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コロナ禍でもっとも美しく輝いた、3人の女性とは誰か?

  • 2021.9.8

逆境に現れたジャンヌ・ダルクは、ただならぬ存在感を醸し出す

世の中が逆境にある時に、突如現れて人々を救う若き女性を、フランスの国民的英雄「ジャンヌ・ダルク」に例えることが少なくないけれど、日本のコロナ禍にも、ジャンヌ・ダルクが現れた。そう言ってもいいほどの熱視線を集めている女性がいる。

言い換えれば、こういう混沌とした状況の中では、ただ美しいだけのヒロインを当たり前に持て囃すのではなく、むしろ今だからこそ現れたヒロインの存在を、ぜひ知ってほしいと思ったのだ。

知る人ぞ知る“時の人”で、今や「ユカちゃん」と検索すれば、バババとたくさんの情報が溢れ出てくる。それこそ、コロナ禍の“飲食店に対する政府の締め付け”を、弁舌爽やかに理路整然、しかも政府のめちゃくちゃな政策は多少の毒を持って一刀両断に斬り捨てるといった見事な主張を、次々に発信している女性なのだ。ともかくこんな人がいるのか?と驚き、正直たちまちファンになったほど逞しくも美しい人。それもあまりに意外な登場の仕方! そのギャップから、さらなる注目を集めることになったのだ。

新橋で“やきとんユカちゃん”を経営する若き女将、ちょっとイナセなファッションで“姉御”的な味わいを出していることもまた、大きなインパクトを持ち、もともとニュース番組などに挿入される、ほんの十数秒程度の取材コメントに登場、いきなりブレイクしたというのである。

そういう意味で、まずはこの人がコメントする動画を見てほしいが、ともかく弁が立つ。国会に連れ出したら、菅総理など一瞬で論破してしまうのだろう。誰もが国に不満を持ち、でも誰も何もできない中、こんなふうに自分の言葉でズバズバ意見する、勇敢さと正義感と知性を持った女性が現れ、老若男女の憧れを一身に集めているのだ。

それにしても、この人何だか“ただならぬ雰囲気”を醸し出していると思ったら、やっぱりただならぬ人だった。短大時代にスカウトされ、モデルとしてパルコや証券会社の広告に登場、その後オーディションに合格し、ジャズ歌手としてCDデビュー、でもこれで一生食べていくのは難しいと、若くしてエステ経営に乗り出し、現在の夫である男性との出会いから“やきとん”の世界に入る。毎朝、豚の内臓を一頭買いして、自らさばくというツワモノ。美貌もプロポーションも才能も感性も、また度胸も生活力も決断力も、なかなか両立しないものすべてを持っている。だからこの人、迫力が違う。かっこよすぎる。野党のどこかが政治家としてスカウトしたりしそう。そうでなくとも、こういう逸材はどんな時代であってもいつの間にか表舞台に出てくる宿命にあるのかもしれない。

いずれにしても、今はこういう人に光が当たる時代なのだ。何の飾り付けもない、何の衒(てら)いもない、ありのまま。その代わり、志の高さと前に進むパワーは人一倍。そういう人が輝く時代なのである。

少なくとも、明快な意見を持つこと、それをちゃんと伝えることの大切さを、この人に教えられた気がする。思えばAKBが残した最大の遺産も、コミュニケーション能力、喋りの才能を備えた指原莉乃。コロナのような禍いであらゆるパフォーマンスの方法を奪われても、言葉は残っていく。だから外見だけでなく言葉を磨いておかなければ、時代の変化に紛れてしまいかねないことを知っておく。

加えて、勇気の力も見せつけられた。誰かが言わなければいけない時代、でも炎上を恐れて何も言わなくなってしまう時代、だからなおさら声を上げる勇気は美しい。案の定“ユカちゃん”は、サンドバッグ状態にいろんな批判を一身に受けているという。それでも反体制の主張をやめない勇気はあっぱれというしかない。

辛い時こそ別の選択肢を選び一気に人生を広げる人がいる

一方、コロナ禍で注目を浴びた人に、“クイズの女王”たる麻木久仁子という人がいる。昨年の緊急事態で仕事が激減したのを機に、これは勉強のチャンスと“医薬品の登録販売者の資格”を取得したというのである。これは、ドラッグストアなどで風邪薬などの一般用医薬品を販売できる資格、合格率は3割程度という、なかなかの狭き門を一回で突破したというのも、さすがはクイズの女王の面目躍如、しかしなぜこんな珍しい資格を? そこにはちゃんと伏線があった。

