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京都の喫茶シーンを盛り上げる喫茶店3軒。それぞれの「残したいもの」とは?

  • 2021.9.17
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先人から受け取り、受け継ぐ。感銘を受け、愛着を持ち、次の世代に伝えたいと願うもの。喫茶人のさまざまな思いが京都の喫茶シーンを盛り上げる。

1.先代から引き継いだ店を“過去の思い出”にしない。〈ゴゴ〉/出町柳

パンの仕入れ先、カットの仕方、具の味付け。何ひとつ変えていないミックスサンド650円、クリームソーダ600円。
そこかしこに凝った意匠が見られる。奥の壁にはマスターと奥様の写真も。
「昭和のレガシーが残る」

出町柳駅を利用する通勤客のために、1963年の創業時からモーニングを提供している。初代マスターの河瀬馨さん亡き後は、義理の娘さんが「ここにずっとあること」を目標に、遺された店を守っている。店先の小さな焙煎機で少量ずつ豆を焼き、サイフォンで抽出する香り高いコーヒーは、皆の記憶にある「先代の味」だ。

約60年経った今も色褪せない昭和のグラフィック。

〈ゴゴ〉
京都府京都市左京区田中下柳町8-76
075-771-6527
8:30~17:00 日祝休
16席

2.ホッと一息つきたい時に自然と足が向く場所。〈Coffee Perch〉/西陣

「回廊さんを懐かしんでもらえたら」。ジャムトースト350円(提供11時~)は今は無き名店への愛を込めたオマージュ。

喫茶店で過ごす時間を大切にしてきた水口知恵さんが夫の辰紀さんとオープン。店名は「ふと足を向けたくなる止まり木みたいな場所に」の思いから。人気のあんバタートーストや〈カフェ回廊〉のジャムトースト、新たに始めたパフェやピラフなどメニューの布陣も強力。

50年前から代々喫茶店が入っていた居抜き物件。造作はほぼ当時のまま。(店内は撮影禁止)
常連の多くはチケットを利用。ブレンド440円。「店名のPerchは「止まり木」の意」

〈Coffee Perch〉
京都府京都市上京区智恵光院前之町230
075-417-0175
9:00~19:00(フード18:00、ドリンク18:30LO)金休、不定休あり
20席

3.今は無き名店のスピリットを引き継ぐ新時代のカフェ。〈hara(ハラ)〉/河原町今出川

一時代を築いた伝説のカフェ〈efish〉で最後の店長を務めた原こころさんが昨年カフェを立ち上げた。家族のようなお客さんたち、金魚鉢、ライムジュース…多くのものを受け継ぎながら、鉄板で調理するBLTなど長年温めてきたアイデアやセンスを形に。リピーター量産中のBLTサンド902円、ライムジュース880円。

〈hara(ハラ)〉
京都府京都市上京区梶井町448-62
075-285-4821
10:00~19:00 火休、不定休あり
14席

さまざまな思いが喫茶シーンを豊かに。

国の調査でコーヒー消費量全国一位の座に輝き、「日本一のコーヒー好き」のお墨付きを得た京都。昭和初期には今も続く老舗喫茶が続々と開業し、幾度ものカフェブームを経て盤石な喫茶文化を作り上げた。〈ゴゴ〉の開業は1963年。老舗ロースター〈玉屋珈琲〉の販売指導員だった河瀬馨さんが、美しいと評判のママと始めた店だ。先代の仕事を長年見てきた二代目は「マスターの〈ゴゴ〉をそのままの形で残したい」と、昭和喫茶のレガシーを損なうことなく引き継いでいる。

一方で閉業した店の思いやメニュー、空間などを継承しながら、新しい店を立ち上げるケースも。界隈の人々に長年愛された古い居抜き物件を「工夫を凝らした空間だから」と、最小限の手直しで新たな町の止まり木へと変えた〈コーヒーパーチ〉。〈efish(エフィッシュ)〉を拠り所にしてくれていた皆を想い、新たな種を蒔く〈hara〉の原さん。それぞれの「残したいもの」が京都の喫茶シーンをますます豊かにしていく。

(Hanako1200号掲載/photo : Yoshiko Watanabe, Haruka Kuwana text : Atsuko Suzuki, Aya Honjo, Mako Yamato)

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