクテクニックを覚えてしまわれたので、もっと「こうしたらいいんじゃない?」と生徒に言っているようで……(笑)。


VOCE編集部

なんと!(笑)


CHIHARUさん

私がメイクアップアーティストという仕事を目指したのは、もっと一般の方々に宝塚を受け入れてほしかったというのがありましたからね。


彩凪翔さん
彩凪さん

CHIHARUさんの存在はまさに“革命”だったと思います。星組で、ちえ(柚希礼音)さんのコンサートにCHIHARUさんがメイクアップに入られたのを見て、私たちの周りはみんな羨ましがってましたもん。


CHIHARUさん

ちえちゃんのメイクを担当することが多かったからね。宝塚には“誰かに憧れる”というところがあるんですよ。このジェンヌさんのここが好き、この先輩がこうやっていたから自分もやってみたいとか、この先輩が踊っていたダンスナンバーが踊りたいとか……。「星組さんはCHIHARUさんにメイク教えてもらって勉強になったと言っていたから、私たちもやりたい」と思っていた子たちは多かったと思う。


VOCE編集部

彩凪さんにとっても、今日はご自身が目指している女優像とか、そういうのを考えるいい機会でしたよね、きっと。


CHIHARUさん

翔ちゃんはある意味“懐が深い”タイプ。「もっとこうじゃないと!」と自分に変なこだわりを持っている下級生は意外と多いんですが、翔ちゃんは制限をつくらないで全部受け入れてくれるし、変わっていこうという気持ちがすごくある。ボーっとしている、可愛いところもあるけど(笑)。


彩凪さん

卒業したというのもあって、自分が考える“安全パイ”の中でやるのはもったいないと思ったんです。せっかくこういう機会をいただいたのだから冒険するべきだと思いますし、そこに意味があると思うので。


CHIHARUさん

翔ちゃん、さすがね!


彩凪さん

CHIHARUさんにお化粧していただき、スタッフの皆さんに雰囲気もつくっていただいた中で実際に撮影していると、新たに生まれてくるものがあるんですよね。それが今後の引き出しになっていくような気がします。


CHIHARUさん

翔ちゃんは表現力があるから。しかも私がメイクをしている間に、きっちりと状況を把握しているのもすごい。ビューティモデルで例えるなら、森絵梨佳ちゃんみたいな感じ(笑)。彼女も、私が何も言わなくても雰囲気を察知してくれる。翔ちゃんもそこが長けていると思う。


VOCE編集部

最後の『ノーブル銀幕女優メイク』のドレスは、彩凪さんご自身の気持ちのハードルが高いかと思っていましたが、まったくそんなことはなかったですね。


彩凪さん

もちろん戸惑いはあったのですが、ドレスと甘すぎない感じのバランスがとても面白くて、むしろやりやすかったです!


彩凪翔さん
VOCE編集部

今後、CHIHARUさんと一緒につくってみたい女性像とか、また挑戦してみたいことなどはありますか?


彩凪さん

まだショートヘアなので難しいですけど、もう少し髪の毛が伸びたら、ヘアアレンジとか教えてもらいたいです。今はとにかく全然できていなくて、コテで内巻き、外巻きをするぐらいが精一杯で……(笑)。


CHIHARUさん

翔ちゃん、今のショートヘアもすごく似合っているよ。ショートヘアって全顔で勝負!って感じになって何もカバーできないから(笑)、やっぱり難しいヘアスタイルなんだよね。もちろんロングヘアも似合うと思うけど、今のスタイルも素敵だよ。キュートなショートヘアになってて、男っぽい感じではないからね。


彩凪さん

もしくはベリーショートもいいかなって考えてます。もっと短くして、でもきちんと“女子”のショートヘア(笑)。


CHIHARUさん

あー、それも似合いそう(笑)。アレンジが分からなくなったら、いつでもまた教えるから!


初舞台から注目していた「凪様の美貌」。これからの目標は、“芯の強い女性”

CHIHARUさん
VOCE編集部

CHIHARUさんは彩凪さんのことを、初舞台の口上のときから注目していたと伺いました!


