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ヴァン クリーフ&アーペル、美しく広がり続けるダンスの世界。

  • 2021.8.25

バレリーナ クリップ

ハイジュエリーの世界において、ダンスにインスピレーションを得たクリエイションで知られているのがヴァン クリーフ&アーペル。有名なバレリーナ クリップが最初に登場したのは、1940年代初頭。職人たちの持つ卓越の技術がバレエの優美な一瞬を永遠に残すジュエリーは、以来、メゾンのシグネチャーとなっている。

魅力的なバレリーナのハイジュエリークリップが新たに3点誕生した。ダンスの繊細な動きとエレガントな衣装にインスパイアされたカミーユ、ドゥルシネア、そしてアルベルチーヌ。職人たちがサヴォワフェールを駆使したクリップは、ディテールまで見事だ。それぞれのチュチュに注目してみよう。

カミーユ バレリーナ クリップのチュチュはイエローゴールドのベースに直径サイズがさまざまなエメラルドが隙間なく敷き詰められている。これはスノーセッティングのなせる技だ。そして、チュチュの内側の裾に煌めくダイヤモンドがダンスの動きと立体感を強調する。2つ目はバレエ『ドン・キホーテ』で、ドン・キホーテが探し求める理想の女性として幻想の国に舞うドゥルシネアだ。彼女が軽やかにジャンプする瞬間が捉えられたクリップでは、ビーズセッティングのダイヤモンドが、淡いローズゴールドのチュチュの上でピュアに瞬いている。ホワイトゴールドのほっそり優美な爪先を包むのは、ダイヤモンドのトゥシューズ。3つ目はマルセル・プルーストの世界がバレエになった『プルースト~失われた時を求めて』から。幽閉してしまうほど主人公が愛情を注いだアルベルチーヌをテーマにしたクリップは、ダイヤモンドに組み合わされたルビーの赤が印象的だ。ローズゴールドのチュチュのヘムは、バレリーナの躍動的な動きにふわりと揺れているよう。

さらに1930年代に考案されたパイエットモチーフに特化したブトンドール コレクションにもダンスは世界を広げている。パイエットをあしらったチュチュのクリップが最初に登場した1950年代から時を経て、今年、ブトンドール コレクションにバレリーナ クリップが鮮やかに姿を現したのだ。イエローゴールドのシェイプされたバレリーナのボディとコントラストを描くように、スカートはボリュームたっぷり。それを彩るパイエットモチーフは卓越した技術を持つ職人たちが駆使するサヴォワールフェールで、丸く加工され、光沢を放つゴールド、ターコイズ、ラピスラズリ。このブルーの組み合わせはブトンドール コレクションに2018年に加わったものだ。胸元とヘッドドレスにあしらわれたダイヤモンドが輝きをプラスしている。またスカートの裾に下がるダイヤモンドのドロップビーズは繊細に揺れ、バレリーナの動きはより優雅に。

これら新作はパリのヴァンドーム広場24番地の本店にて、6月にお披露目された。その際には、1945年の初期のクリップからいまにいたるダンスにまつわるジュエリーも展示。バレエとジュエリーの夢の物語が、きらきらと会場に輝いていた。1920年代に遡るダンスとヴァン クリーフ&アーペルの絆の歴史。それはダンスを愛する創業者ルイ・アーペルが広場からも遠くないパリ・オペラ座に通っていたことに始まる。1967年になると、今度はダンスの方からヴァン クリーフ&アーペルに接近してくるのだ。ニューヨーク・シティ・バレエ団(NYCB)を率いていたジョージ・バランシンである。5番街のブティックのウィンドウに飾られたジュエリーに彼が夢を見いだし、見入っていたことから、このブティックの責任者で、子ども時代ルイ・アーペルに連れられてオペラ座に通った甥クロード・アーペルと知古を得るのだ。ふたりの出会いからエメラルド、ルビー、ダイヤモンドの3幕構成のバレエ作品『ジュエルズ』が誕生。その後世界で踊り継がれ、パリ・オペラ座でも2000年にレパートリー入りしている。なおその際に、カリンカによるコスチュームがクリスチャン・ラクロワによって再解釈された。『ジュエルズ』創作40周年記念として、2006年にバレエ プレシュー コレクションがヴァン クリーフ&アーペルで発表された。

