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日本にも上陸予定の代替ミート『ビヨンドバーガー』本当にヘルシーなの?

  • 2021.8.29

お肉不使用の代替ミートがスーパーで買えるようになったいま、ミートレス・マンデー(お肉なしの月曜日)を実行するのは、それほど難しいことじゃない。プラントベースのバーガーを作る『ビヨンドミート』などの企業は、急速に成長している。

市場参入と上場から数年、ビヨンドバーガーを扱うお店は増える一方。アメリカでは、一般的なスーパーでもAmazonフレッシュでも購入可能。カールズジュニア、ベアバーガー、ジャストサラダなど、ビヨンドミートをメニューに取り入れるファストフード店も増えている。

栄養管理コーチングサービス『Culina Health』の共同設立者で公認管理栄養士のヴァネッサ・リゼットによると、ビヨンドバーガーは追い風に乗っており、世間のニーズにも応えている。「プラントベースの食生活を送る人が増えていますが、みんな“手っ取り早く簡単に”を求めています。豆や豆腐をクリエイティブに使うより、フライパンにフェイクバーガーを入れる方が簡単です」

とはいえ、ビヨンドバーガーには軽視できないメリットとデメリットがある。「こういう肉の代替品なら、飽和脂肪の量を減らし、動物由来の病(サルモネラ菌や大腸菌)のリスクを最小限にとどめられます。タンパク質、必須アミノ酸、ビタミンも強化されているので、通常の肉よりはヘルシーと言えるかもしれません」とリゼット。

でも、ビヨンドバーガーなどのフェイクミートは完全じゃない。「フェイクミートは重度に加工されており、塩分が高いため、高血圧の人にとっては問題となり得ます」

試す前にもっと詳しく知りたいという人は、このままスクロールして。アメリカ版ウィメンズヘルスより詳しく見ていこう。

そもそも「ビヨンドバーガー」とは?

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パッケージから取り出す前は精肉のように見えるし、調理すれば絶妙な“ミディアムレア”の焼き加減になるけれど、ビヨンドバーガーは完全にプラントベース。『ビヨンドミート』のホームページによると同社は、赤身肉のように環境および健康上の問題を引き起こすことなく、「見た目も焼け方も味も」ビーフバーガーみたいなフェイクバーガーを作りたかったそう。牛肉の赤い汁(ドリップ)を再現するため原材料にビーツが使われており、調理すると色まで変わる。

「ビヨンドバーガー」の原材料は?

『ビヨンドミート』社によると、ビヨンドバーガーの構成要素(タンパク質、脂質、ミネラル、糖質、水分)はすべて植物由来。

同社のプレスリリースによると、最近のアップグレードで、当初よりも風味と食感が一段と「肉々しくなった」そう。目指すは「霜降り牛のように溶け、牛ひき肉のように柔らかい」フェイクミート。

ビヨンドバーガーの原材料は次の通り:水、エンドウ豆プロテイン、圧搾機で搾取したキャノーラ油、精製ココナッツオイル、米タンパク、天然香味料、ココアバター、緑豆プロテイン、メチルセルロース、片栗粉、リンゴエキス、ザクロエキス、塩、塩化カリウム、酢、濃縮レモン果汁、ヒマワリレシチン、ビーツ汁。

アップグレードされたビヨンドバーガーのプロテインは、エンドウ豆、緑豆、玄米由来で、9つの必須アミノ酸をすべて含む完全タンパク質。これは大きなメリット。というのも、単体で完全タンパク質になる植物性タンパク質は非常に少ないから(完全タンパク質は卵、チーズ、魚など)。ビヨンドバーガーは2種類の不完全タンパク質(玄米と豆)を組み合わせ、完全タンパク質にしている。

ココアバター、ココナッツオイル、ヒマワリ油、キャノーラ油は脂質源(ココアバターとココナッツオイルは特に、霜降り牛のような食感とジューッという音に貢献している)。

ビーツの汁が使われているのは、牛肉から滴る赤いドリップを再現するため。

市販のベジバーガーとは違い、ビヨンドバーガーに本物の野菜は使われていない。でも、遺伝子組換え作物、大豆、グルテンがパティに使われていないのはビヨンドバーガーだけ。

「ビヨンドバーガー」はどうやって作られる?

『ビヨンドミート』社は、商品の製造過程を明かしていない。でも、同社のホームページを見る限り、「加熱、冷却、プレスというシンプルなプロセスで肉らしい繊維質の食感を作り出し、プラントベースの脂質、結合剤、香味料、着色料を加えている」そう。ちょっと謎めいている。

「ビヨンドバーガー」は生で食べられる?

「原材料リストを見る限り、生で食べても問題ないと思います」と話すのは、公認管理栄養士のケリ・ガンズ。「でも、これを生で食べたい人なんていないでしょう」

『ビヨンドミート』社も、ビヨンドバーガーは腐敗しやすいため冷蔵庫で保管して、調理してから食べるよう勧めている。

「ビヨンドバーガー」はビーフバーガーよりヘルシー?