CHIHARUさん

キレイな子がいるって話題でした! 同じ92期生のゆりか(真風涼帆さん)がミズ(水夏希さん)に似てるとか、そんなのも話題になっていて、そういう話に出る子たちのひとり。美少女だったからね。


彩凪さん

えええええーーーーー。そうなんですかーーー!!! 光栄です♡


彩凪翔さん
VOCE編集部

CHIHARUさんだけが知っている「彩凪翔伝説」はありませんか?


CHIHARUさん

『るろうに剣心』のとき、IKKOさんみたいな髪型だとか言われてたよね(笑)。でもあとはそんなにないよね。


彩凪さん

バブ翔くらいですかね(笑)。


CHIHARUさん

あの頃は本当に子どもっぽかったもん。学年が小さくてポスターメンバーだったというのもあるけれど、トゥルントゥルンの肌だったー♡


彩凪さん

あのときは入る時間が分けられていたのですが、私の入った時間が上級生の方ばかりいらっしゃるタイミングで、その中の最下級生だったんです。


CHIHARUさん

すごく個性的な役だったじゃない? 「こんな役を翔ちゃんがするのーーーー?」って。


彩凪さん

ですよね(笑)。実写版の映画では香川照之さんが演じられた役です。原作が眼鏡をかけていたので、私もかけることにしました。


CHIHARUさん

あんなに個性的で難しい役に挑戦するのね……と、すごく気になっていたんだけど、舞台を観たら見事に役を演じていて、驚いた。普段はこんなふうにふんわりなのに(笑)、舞台に出たらメリハリがすごい!


彩凪さん

CHIHARUさんに言っていただけると本当に嬉しいです〜。


CHIHARUさん

下級生でも翔ちゃんのことは“男役さん”として尊敬している人が多かったんです。そういう“本気度”や“すごさ”みたいなのは伝わりますから。望海風斗 MEGA LIVE TOUR『NOW! ZOOM ME! ! 』のときにも、下級生の子たちに向かって「この顔がお手本だよ。こうやってメイクして翔ちゃんの顔になって」って言ったんだよね。あのときもすごくキレイだったもんね。


彩凪さん

CHIHARUさんが教えてくださったからです! これからは女性的なメイクを勉強して、またCHIHARUさんに教えていただかないと……。


これから「凪様」が目指したいのは、凛とした女性

CHIHARUさん、彩凪翔さん
VOCE編集部

教えてもらったものを再現できる能力があるというのも、間違いなく才能のひとつです。ちなみにこれから理想としている女性像というのは、どんなものですか?


彩凪さん

芯が強い女性ですね。凛としている感じ。


VOCE編集部

男役のジェンヌさんが卒業して女優になるときにインタビューをすると、そういうイメージを目指される方ともっと女性っぽい方向に行かれる方と大きく分かれますね。あと、「男役のジェンヌさんあるある」なのか、多くの方が実際はわりとふんわり柔らかい雰囲気な気もします。娘役さんのほうがチャキチャキしているイメージがあって。


CHIHARUさん

女役は大変なんですよ。男役は周りも甘やかして育てられるけど、女役さんは本当に頑張って頑張ってしっかりしないとダメだから。翔ちゃんが『ひかりふる路(みち) 〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』でマノン・ロラン夫人をやったときも大変じゃなかった?


