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【彩凪翔】元宝塚歌劇団・雪組男役スター『凪様』×ヘアメイクCHIHARU対談~前編~「昔は“バブ翔”って呼ばれてました」

  • 2021.9.11

退団後初のインタビューでVOCEに『凪様』こと彩凪翔さんが登場したのは5月1日。彩凪さんの歌劇団在団中、そして“今”に迫った取材は公開初日から大反響を呼び、「凪様のインタビューをもっと読みたい!」、「彩凪さんのメイク企画はできませんか?」とファンの方々からたくさんの問い合わせが。 そこで『彩凪翔大特集』をなんと9回にわたってお送りいたします。

凪様、メイク3変化が大反響!!

9回にわたる『彩凪翔大特集』のうち、まずお送りした「メイク3変化企画」は大きな反響を呼びました。 「ハンサムレディメイク編」では、おなじみのかっこいいスタイルながら、ピンクのスーツでレディ感も漂わせ、「ピンク似合う! 新鮮!」、「やっぱりかっこいい翔くんに胸キュン」とファンの間で話題に。

【彩凪翔】元宝塚歌劇団・雪組男役スター『凪様』メイク3変化!「ハンサムレディメイク編」

「ゆるふわガーリーメイク編」では、凪様が初めてスカートを穿き、萌え袖にも挑戦。「え……天使なんですか?」、「この人、数か月前までリーゼントでキメキメだったんですよ?」とさらにファンの心をわしづかみに。

【彩凪翔】元宝塚歌劇団・雪組男役スター『凪様』メイク3変化!「ゆるふわガーリーメイク編」

そして第三弾の「ノーブル銀幕女優メイク編」では、なんともゴージャスなドレスに身を包み、美しいデコルテも披露。「きゃーーーー(卒倒)」、「美しすぎて涙が出ました」と新しい凪様の姿に各所から悲鳴の声が聞こえました。

【彩凪翔】元宝塚歌劇団・雪組男役スター『凪様』がドレスを着た!「銀幕女優メイク編」

CHIHARUさんとの対談企画が実現!

ヘア&メイクアップアーティスト

CHIHARU

love me 塾 主宰。1986年、宝塚歌劇団第72期として入団。雪組と花組に在籍し、男役スター、矢吹 翔(やぶき しょう)として活躍。在団中からメイクの勉強を始め、国際ライセンスを習得。2004年に退団した後は、プロのヘア&メイクアップアーティストとして独立。その時代に活躍するタレント、女優、俳優、モデル達に絶大なる信頼を得る。

現在は、雑誌の表紙や女性誌のビューティページ、CM撮影のヘアメイクのほか、宝塚歌劇団の公演ポスター、カレンダー、写真集、舞台のヘア&メイクアップのプロデュースを始め、美容セミナー、メイクアップライヴ、講演、TV出演など、幅広く活躍している。
オフィシャルブロク「CHIHARU’s DIARY」

今回お送りするのはスペシャル対談。「『るろうに剣心』のポスター撮影でご一緒させていただいてから、ずっとメイクアドバイスをもらっていました!」と凪様が絶大な信頼を寄せるのが、元宝塚男役スターで、現在ヘア&メイクアップアーティストとして活躍中のCHIHARUさん。「『彩凪翔大特集』をやっていただけるなら、ぜひCHIHARUさんとコラボしてみたいです♡」という凪様からの熱烈アプローチがこの壮大な企画のきっかけにもなったので、それを記念しておふたりにじっくり対談をしていただきました。

在団中のあのお芝居のときの「凪様メイク」の秘密や、CHIHARUさんから見た「凪様の印象」など、ここでしか聞けない話題がたくさん! あまりに盛り上がり過ぎて、1時間という超ロング対談になったものをできるだけカットすることなく詰め込みました。まずは前編からお届け。じっくりお楽しみください。

その赤ちゃん肌から“バブ翔”と呼ばれていた凪様!?

CHIHARUさん、彩凪翔さん
CHIHARUさん

今回のメイク、本当に楽しかったね! とにかく“今っぽさ”を翔ちゃんのお顔にメイクしたかったんだー、私。


彩凪翔さん(以下、彩凪さん)

本当にありがとうございました! VOCEさんから、「企画で何をしたい?」と聞いていただいた時、真っ先にCHIHARUさんを思ったんです。


CHIHARUさん

宝塚という、ある意味すごく閉鎖的な場所の中で、男役という重責を背負っていたわけだから、退団してからの翔ちゃんには、もっと女性としての魅力や繊細さを出しながら、翔ちゃんが持っている【真面目】で【意志の強い】ところをメイクで描きたかった。翔ちゃんはとても内面がしっかりしているというのをずっと感じていたからね。昔は“バブ翔”って呼ばれてたのに(笑)。


彩凪さん

そうです(笑)。バブ翔でした。


CHIHARUさん

ベイビー、赤ちゃんのバブね(笑)。『るろうに剣心』のときはまだ下級生だったけどポスターメンバーには入っていたでしょ。


彩凪さん

はい、すっごく緊張しましたよー!