調理前のビヨンドバーガー約110gのパティに含まれるのは:カロリー:270kcal脂質:20g(飽和脂肪6g)ナトリウム:380mg糖質:5g食物繊維:3g糖類:0gタンパク質:20g

これ以外にもビヨンドバーガーには、1日に必要な鉄分の30%、驚くほど大量のリン(骨や歯に含まれる成分)、いくらかのビタミンCが含まれる。

一方、調理前の牛肉約110g(そのうちの2割が脂肪)に含まれるのは:カロリー:287kcal脂質:23g(飽和脂肪9g)ナトリウム:75mg糖質:0g食物繊維:0g糖類:0gタンパク質:19g

これにはガッカリ。公認管理栄養士のエイミー・グッドソンが言うように、ビヨンドバーガーの脂質とカロリーはビーフバーガーとほぼ変わらず、ナトリウムはビーフバーガーより圧倒的に多い。通常のビーフバーガー(バンなし)は糖質ゼロなのに対し、ビヨンドバーガーには糖質が5g含まれている。

つまり、ビヨンドバーガーで脂質やカロリーを減らそうとするのは無駄な試み。そして、どのバーガーもトッピング次第でヘルシーにもアンヘルシーにもなり得るから注意が必要(ちなみにグッドソンが勧めるのは、全粒粉のバンにアボカドとマスタードのトッピング)。

だから、ビヨンドバーガーの方が通常のビーフバーガーよりもヘルシーとは言い切れない。公認管理栄養士のアリッサ・ラムジーが言うように、最後はやっぱり個人の好み。プラントベースの食生活を送りながらバーガーを楽しみたいという人には、ビヨンドバーガーがいいかもしれない。でも、お肉を食べることに抵抗がないのなら、わざわざビヨンドバーガーに切り替える必要はない。

「ビヨンドバーガー」は地球にやさしい?

地球環境の保護は『ビヨンドミート』社のミッションの1つ。同社のホームページでも、牛肉の消費量を減らすよう人々に呼びかけることで、畜牛による天然資源圧迫の抑制と動物愛護の促進に貢献したいとしている。

また、同社によると、ビヨンドバーガーはビーフパティに比べ、製造に必要な水が99%、土地が93%、エネルギーが46%少ない。

「ビヨンドバーガー」と「インポッシブルバーガー」を比べると?

インポッシブルバーガーも、ビヨンドバーガーに負けず劣らず大人気の代替ミートで、やはり従来のビーフバーガーの見た目、味、香りを出すことにこだわっている。しかも、大豆の根に含まれるレグヘモグロビンという特別な成分のおかげで“液体がにじみ出る”。それ以外の主な原材料はビヨンドバーガーとほぼ変わらず、水、ココナッツオイル、ヒマワリ油、天然香味料などが使われている。

栄養価も似たり寄ったり。カロリー:220kcal脂質:13g(飽和脂肪10g)ナトリウム:430mg糖質:5g食物繊維:0g糖類:1gタンパク質:20g

インポッシブルバーガーには大豆が使われており、ビヨンドバーガーには使われていないのが最大の相違点。また、インポッシブルバーガーには飽和脂肪がやや多め。

ビヨンドバーガー同様、インポッシブルバーガーもプラントベースならではの健康メリットがある点や、環境にやさしい点を売りにしている。また、『インポッシブルフード』社のホームページによると、畜牛に比べ「インポッシブルバーガーの製造に必要な土地は95%、水は74%、温室効果ガスの排出量は87%少ない」そう。

ビヨンドバーガーは、結局どの程度ヘルシーなの?

ビヨンドバーガーはヴィーガンでプラントベースなんだからヘルシーに違いないと思いきや、それがそうとも限らない。ビヨンドバーガーにはタンパク質がふんだんに(20g)含まれているけれど、野菜は使われていない。グッドソンも、“ベジバーガー”であることに違いはないけれど、1日5~7皿分の野菜にはカウントされないとする。

「ビヨンドバーガーは、植物から分離されたタンパク質など、重度に加工された原材料から作られています」とラムジー。つまり、代替ミートだからといって、必ずしもヘルシーとは限らないということ。

ガンズによるとビヨンドバーガーは、赤身肉の摂取量を減らしたい人や、赤身肉は食べないけれどバーガーらしき物は食べたいという人向けに作られたプラントベースのオプション。でも、そうじゃないなら、わざわざビヨンドバーガーに切り替える必要はないかもしれない。

ビヨンドバーガーの口コミは?

史上最高にヘルシーな食べ物も、段ボールみたいな味では困る。でも、1つ星の口コミは2%程度に過ぎず、米Amazonの口コミの82%はビヨンドミートに5つ星をあげている。これはスゴイ!

「15年間お肉を食べていないので、このフェイクミートには正直ちょっと尻込みした。でも、調理したら本当においしかった」。このユーザーはビヨンドミートを“最高”のベジバーガーと評している。「生のハンバーガーみたいな見た目にビビっちゃダメよ」

「牛肉はレア寄りのミディアムレアで食べるのが好き。お肉が大好物だけど、これならビーフバーガーを諦められそう」

反対派のコメントは:「食感は本物のお肉みたいだけど、調理中の匂いは最悪。無理やり食べた」「匂いも味もキャットフードみたい…しかも後味が悪い。オエ~ッ」

ビヨンドバーガーはどこで買える?

ビヨンドバーガーは至るところで購入できる。ビヨンドミートをメニューに加えるファストフード店も急増中。

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早くからプラントベースのパティを取り入れていたカールズジュニアは、これまでに450万個のビヨンド・フェイマススター・バーガーを販売し、BBQソース、アメリカンチーズ、サクサクのオニオンリングをごま風味のバンに乗せたビヨンド・BBQ・チーズバーガーもメニューに加えた。

ビヨンドバーガーは、TGIFフライデー、バーガーファイ、ハーディーズ、ジャストサラダ、ベアバーガー、ベジグリル、A&W、サブウェイ、ダンキンの一部店舗でも楽しめる。

ヴィーガン系のレストランだけでなく、北アメリカではコートヤード・マリオットホテルのビストロバーにも登場。

日本でも、Amazonフレッシュやスーパーに並ぶ日が待ち遠しい。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Jessica Migala, Jennifer Nied And Korin Miller Translation: Ai Igamoto

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