彩凪さん

ずっと宝塚で女役を演じてこられてきた方々の中に、男役の私がポーンと入ることに対して、やはり絶対に失礼にならないようにしようと、精一杯努めなくてはという気持ちで臨みました。女役さんの役をひとつ奪ってしまうことになるんですよね。貴重な役をいただくわけなので、誠意を持って演じることが大事だと思いました。


CHIHARUさん

化粧もね……。


彩凪さん

はい。それはもう、絶対にキレイにして出ないと女役さんに対して失礼ですから……。当時、私はすごく男役がやりたかった時期だったんです。だから、最初は「どうして?」と思ったこともありましたが、かなり勉強になりました。あの役をやっていたので、お化粧も違うパターンが学べたというのもあります。


VOCE編集部

CHIHARUさんのような凛とした先輩が卒業しても活躍されているのは、とても頼もしいですよね。


CHIHARUさん

ありがとうございます(笑)。宝塚育ちの人は基本的にチャキチャキしているところがありますから、それが“凛とした”雰囲気に見えるのかも。宝塚はすべて“段取り”の世界です。早変わりでひとつでも間違ってしまうと、次に間に合わなくなってしまう。髪をやってもらう間にあれをして、これもしてと全部段取りを決めている世界で育っているから、自然と“凛とした”印象になるというのはあるんじゃないですかね。


VOCE編集部

そういう舞台裏も“凛とした印象”にひと役買っているんですね。


CHIHARUさん

ちなみに私は、宝塚を卒業したときに母から「宝塚を辞めたら、もう飴玉一個だってもらえないよ」と言われたんです。誰もチヤホヤしてくれないから、って。でもね、辞めたほうがラク!(笑)


彩凪さん

そうなんですか?


CHIHARUさん

宝塚で学んだことはとても大きくて、辞めたらもっと大変なんだろうって想像していたんだけどね……(笑)。でも辞めたほうがラクだった。宝塚がツラかったというのではなく、「辞めても楽しいよ!」って。だから後輩のジェンヌたちには、いつもそう言ってるんです。


彩凪さん

私もCHIHARUさんには、卒業することを先にお伝えしました。


CHIHARUさん

そうそう。連絡くれたよね。辞めたあとのことを勝手に心配していたけれど、翔ちゃんは宝塚後の人生も活躍できる子だと思っていたから……。宝塚の男役という枠だけにとらわれることなく、世間に出て、「こんな素敵な女性が宝塚にいたんだよ」というのをアピールできる子なんですよね。一般の女性に『宝塚=美』というような認識を持たせてくれるアンバサダーとして最適だと思っています。


彩凪さん

私もそういうお仕事にすごく興味があったので、色々発信していけるといいなぁと思います。今日みたいにVOCEさんに出演させていたくこともすごくやってみたかったので、本当にありがたいと思います。


CHIHARUさん

翔ちゃんはチャレンジ力が高くて、伸びしろがたくさんあるから、楽しみ。しかも本人が「楽しんで生きていこう!」としているのがすごく分かるじゃないですか。そこが頼もしくていいと思うんです。「これ、やってみない?」と声をかけると「やりたいです!」とすぐに返事をしてくれるんです。きちんとアンテナを張って、いろんなことと真摯に向き合ってくれるから、あれもこれも(笑)やらない?っておすすめしたくなっちゃう。


彩凪さん

どんどんお願いします(笑)。


CHIHARUさん

だからメイクのしがいもあるんだよね。アイラインをピッと引いたら、それを引いただけのパワーを発揮してくれるから。やったことをやっただけ返してくれるから、ヘアメイクとしてすごくやりがいがあります。


VOCE編集部

今日のメイクの中で、プライベートで真似してみたいのはありましたか?


彩凪さん

『ゆるふわガーリー』をもう少しナチュラルにした感じかな……。私がやるとマスカラをブラックにしちゃいそうですけど(笑)。


CHIHARUさん

萌え袖もとっても可愛かったし、似合ってた!


彩凪さん

大丈夫でしたか(笑)? 女性の格好はまだまだ照れくさい部分がありますけど、これからもっといろいろ挑戦していきたいと思います。CHIHARUさん、またぜひメイクもヘアスタイルもたくさんアドバイスください!!!


CHIHARUさん

もちろんです! 今のちょっと“ムズムズする感じ”はなかなか経験できないからね。これからの道、第二の人生だと思って頑張ってね!


来週はついに動画を公開! 彩凪翔20問20答を3週連続でお届け。

撮影/城健太(vale.) ヘアメイク/CHIHARU 取材・文/前田美保

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