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尾道で学ぶ|大人のワクワク。尾道自由大学で好きを見つける

  • 2021.8.16

趣味でもなんでもいい。ワクワクする新しいことを大人になってから初めることはその後の人生の充実度を大きく左右する。そこで東京のクリエイティブワーカーにおすすめしたいのが、尾道自由大学の講義だ。面白い講師や仲間の出会いから多様な生き方に出会える。

自由大学とは、メインキャンパスを東京・表参道のCOMMUNE内に構え、生き方や働き方を軸に講義を展開する学びの場だ。 “先生でない、先生たち”、つまり、教育や制度の枠組みにとらわれない自由な講師陣が講義を行うのが他にはない魅力である。

尾道の未来を考える会社「ディスカバーリンクせとうち」が尾道自由大学を開学したのは2013年のこと。開講当時は受講生の半数以上が都市部や近隣の県からであったが、今では自分らしい趣味を持ちたいという地元の人たちの参加が増えているという。尾道エリアに住む人と近隣の県民たちが混ざり合う講義の場では、大人になって学ぶことの大切さや生き方の選択肢が見つかる。

尾道自由大学の講義の企画を担当する高野哲成さん。Harumari Inc.

エキスパートたちの暗黙知を感じる講義

どんなジャンルでもカラダに染み込んでいる学びは、人に会って話を聞くことがベースにある。動画や本、WEBの記事だけでは分からない、その人が身にまとう雰囲気や話し方を感じながら、人の価値観や経験、感動を見聞きする。それによって暗黙知を学べるのだ。カラダと心で感じたその空気こそ、学びで最も重要な情報だといえるだろう。近頃は、ZoomなどのWEB会議が普及しつつあるが、会うことで得られる情報が、パーソナリティやその人の価値観を理解するうえで大事なことだと気づかされる。

「自分に身についている学びとは、そのことを『いいな』と思ったり、自分が好きな人からの影響が大きい気がします」と話すのは、尾道自由大学の企画を担当する高野哲成さん。尾道自由大学は、東京の自由大学と比べると、実践的な知識を学ぶ講義が少ない。それより、講師陣のバックグラウンドや価値観、経験などをどうやったら伝えられるか考えながら講義を企画しており、まさにここではカラダと心で感じる学びを提供している。

「たとえば、グラフィックデザイナー出身の飯野登起子さんは、親としてコドモにご飯を作る“日常の仕事”と生業であるグラフィックデザインを掛け合わせて『盛り付けデザイン学』という講義を開講しています。東京の自由大学の講義では“料理の盛り付け”なのでテクニック的な話が多いのですが、尾道ではもっと彼女の背景を大事にしています。地元の農家さんをゲストに呼んで彼女が普段関わっているコミュニティを見せながら行う講義は、受講生たちにより飯野さんのパーソナリティを届けられると感じています」(高野さん)

このような講義のつくり方にも、人のつながりやコミュニケーションを大切にする尾道人らしさが表れている。これまでの取材のなかで尾道の人たちと話していて感じたのは、自分自身のバックグラウンドに誇りを持ちながら生きているということ。自分がこれまでやってきたことをちゃんと語れるからこそ、個が際立ち、誰とでも対等な関係が築けるのだ。

高野さんのPCには、尾道にまつわるさまざまなイベントや団体のステッカーが貼ってある。Harumari Inc.

指針となる人を見つけることで人生が開ける

さらに、仕事も勉強も趣味においてもいえることだが、何かを学ぶ際、ただ知識がある人に教えてもらうよりも、そのことが大好きな人から学んだ方がより身につきやすい。その理由は、そのことだけでなく相手に興味を持てるから。その点で、自由大学の講師には、好奇心に火がついて“好き”を極めることに長けたエキスパートが揃っている。

講師陣の好きなことを追求する力や人間性に興味を持てたなら、学びとの向き合い方も変わるはずだ。

「やっぱり、リスペクトできる人と仲良くなって教えてもらうことで学ぶことが一番ですよね。自由大学では立場上は、先生と受講生に分かれますけど、お互いにリスペクトして親しめる関係を築いていける環境があります。僕の場合はそういう人に出会えるのが遅かったんですよ。じゃあ『それはなんでだろう』と考えたときに、やっぱり出会いの数が少なかったのかなと思っています。だからこそ、自由大学を出会いの場にして、いろんな人と出会って尊敬できる師匠を見つけてほしい」(高野さん)

高野さんもそうだが尾道の人は、人との出会いを大事にしていることがわかる。さまざまな異なる職種かつ年齢の参加者が揃う講義では、考え方も多種多様。成長意欲の高いメンバーたちと楽しい時間を共有することができるだろう。

尾道自由大学は2018 年よりONOMICHI SHAREを拠点に活動をしている。Harumari Inc.

自分で人生を決めるという生き方を学ぶ

尾道自由大学の講義に参加すると、どんな講義に参加しても共通して教えてもらえることがある。それは、「自分の人生を自分で決める」ということ。「アドベンチャー神社学」や「盛り付けデザイン学」、「ディープな草むしり学」など、学問的に分類できないエンターテインメントに富んだ講義は、講師陣が自分の好きなことを追求して突き詰めた結果、生まれたものだ。彼らが好きなことを選択している様子を身近で見ることは、東京へ戻ったときの選択においての指針となる。自分にとって何が生きがいで喜びなのかを選択するだけで暮らしの質が変わってくる。

「尾道自由大学の校長である中村真さんをはじめ、教授陣を見ていて常々思うのが、興味とか好奇心の連続が、その人そのものを作っていると思うんです。だからこそ大人になっても、面白いことを面白がれることが大切だと思います」(高野さん)

こどもの頃、夢中で遊んでいたように、好きなことなら夢中になれる。どんなことでも“面白がれる”精神は大人にこそ必要で、それが毎日を充実させる。変化を好み、人生にチャレンジし続ける人が多い尾道で学ぶからこそ、妙に説得力がある。

取材協力:尾道自由大学
写真:もろんのん
取材・文:羽賀まり奈(Harumari TOKYO編集部)

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