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【宮永篤史の駄菓子屋探訪9】北海道札幌市東区「福ちゃん本舗」見た目はバイク店!ハーレーと駄菓子が共存する「北の大地の二刀流」

  • 2021.8.28
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全国約400軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は北海道札幌市東のも「福ちゃん本舗」です。

店内にハーレーが並ぶ店

札幌市は、北海道の総人口のうちの4割近くが居住する政令指定都市。駄菓子屋の視点から見ても、問屋さんが多数あり、ここ10年以内に作られたお店が多い、興味深い地域でした。そんな大都市の中心、札幌駅から北東に1kmほど。商業地域の中を通る一方通行の2車線道路、「東3丁目通」沿いに、パッと見は完全にバイク屋さんの駄菓子屋、「福ちゃん本舗」を見つけました。

バイクといっても原付や国産大衆車ではなく、なんとHarley-Davidson!駄菓子とは真逆のベクトル、ワイルドなアメリカンバイクです。店先には映画「イージー・ライダー」風にカスタマイズされたショベルヘッドが鎮座(不動車とのこと)。“Born to Be Wild”が頭の中で自動的に再生されます。

駄菓子屋からバイクショップ兼業に

入り口は2カ所ですが店内はワンフロアで、棚で左右に仕切られています。右側がバイク、左側が駄菓子のコーナー。そして奥のショーケースでは大量のゴジラの人形が展示・販売されていました。応対してくださったのは店主の林さん。筋肉質な体つきにオーバーオールを着たその見た目は、駄菓子屋というよりは、完全にバイク屋さんです(笑)。お店を構成しているものすべてに興味が湧きますが、やはり、なぜこのような珍しい業態になったのかが気になり尋ねてみました。

元々、同じ建物の2階で別の事業を営んでいた林さんが、平成16年(2004年)に1階で駄菓子屋「福ちゃん本舗」を創業。当初、1階は壁で2つに区分けされていて、右側は倉庫だったので左側を使ったそうです。その後、平成23年(2011年)に、付き合いのあったバイクショップ「NORTH BROS」の札幌営業所を開設することになり、右側を売り場に改装。その際に壁を抜いてワンフロアにしたことで今のかたちとなり、世にも珍しい駄菓子屋兼ハーレーダビッドソン販売店になったとのことでした。現在MLBで活躍する投打二刀流、大谷翔平選手が北海道日本ハムファイターズにいたころ、同じ「北の大地の二刀流」としてメディアに取り上げられたこともあったそうです。

「駄菓子屋は夢のある良い仕事」

「子どものころは親戚がやっていた駄菓子屋にいつも行っていて、駄菓子屋へのあこがれみたいなものはずっとあったんです。事業の実務を別の人に任せられるようになって、余裕ができたタイミングが立ち上げの年でした。『福ちゃん本舗』という店名は、その年に生まれた息子の名前から取りました。自分の名前にしようとしたら、嫁さんに怒られたので(笑)。かれこれ17年間やってるので、うちに来てた子たちが成長して、『20歳になったよ』とか、『バイクの免許取ったよ』とか、報告に来てくれたりする。いつまでも店のことを覚えててもらえるなんて、夢のある良い仕事ですよね、駄菓子屋って」

ここに至るまで経緯は意外にもシンプルで、好きなことを積み重ねていった、というものでした。最近は筋トレにハマっているそうで、確かに店内にそれらしき道具が置いてあります(笑)。少年の心と、大人の実現力。福ちゃん本舗は、その2つを持った店主が作った、唯一無二の駄菓子屋でした。

福ちゃん本舗

住所:北海道札幌市東区北10条2-3-26

電話:011-751-3663

営業時間:10:00〜18:00

定休日:火曜日、第2水曜日

[All photos by Atsushi Miyanaga]

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