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年金手帳が廃止へ…今後の年金の手続きはどう変わる?

  • 2021.8.21

「年金手帳」と言えば、青やオレンジのコンパクトな冊子を思い浮かべる方が多いでしょう。実はこの年金手帳、近年の法改正により今後発行されなくなる予定なのです。年金手帳が亡くなったらその後はどうなるのか、年金関連の手続きにどう影響があるのか解説していきます。

■年金手帳は2022年3月をもって廃止予定

2020年の法改正に「国民年金手帳の見直し」という内容が盛り込まれました。具体的には、従来の「年金手帳の交付」が終了し、代わりに2022年4月からは「基礎年金番号通知書の送付」が行われることになっています。

といっても、すでに年金手帳を持っている方ではなく、2022年4月以降に20歳を迎えるなどして新たに国民年金に加入することになった人が対象です。若い世代では年金手帳を受け取ることがなくなりますので、数年後には新入社員に「年金手帳を提出してください」と言っても伝わらなくなるかもしれません。

今後、年金手帳はなくなっていくことが決まっていますが、新しい体制に慣れるまでのあいだは、従来の年金手帳も引き続き利用できます。今持っている年金手帳がある日突然「無効」になるわけではありませんのでご安心ください。

■年金手帳はなぜ廃止される?

年金手帳は60年以上に渡って国民に交付され続け、年金制度の加入状況の確認、就職時の手続き、年金受け取りの手続きなどに利用されてきました。その年金手帳が今後廃止されるおもな理由は、次の2つです。

・マイナンバーの導入
マイナンバー制度が導入されたことにより、年金手帳に書いてある「基礎年金番号」がわからなくてもマイナンバーさえわかれば情報を照会できるようになりました。また、昔のように手帳に手書きの情報ではなくデータとして管理できるようになったために、わざわざ年金手帳である必要がなくなったのです。

・発行コストの削減
年金手帳は、複数のページがあり表紙もしっかりついた冊子になっているため、発行には相応のコストがかかっています。厚生労働省の発表によると、年金手帳の発行費用は再発行も含め、2016年度の1年間で2.7億円にのぼっています。

対して、今後年金手帳に代わって送付される予定の「基礎年金番号通知書」は、まだ詳細は決まっていませんが「色つきの上質紙」のような書面にするという案が出ています。こちらももちろんコストはかかりますが、紙1枚で済ませられるなら年金手帳に比べれば費用を抑えられるでしょう。

■今後の年金手続きは?

「年金手帳の廃止」などと聞くと、今後の手続きにどんな影響が出るのか気になる方もいるでしょう。

これに関しては、急に大きな影響が出るわけではありません。まず、しばらくは従来の年金手帳も自身の基礎年金番号を証明する書類として有効です。

年金関連の手続きは、従来の年金手帳かマイナンバーがあればできます。2022年4月以降に国民年金に加入する人は、基礎年金番号通知書かマイナンバーを使うことになります。

年金手帳が廃止になっても、従来の年金手帳の切り替え手続きなどは不要です。若い人から年金手帳を所有しないようになり、年数を経るごとにじわじわと「年金手帳派」が減り「基礎年金番号通知書派」が増えていくイメージです。

ちなみに、もし従来の年金手帳を持つ人が2022年4月以降に紛失した場合は、年金手帳の再発行ではなく「基礎年金番号通知書」の発行手続きをする予定です。

■廃止になっても現状が大きく変わるわけではない

長年に渡って年金記録の確認などに利用されてきた年金手帳ですが、その役割を終え、現在は廃止の方向に向かっています。ただ、年金手帳がなくなるからと言ってすぐに何か不便になるとか手続きが必要になるといったことはありません。こうした変化も時代の流れとして受け入れていきましょう。

文・馬場愛梨(ばばえりFP事務所 代表)
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強!銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。AFP資格保有。

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