発表会で展示された過去のジュエリーの中には、ヨーロッパだけでなくアジアのダンスからインスピレーションを得ているものも。また長い歴史の中において、躍動感とポエジーあふれる優美なダンスの動き、美しい衣装などからはグラフィックで抽象的なジュエリーも多数デザインされている。このようにダンスはヴァン クリーフ&アーペルのクリエイションにおいて、自然と同じくらい重要な位置を占めているのだ。

ダンスがリズミカルに時を刻む

ジュエリーだけでなく、時計にもダンスの世界は新たな創造をインスパイアした。エクストラオーディネール ダイヤル コレクションに加わったレディ ダンス ウォッチとレディ ダンス デュオ ウォッチの2点の時計を紹介しよう。どちらも、1950~60年代を席巻したブロードウエイの躍動感あふれるミュージカルの場面を思わせる。ルビーとダイヤモンドがオーナメンタルストーンと組み合わされた、まるでミニアチュールの絵画のよう。それを可能にしたのは、メゾンが時計の文字盤に初めて採用した石のマルケトリである。ヴァン クリーフ&アーペルのアトリエの宝石細工人たちの熟練の技があり、実現された。時を刻む劇場、手首でダンサーが踊る。夢あふれる、なんて素敵なアイデアだろう!

ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル

21世紀に入ってダンスからインスパイアされたジュエリーを創造するという一方通行から、ダンスを支援することによって両者のあいだに強い関係を生み出したのは、プレジデント兼CEOのニコラ・ボスだ。それは彼がクリエイティブディレクターだった2012年、バンジャマン・ミルピエ率いるL.A ダンス プロジェクトの支援から始まった。2年前には、ミルピエ創作のバレエ作品『ロミオとジュリエット』に共鳴する同名のハイジュエリーコレクションも発表された。「このようなコラボレーション、つまり異なる分野の出合いはつねにメゾンの重要なインスピレーションの源となっています。私たちの創造性を豊かにし、多様な芸術形式を結ぶ架け橋となってくれるのです」とボスは語っている。

このメゾンとダンスとの強い絆の歴史に最近新しい一章が加えられた。「ダンス リフレクションズ by ヴァン クリーフ&アーペル」というプロジェクトである。これはモダンダンスとコンテンポラリーダンス界のアーティストと団体を支援し、新作のクリエイションを奨励するのが目的。指針としているのは創造、継承、育成という3つの価値だ。

このプロジェクトにおける大きな軸のひとつとなっているのは、新たな創造の促進。すでに昨年、ボリス・シャルマッツ、クリスチャン・リッツォ、エマニュエル・ユエン、アレッサンドロ・シアローニなどのカンパニーの新作創造の支援を行なっている。

2つ目の大きな軸はダンスイベントだ。このプロジェクト初のイベントとなる「London Festival」が2022年3月9日から24日まで開催される予定だ。幅広い観客層を対象に、国際的団体とのコラボレーションによる主要コンテンポラリー作品と新作で構成したプログラムが用意されるというから、そのクオリティとバラエティに期待が弾む。

大勢の人々にダンスの歴史と文化への関心を持ってもらおう、という継承と共有もこのプロジェクトでは目指すところである。ダンスの歴史を辿る映画の上映や講演会、アーティストによるマスタークラスなどもダンスの継承と共有のために今後提案されてゆくそうだ。詳細はwww.dancereflections-vancleefarpels.comにて。

●問い合わせ先:ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク0120-10-1906(フリーダイヤル)www.vancleefarpels.com

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