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想像以上に奥深い、魅惑のインド美容とは?

  • 2021.8.21

ヒント:外側に使うものだけじゃない。

Abhishek Mehta

インドの美容習慣は何千年も大切にされ、世代から世代へと受け継がれてきた。「インドの家庭では伝統が世代を超えて受け継がれます。どの家庭でも、見て学ぶのが当たり前なんですよ」と話すは、ウェルネス&ヘルスの教祖的存在で、ニューヨークの統合・東洋医学医療センター『Juhi Ash Center』創設者のジューヒー・アシュ。「母と祖母は、古くから伝わるアーユルヴェーダの伝統に基づいたシンプルな美容習慣を子供の私に見せてくれました」サンスクリット語で"命の科学"を意味するアーユルヴェーダは、ホリスティックなヒーリングシステム。理想的な健康は心、体、精神で構成されるデリケートなバランスの中にあるという考えに基づいている。そして、この哲学はインド美容のありとあらゆる側面に息づいている。

~UserGI15632746

ホリスティックなアプローチ

「ホリスティックなアーユルヴェーダ医学では、心、体、精神を切り離すものはなく、この3つを同じだけ重視することで幸福が得られると言われています。私たちは栄養管理、ヨガ、瞑想によってストレスを減らします。ご存じの通り、ストレスは顔に出ますからね」とアシュ。アシュいわく西洋と東洋の美に対するアプローチは、"ペースアップするかペースダウンするか"の点で大きく違うという。アーユルヴェーダにおける美は、表面的なものじゃない。そして、少ないほうが豊かである、つまり"レス・イズ・モア"の信念は、食事内容から睡眠時間まで、人生のあらゆる側面に広がっている。「美しさは内面から始まります。よってインドの女性は小さい頃から、肌と髪の健康を促す物、消化に良い物を食べるように教えられます」と話すのは、アーユルヴェーダ・ヘアケアブランド『Shaz & Kiks』共同設立者のキク・チョウドリー。「植物、ハーバルエキス、植物由来のオイルの力で体の外側に栄養を与えるのも、セルフケアの基本です」

Deepak Sethi

自然に根差す

人気急上昇中のターメリックは、その抗炎症作用のために長年インドの食卓で使われてきた。でも、ターメリックには、肌を明るくして色素沈着を防ぐという作用もある。同様に、ココナッツオイルやアムラオイルは、調理だけでなくヘアケア(頭皮の健康維持や保湿)にも用いられ、ローズウォーターは皮膚を柔らかくして明るくする化粧水として使われている。「インド美容には素晴らしい“美の秘訣”が詰まっています。それらは全て、自然に根差したアーユルヴェーダの伝統から来るものです」と話すのは、コスメブランド『Live Tinted』設立者のディーピカ・ムチャラ。「私は、オイルとターメリックの商品を毎日のスキンケアに使っています」多種多様なインド美容に通じるのは、この伝統を大切にする心。「インド美容は一枚岩ではありません。インドは多様性に富んでいます。公用語が22個もあるんですから! その文化的多様性こそがインドをユニークな国にしています。インドの女性は、さまざまな方法で美しさを表現しますが、通常はみな、祖先から受け継がれた伝統をベースにしています」とムチャラ。

Mayur Kakade

また、インドの美容習慣は、この国の文化を象徴する自然と切っても切り離せない関係にある。「インドの文化は昔から自然と深く結びついており、美に関する描写や格言の多くは、現代でも広く知られる歴史的な文献に書かれた自然の事象に例えられています」とチョウドリーは指摘する。「歌、詩、文献には、美しい女性の顔を月に例えたり、目を蓮の花びらに例えたり、長い黒髪を夜に例えたりするフレーズが頻繁に使われます。私たちの文化には何千年もの歴史がありますが、理想の美のコンセプトが何世紀にもわたり受け継がれてきているのは、興味深いことですね」

Nilotpal Dutta / EyeEm

進化を続ける理想の美

でも、植民地化とその影響を理解せずに、インドの歴史と美を語ることはできない。「インドでは、アジアの他の地域と同様、ヨーロッパの美のスタンダードが広く普及しており、陶器のような白い肌のほうが“美しい”と言われることが多いです」と話すムチャラによると、これには1600年代に始まったイギリスによるインドの植民地化が深く関係している。「西洋の美のスタンダードでは、日に焼けた肌が美しく“エロティック”とされていますが、東洋では、インドを全く象徴しない陶器のような白い肌が美の定義になっています」この肌トーンに対する理解は、いまもインドに広く浸透している。これは、米テキサス州ヒューストンで子供時代を過ごしたムチャラの生活にも大きな影響を与えた。「友達はみな肌を小麦色に焼きたくて日光浴をしていましたが、私は違う美の定義を教えられていたので、日光を避けていました。でも、最近はセルフラブと自己受容を促す運動が盛んで、私も積極的に参加しています。過去の出来事により、インド人の大半が持たない肌トーンが美のスタンダードとされていますが、そのスタンダードが崩れる日も近いでしょう」

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