10年ほど前に大病を患い、その再発予防のために薬膳を食事に取り入れたのが始まり。薬膳を勉強して、今や薬膳のスペシャリストとして本も数多く出版、講演会や料理教室などで薬膳の魅力を伝えてきたが、せっかくだから漢方薬などの知識も深め、幅広く話がしたいと薬学の勉強を始めたというのだ。

改めてこういう生き方ができる人がいるのだと、これもコロナ禍に教えてもらった。頭のいい人だから学ぶことも苦でないし、資格だって簡単に取れるよね、と思ってしまえばそれまで。逆境にあるからこそ、それをチャンスに変える、どこかの道が閉ざされれば別の道を探す、そういう心の向きが、人生を自ら切り拓いて素晴らしい一生にしていく人に共通した生き方なのだと、ここで悟るべき。病気をしたから、コロナ禍だからと、それを言い訳にしたり諦めたりして人生を縮小するのではなく、こういう時だからこそ別の選択肢を探して、新たな方向に一気に人生を広げていく、そういうことができたら理想的と教えられたのである。

そしてもう一人、コロナ禍に密かに静かに光を放った人がいる。引退以来3年、もちろん一度も姿を見せない安室奈美恵。先ごろ多額の寄付金に対して紺綬褒章を贈りたいという政府からの発表があったが、現役時代から震災などのたびに非公表で寄付を続けてきたこの人に対して、今改めて褒章を授けるのは、政府の人気取り?という噂も出るほど、コツコツと寄付を続けてきた人なのだ。今回は、コロナの医療従事者支援や首里城再建などに対しての寄付だろうとの臆測を呼ぶものの、金額や送り先は明らかになっていない。以前も、高額な寄付の金額が表に出たことで、本人が珍しく怒りをあらわにしたという噂があったほど、パフォーマンスでの慈善でないことは明らか。私たちがその存在を忘れることはないが、本当の慈愛を持った、人間性も素晴らしい人だったということが、このコロナ禍に改めて思い出される。それ自体がとても意味あることなのだ。

ふと思い立って、引退当時のインタビューを見直してみた。引退は20代の後半から10年以上かけてゆっくりじっくり考えて引き出した結論であること。だからもう二度と表舞台には立たないこと。そして、現役であった時もずっと不安を抱えていたこと。とくに産休を終えて復帰した21歳の時に、早くも次代のスターがどんどん生まれていて焦りを感じたこと。そこまでを正直に率直に語っていた。おそらくはだから、この人はいつも謙虚に見えていたのだ。ひたすらもっと上、もっと上という貪欲な野心を感じさせない人だったから、この人には癒やしの力があったのだと思う。頂点を極めていたのは確かなのに、同時に不安も苦悩もある26年だったのを知って、何だか改めて泣けてきた。かくして驚くほど早く自らの意思で表舞台を去り、それでも密かに社会貢献を続けてきたことにも心を打たれた。コロナ禍の前に歴史に残る世紀の引退ツアーができたことも、この人が引き寄せた運命だったのだろう。

今コロナ禍で多くのことが思い通りにいかず、仕事や人生に対して焦りや不安を感じている人が少なくない。でも実は、どんな成功者も焦りや不安を感じ苦悩しながら、自らにとって正しい出口を探して歩いているのだということ、この人はそっと教えてくれた気がした。

何かが起きた時、普段は見えない一人一人の人間性が丸見えになる。コロナ禍に光った3人の女性たちを見るにつけ、こういう時にこそ人間の質が明らかになる気がするのだ。三者三様それぞれだけれど、こういう人たちを見て、改めてコロナ禍の自分を見つめ直してほしい。逆境に置かれた時、あなたは何を考え、何をしたか。そろそろその総括に入りたい。

齋藤薫の美容自身 STAGE2/こういう混沌とした状況の中では、ただ美しいだけのヒロインを持て囃すのではなく、何の飾り付けもない、何の衒いもない、ありのまま。その代わり、志の高さと前に進むパワーは人一倍。そういう人に光を当てるべき時代なのである。

撮影/戸田嘉昭 スタイリング/細田宏美 構成/寺田奈巳

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