SHOCK EYEが偉人から学んだ「本当に幸せな人生」の歩み方

「忠義のために生きた」乃木大将に共感する理由

前回は乃木大将の生きざまと、それに僕が共感する理由を語ったけど、彼から感銘を受けている部分は他にもある。

乃木大将は軍人として数々の戦績をあげ、晩年は昭和天皇の教育係を務めたほどの人物だ。まさに「文武両道」。にもかかわらず生活は質素で、残された財産も遺言によってすべて寄付してしまっている。富や名声を求めることなく、国や明治天皇への忠誠のためだけに生きた。僕はそういう、信じるものに対するまっすぐな生き方や気持ちの尊さに心を動かされるんだ。

現代の生活では「忠誠を誓う」タイミングなんてないから、そのままでは自分ごととして捉えにくいだろう。それなら「世間の価値観に囚われず、自分の信じる道を行く」「自分の大切なものをきちんと大切にする」などと言い換えるとどうだろうか。

ネットやSNSは便利な反面、たくさんの人を不幸にしていると僕は思っている。

誰がどんな部屋で暮らし、どこの服を着て何を食べているのか。他人の生活が全部見えるようになったことで、今までだったら抱かずに済んだ嫉妬や虚栄心を、多くの人が持つようになってしまった。

ないものばかり数えても幸せにはなれない

「もっと収入もキャリアもある相手を見つけなきゃ」「みんなよりも上の生活してるように見られたい」。その気持ちが仕事や自分磨きのモチベーションになるというならいいけれど、たいがいは、「あの人は持っているのに、なんで私にはないのか」と自分を否定してしまう。全てを持ってる人なんていないんだから、そんなの当たり前。なのにあれもこれも手に入れようとして、結局ないない尽くしの世の中になってしまっている。

これは僕に寄せられる、子を持つお父さんお母さんたちの悩みを聞いていて感じることでもある。

「あの子はもっと勉強できるのに」「うちの子だけ走るのが遅い」「なんの才能もなかったらどうしよう」「みんないろんな習い事をしてるのに、うちはやらせてあげるお金がない」。

子どものこととなると、親はちょっとしたことでも気になってしまうものだ。僕も二人の子の親だから、その気持ちは痛いほど分かる。でも他人と自分を比べているうちは、どんなに頑張っても幸せにはなれない。それに親が自分の子と他と比べてばかりいたら、その子はいつまで経っても自分に自信を持つことができない。他人の評価ばかり気になって、子どもにきちんと愛が届かないなんて、悲しいよね。

僕らの生きる世界は情報が多すぎて、目の前の大切なことをつい見落としてしまいそうになる。境遇や現状に不満を抱くより、もっと自分の手が届く範囲のものを大切にすべきなんじゃないかな。

まずは自分にとって何が一番大切なのかを、自分の中ではっきりさせる。そしてそれに忠誠を誓うべきなんだ。「忠誠」なんて古くさく聞こえるかもしれないけど、実は現代人の悩みを解決する秘訣かもしれないなと、僕は思っている。

＜column＞ご祭神の人柄が偲ばれる「旧乃木邸」

乃木神社があるのはかつて乃木大将の邸宅があった場所。遺言により敷地の一部は公園になっている。その敷地内には夫妻が最期の時を過ごした邸宅も残されているので、参拝の折にはぜひここにも立ち寄ってみてほしい。自ら設計した自宅はその功績からは想像できないほど簡素な作りで、乃木将軍の人となりを物語っている。毎年9月12・13日には、夫妻が殉死された際に着用していた衣服なども展示される。

＜Data＞
今回、参拝したのは……

【乃木神社】
東京都港区赤坂8-11-27
HP：https://nogijinja.or.jp/
ご祭神：乃木希典（のぎまれすけ）、乃木静子（のぎしずこ）

【SHOCK EYEプロフィール】
1976年神奈川県生まれ。RED RICE、若旦那、HAN-KUNとともに「湘南乃風」を結成、2003年デビュー。2011年にはポルノグラフィティの新藤晴一らとTHE 野党を結成。著書に『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている小さな習慣』『歩くパワースポットと呼ばれた僕の大切にしている運気アップの習慣』（ともに講談社）がある。インスタグラム上で、Shrinegramという、オンラインでの会員限定コンテンツも人気。新刊『SHOCK EYEの強運思考』が絶賛発売中！
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撮影／大坪尚人（弊社写真部） スタイリング／渕上カン ヘアメイク／大島千穂 取材・文／山崎恵 企画／黒田剛