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ラクな出産なんてない? 誤解されやすい「帝王切開」の危険性

  • 2015.7.13
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【ママからのご相談】

3か月前に無事出産を終え、初めての育児に追われているママです。普通分娩を望んでいたものの、逆子が治らず心音微弱になり緊急帝王切開で出産をしました。すると周りから、「帝王切開では産んだとはいえない」とか、「ラクして済ませようとしてズルイ」 と言われ落ち込んでいます。帝王切開って、ラクな出産方法なんでしょうか。

●A. 新たな命を産むことに、“ラク”な方法なんて存在しません!

こんにちは、どっふぃーです。ご相談ありがとうございます。

帝王切開、実は筆者も経験しています。帝王切開は陣痛の痛みが少ないぶん、違ったところで大きな痛みを得ました。決してラクなんかではない帝王切開ですが、経験のない人にとってはうらやましく思えるのかもしれませんね。

今回は、北海道の病院で勤務している産科医師から、帝王切開の危険性についてお話を伺ってきました。

●局所麻酔で手術。麻酔の副作用があることも

『予定帝王切開の人であれば、本陣痛が来てしまっては困るので大体予定日の2週間前には手術が予定されます。陣痛がないからといってラクとかそういうわけではありません。麻酔をして手術に臨みますが、後々副作用で頭痛やしびれが残ってしまう人も珍しくありません』

副作用による頭痛やしびれは数日で消えることがほとんどですが、人によっては数か月も残ることがあるのだとか。副作用が原因で授乳さえままならないという人もいるそうです。

●出血量によっては、輸血の必要性があります

『開腹手術をしているわけですから、人によっては出血が多量になってしまう場合があります。そういった際には輸血の可能性が常にあると考えてもらって良いでしょう。手術の同意書にサインしてもらうのですが、そういったリスクについても触れていますよ』

出産時に輸血を受けたという女性にお話を伺ったところ、「手術中に段々と意識が遠のいてしまって……」とおっしゃいました。赤ちゃんの泣き声を聞いたまでは良かったものの、それ以降の記憶がないんだとか。まさに命がけです。

●一生消えない大きな傷と生きていくことに

『下腹部の縦か横に、大きいミミズが這ったような手術痕ができます。これには個人差があり、傷が目立ってしまう人とそうでもない人に分かれます。“出産した”勲章でもあるその傷と、ママはこれから一生共にしていくことになります』

いくら出産のためとはいえ、体に消えない大きな傷が残ってしまうのも帝王切開の特徴でしょう。水着になるのに抵抗を覚えたり、公衆浴場で人の目が気になったり……死ぬまで消えない傷を体に受けるというツラさ、これがラクなんて言えませんよね。

●術後の回復に長い時間がかかります

『術後1日は寝たきりの生活になるので導尿を行ないます。翌日から起き上がる練習をしますが、麻酔の抜け具合や手術の疲れで起き上がれない人も多いです。この点は、普通分娩の人の方が自由に動き回っている印象があるかもしれませんね。人の手でメスを入れているのですから、ラクなんてことはないんです。出産は、どんな方法であっても命がけ。大変で尊く、讃えるべき行為だと思っています』

お腹に宿ったもうひとつの命を産む……それはとても大変なことです。普通分娩であっても帝王切開であっても、命がけで挑んでいることに変わりはないのです。どっちがラクか……その答えは“どっちも大変”ということなんです。

●ライター/どっふぃー(船舶料理士)

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