CHIHARUさん

本当にお肌もプリプリでピチピチしてた(笑)。だから、なんでこんなキレイな顔でキレイな肌なのにメイクをしなくちゃいけないんだろうって、ふと思ったほど。こんなにキレイなのに男役のメイクをつくらなくちゃいけないんだなぁと客観的に思う部分もありました。あまりつくり込むと良さが消えちゃうし、でも小池(修一郎)先生は「とても個性的な役(武田観柳役)だからつくり込んで」とおっしゃるし(笑)。


彩凪さん

本当に難しいお役でしたね。


CHIHARUさん

そのあと、翔ちゃんの写真集を少しお手伝いさせていただきました。「彩凪翔」という芸名がすでに確立されていたから、そのイメージを絶対に壊してはいけないし、舞台では漢くさい男役だったから、それも守らなくちゃいけないという縛りがあったし……。


VOCE編集部

それで今回のメイクを『ハンサムレディ』、『ゆるふわガーリー』、『ノーブル銀幕女優』の3つにされたんですね?


彩凪翔さん
CHIHARUさん

そうですね。ヌケ感も凛とした女性像も表現できそう……と思っていたので。とにかく翔ちゃんは目力がすごい! さらに瞳がとってもキレイだし。舞台メイクじゃないところで色々な魅力がある人なので、今回のメイクでそれが表現できていれば嬉しいかな。


彩凪翔さん
彩凪さん

今回は、新しいメイク、新しい自分をたくさん発見しました!


CHIHARUさん

でも今まで培ってきた「彩凪翔」としての歴史、その良さを消してしまうのはやっぱりダメなんだと私は思うんですよね。だって、その歴史は消せないし、染みついちゃってるから。自分がつくり上げてきたものを土台として、そこに新しいものを入れ込んでいき、さらにアウトプットする……。翔ちゃんには、そういうふうにどんどん成長していてほしいなって思っているんです。


彩凪さん

ありがとうございます!! 現役の間はメイクで悩むことも多かったので、『るろうに剣心』のときにCHIHARUさんにお化粧をしていただいて以来、いつもCHIHARUさんに相談していて……。


CHIHARUさん

『るろうに剣心』は大変だったよね。


彩凪さん

『ひかりふる路(みち) 〜革命家、マクシミリアン・ロベスピエール〜』 でマノン・ロラン夫人という女役をいただいたときもまったく分からなかったのでイチから教えていただいたり(笑)。あと、去年の3月くらいだったか、『ONCE UPON A TIME IN AMERICA』の公演が止まってしまっていたとき、CHIHARUさんがお化粧の講習をしてくださったんですよね。


CHIHARUさん

そうそう。化粧品メーカーさんに協賛していただき、“メイクを今っぽく変える”ために男役、女役に分かれてメイク講習したよね。


彩凪さん

男役の日と女役の日に分かれていて、もちろん男役の日は参加したのですが、本当は女役の日も参加したかったんです! 自分自身の卒業も考えていた時期だったので、女性としてのお化粧を学んでおきたいというのもありました。卒業すると在団中とはオフのときのメイクも変わってきますからね。でも何よりも、CHIHARUさんは私より私のことを理解してくださっているので、毎回発見することが多いんです!(笑)


CHIHARUさん
CHIHARUさん

嬉しい〜!


彩凪さん

今回もいくつかのパターンをトライさせていただくという企画だったので、自分でも新たに「こんな表情もできるんだ」というのを学べるんじゃないかなとすごく楽しみにしていました。


CHIHARUさん

この3パターンと聞いて、正直、どう思った?(笑)


彩凪さん

めっちゃ嬉しかったです!! 『ゆるふわ』とか、自力ではなかなかそこにいけないですから(笑)。お衣裳を選ぶのも冒険でしたね……。


彩凪翔さん
彩凪さん

ひとめ見ただけで尻込みしてしまうお衣裳もありましたが、実際にお化粧で魔法をかけていただいたという印象。あとは撮影スタッフのみなさんが雰囲気づくりをしてくださって、そのおかげで気持ちがノリました!


CHIHARUさん

宝塚関連の紙媒体での撮影と女性誌の撮影ってまったく違うから、それも面白いでしょ?


『凪様の影響力』はジェンヌ内でも格別♡ 誰もが「メイクを教えてください」と殺到!

彩凪翔さん
VOCE編集部

彩凪さんが今までCHIHARUさんからもらったメイクアドバイスの中で、「これは目からウロコだった!」というのはありますか?


彩凪さん

チークの位置です。昔は80年代のシェーディングみたいに頬骨の下に斜めに入れていたんですけど、すぐに黒目の下にポンポンと入れるようにとチェンジしました。


CHIHARUさん

そうそう、黒目の下ね! あと眉毛!


