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ブランドディレクター・山内朋子「“見せない” “出さない”を貫く」|クリエイターたちの快適空間に潜入 vol.9

  • 2021.8.23

ファッションやアートなど、さまざまな分野の表現者たちが作りあげたプライベートルームを拝見。もの選びの基準、色彩へのアプローチ、スペースの捉え方。それぞれが追求する“居心地のよさ”とは?

“見せない” “出さない”を貫く

山内朋子
ブランドディレクター

ルーバー天井から差し込む、光と影のコントラスト。

「季節や時間帯によって、刻々と表情を変えるその様子を眺めるのも愉しみのひとつ」と話すのは山内朋子さん。

2年前に建てた一軒家。白とグレーを基調とした3層構造のスキップフロアは、どこを見回してもギャラリーさながらの凛とした佇まい。

そのミニマルさに温かみを加えているのが、どっしりと存在感のあるファーマーズテーブルだ。家の間取りやしつらいは、すべてこのテーブルを起点に考えたという。

「心がけたのは、大きな家具以外は極力ものを外に出さないこと。レンジやプリンターなどの家電はすべてサイズを測り、専用の収納スペースを確保しました。自宅をアトリエにも使っているため、ものがあふれているとすべてが悪循環に。何もないほうがパッと動き出せるんです。引っ越しの際は〝人生でこれ以上手放したことはない〟というくらいがんばりました。物量を見直したおかげで、器も服も手に入れるときはより慎重に、質を重視して選ぶようになったのもうれしい変化です」

3連の照明の傘は、真鍮素材を黒染めしたあつらえもの。「キッチンにはつり戸棚は作らないと決めていました。結局使わないものを押し込むだけなので」。奥の3段の棚は、山内家で唯一の“見せる収納”。調理家電はコンロ下のスペースに格納。換気扇にも箱形の覆いをつけて目隠しを。

天井高3m40cmのリビングダイニングの主役は〈ザ・コンランショップ〉のファーマーズテーブル。そのテイストにそろえてオーダーメイドしたキャビネットは〈木工ふくなり〉によるもの。シルビア・バタイユの写真作品、益子で作陶する生形由香の花器と植物の緑が、白の世界に映える。〈ピエール・ジャンヌレ〉のチェアは愛犬ベルの特等席。

3階リビングのテレビボードの傍らに、アロマキャンドルのセットがさり気なく。

玄関は段差をなくして広々と。右側のグレーの扉はそれぞれシューズボックスやコート類の収納場所に。背中合わせの反対側はクローゼットになっていて、寝室との仕切りの役割も果たしている。

レオとベル、愛嬌たっぷりの2匹の犬たちはいつでも賑やか。

リビングから2階を臨む。長さ2m40cmのテーブルは朋子さんの仕事スペースでもある。

GINZA2021年7月号掲載

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