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磯村勇斗さん「初恋は幼稚園。おませだったので、好きな子にはキスも」

  • 2021.8.19
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甘酸っぱい恋、失う悲しみが描かれた物語

――「Summer of 85」はフランス・ノルマンディー地方の海辺で出会ったアレックスとダヴィドという少年同士の恋物語です。「どちらかが先に死んだら、残された方はその墓の上で踊る」という誓いを立てる2人。そして実際に……ダヴィドは交通事故で命を落としてしまいます。

磯村勇斗さん: 冒頭に「死体が生きてたころを知りたくなければ、ここで辞めた方がいい」というセリフがあり、それを伏線にストーリーが展開していきます。引き込まれるつくり方で、フランソワ・オゾン監督はすごいなと思いました。
物語のメインは、アレックスとダヴィドの恋。初々しい、甘酸っぱい感じから始まるけれど、徐々にぶつかり合って、失う悲しみが、アレックスの視点で描かれます。ひと夏の、たった6週間だけの出来事だけど、彼は“人生そのもの”を経験する。僕も、自分の初恋がどんな感じだったか思い出しましたね。

朝日新聞telling,(テリング)

――どんな初恋だったのですか?

磯村: 記憶の中にある最初の恋は幼稚園の時でした。“おませ”だったので、「好き」って気持ちを子どもながらに理解していて。「子どもの“好き”なんて、どうせ大したことない」って思われてしまうかもしれないけど、好きな子にはキスしてました(笑)。でもやっぱり子どもだったから、アレックスの恋とは全然違いましたね。

何かを背負っているようなダヴィドに憧れた

――映画では、アレックスが嫉妬に狂う姿や、愛情の重さにうんざりするダヴィドが描かれています。ご覧になっていかがでしたか?

磯村: アレックスはシャイで内気というか、物静かな青年。一方、ダヴィドは、アクティブでイケイケなお兄さん。すごく対照的な2人ですよね。だから「この2人が、どう触れ合っていくんだろう」と興味を引かれました。「そもそも話題が合うのかな」とか「お互いに自分にないものを持っているからこそ、惹かれ合うのかな」とも思いました。

朝日新聞telling,(テリング)

――磯村さんはアレックスとダヴィド、どちらに近いですか?

磯村: どちらか言うと、ダヴィドですかね。僕は純粋な性格ではないし、シャイでもないので。ダヴィドは闇を抱えていて、危うさがあります。裏がありそうな感じも、また魅力的でした。何かを背負っているような彼の生き方に、憧れのようなものを感じましたね。

――好きなシーンは?

磯村: 2人乗りでバイクを飛ばすシーンですね。尾崎豊の歌の世界のような青春が詰まっている。すごく好きでした。2人とも、最後まで美しかったですね、本当に。

あの瞬間、あの気持ちは、もう二度と手に入らない

――本編を紹介する約2分の動画のナレーションを担当されています。

磯村: 映画のプロモーションで、ナレーションを読ませていただくのは初めてでした。「こういうお仕事もあるのか」と驚きましたね。どう読んだらいいのか、頭の中にクエスチョンマークが浮かびました。声だけだから、演じるのとは表現方法が違いますし。
今回は動画に合わせてアレックスの立場で台本を読むということだったのですが……僕はあえて、その通りにはやりませんでした。アレックスは、やっぱり映画の中のアレックスだけであって、自分が演じてはいけないと思ったから。だから映画を観て感じたものを、声に乗せて読みました。

――「それでも満たされなかった」「あの夏の君を、心に刻んだ」など情熱的なナレーションでした。

磯村: 動画を観た人それぞれに、何か思うところがあると思います。僕の場合は、劇中に出てくるような「映画館デート」をしたことがあって。暗い中、2人横並びでドキドキしながら映画を観るのって特別ですよね。あの瞬間の、あの気持ちって、もう二度と手に入らない。そんなことを思い出すきっかけになるかもしれないです。

朝日新聞telling,(テリング)

どんな人の心にも届く

――最後に、映画の見どころを教えてください。

磯村: 恋をして、ぶつかって、そして失って……という経験って、きっと誰にでもあると思います。中には、相手が亡くなってしまうということも。
本編を観て、つらさを乗り越え、人は成長していくということを感じましたね。アレックスはダヴィドとの約束を通して、前に進むことができた。「大人になるには色々なことを経験しろよ」と言ってくれるような映画です。世代や性別に関係なく、どんな人の心にも届くと思います。

●磯村勇斗さんのプロフィール
1992年、静岡県生まれ。「仮面ライダーゴースト」(2015年、テレ朝系)やNHK続テレビ小説「ひよっこ」(17年)などに出演し18年、ドラマ「今日から俺は!!」(18年、日テレ系)で、第14回コンフィデンスアワード・ドラマ賞新人賞。代表作にドラマ「演じ屋」(21年、WOWWOW)、「サ道2021」(21年、テレ京系)や映画「ヤクザと家族 The Family」(21年)、東京リベンジャーズ(21年)などがある。

■奥 令のプロフィール
1989年、東京生まれ。不登校・高校中退から高卒認定を取得し大学へ。新聞の記者・編集者を経て、2020年3月からtelling,編集部。好きなものは花、猫、美容、散歩、ランニング、料理。

■齋藤大輔のプロフィール
写真家。1982年東京生まれ。東京造形大学卒業後、新聞社などでのアシスタントを経て2009年よりフリーランス。コマーシャルフォトグラファーとしての仕事のかたわら、都市を主題とした写真作品の制作を続けている。

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