彩凪さん

そうなんです……私は目と眉の間がすごく狭いので眉山を上げ気味にしていたんですが、「眉の描き始めをもう少し上にして、眉山は下側を足してみたほうがいいよ」というアドバイスもいただきましたね。「そうすると、眉の描き始めのところが鼻筋とも繋がって見えるようになるから」という具合に、すごく具体的に教えてくださるんです。あと「ルボタン(アイライン)が太いから細く描いてね」というのも教えてもらいました。


CHIHARUさん

ルボタンは便利なんだよね。汗に強いし、綿棒でピュッとやったらすぐに剥がれるから失敗しても直しやすい。でも今は普通のリキッドアイライナー使っている生徒も多いよね。


VOCE編集部

先日、望海風斗さんを取材したときも「CHIHARUさんに眉を訂正してもらってから、自分がすごく変わりました」とおっしゃっていました! 望海さんには眉をもう少しフラットに描くようにとアドバイスされたとか?


CHIHARUさん

そうですね(笑)。実は私も現役時代はかなりメイクのやり方を誤解していたところがあったんです。客席から見たときに、目の周りが真っ黒に見えてしまうのはNGで、白目がバーンと印象的に見えてないとダメなんです。それなら眉山を高くして、目と眉の間に広くスペースを取れば黒く潰れて見えることはないと思っていたのですが、実は眉をまっすぐストレートに描いて、目のラウンドを目立たせたほうが対照的になって“目の印象が効いてくる”んです。私も辞めてから気がついたんですけどね(笑)。昔はインラインなんてもってのほかでしたけど、今は「しっかり埋めなさーい!!!」ってみんなに言ってる(笑)。やっぱりインラインがきちんと描けてないと銀橋に行ったときにお客さんに目が響かないんですよ。


VOCE編集部

元タカラジェンヌで、今は客席から舞台を観ているCHIHARUさんだからこそ分かること。それを直接伝えてもらえるというのは、後輩にとっては本当にありがたいことですね。


CHIHARUさん
CHIHARUさん

私、うるさいんですよ(笑)。『タカラヅカ・スカイ・ステージ』で初日の映像が放映されたりすると、それを観ながらすぐに電話します。「今ね、スカイ・ステージ観ているんだけど、髪型の分け目はもう少しこうしたほうがいいと思う。じゃあね」って言って、ガチャンと切っちゃう。少しでも早く言ってあげないと、って思うからなんですけど(笑)。


彩凪さん

舞台稽古でお化粧をしたときや、スチールの撮影前は自分で練習したメイクを写真に撮って、それを「こんな感じでどうですか?」とCHIHARUさんに送ってアドバイスをもらってました。女役や黒塗りとか、個性的な役のときはもう「どうやってメイクしたらいいですか?」っていつも連絡していましたね、私(笑)。


CHIHARUさん

翔ちゃんは偉いの。スチール撮影や本番の前にちゃんと自宅で練習して、デザインした自分の顔をLINEで送ってくるんだもん。それにマーカーで指示をして、やり取りしたよね。


彩凪さん

こういう化粧品がいいよ、というアドバイスも下さっていたので、それを使ったりしました!


VOCE編集部

CHIHARUさん、アドバイスはすべての後輩ジェンヌさんに送っているんですか?


CHIHARUさん

全員ではないですが、ご縁があって繋がる方々に、という感じです。でも基本的に宝塚は“世話焼き”の集まりですから(笑)。今はコロナ禍でなかなか伺えませんが、以前は楽屋に行くと「あのシーンの髪型はね……」ってすぐに始まっちゃう。


VOCE編集部

素敵な先輩がいて、みんな嬉しいですよね。


CHIHARUさん

私の現役時代も観に来られた上級生の方にたくさんアドバイスをいただいた経験があるから。翔ちゃんみたいにお顔がキレイで影響力のあるジェンヌさんには、みんなが「どうしたらこんなメイクができるんですか?」って聞いてくると思うんだけど……? どう? みんな聞きに来るでしょ?


彩凪翔さん
彩凪さん

みんな、めっちゃ聞いてくれます!(笑) 先ほども話に出た、私が女役をやったときなんですが、女役さんからも「アイシャドウは何を使ってるんですか?」と聞かれたり。新人公演をやってくれる下級生なんかも、みんな聞いてきますね。


CHIHARUさん

やっぱり影響力がある! どうやったらこんな顔になれるんだろうと思う後輩がいっぱいいるんですよね。影響力のある子にテクニックを教えたら、すぐにみんなに伝わる。


彩凪さん

確かにアッという間に広がりますね。


CHIHARUさん

全員でひとつの作品をつくるから、みんなすごく面倒見がいいのが宝塚。「下級生の面倒を見る」というふうに育てられているから、広がりやすいんです。教えてあげられることは、みんな惜しみなく教えるんですよね。真面目に聞きに来てくれると、100%返してあげたいと思うじゃないですか。翔ちゃんも、メイクでこんなに変わるんだって『るろうに剣心』のときに気付いたんじゃないかな。『メイクが役作りの一環になる』ということについて身を持って感じたんじゃないかって、舞台を観ていて思っていたよ。


彩凪さん

はい! CHIHARUさんのおっしゃる通り、本当にそうでした。本当にメイクの力ってすごいんだなって、すごく感じたからこそ、CHIHARUさんのおかげで今の私があるんだと思っています。


撮影/城健太(vale.) ヘアメイク/CHIHARU 取材・文/前田美保

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