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素敵な発見がたくさん! 園芸ショップ探訪26 新潟『「道の駅」庭園の郷 保内』

  • 2021.8.15
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ひと口に園芸店といっても、今やさまざまなスタイルのショップがあります。それぞれの個性が色濃く反映されたこだわりの空間は、ガーデニングのセンスを磨ける最高の場所。今回は、造園・植木・ガーデニングを楽しめる『「道の駅」庭園の郷 保内』を訪ねました。

庭園・植木の文化の魅力を 発信する道の駅

新潟と言えば日本有数の米どころ、三条と言えば金物、そしてここ保内(ほない)は植木の産地として古くから発展してきました。そんな特徴があることから、ここでは「見て、触れる」ことで、造園や植木、ガーデニングに親しみ、楽しむことができる道の駅として、地域の人々に愛されています。

「道の駅」庭園の郷 保内
(*)

『「道の駅」庭園の郷 保内』は、今から5年前の2016年にオープンし、翌年に道の駅として登録されたショップです。地域の新鮮な特産物や野菜と並行して、植木や花苗、資材等を販売しています。

「道の駅」庭園の郷 保内

正面玄関を入って左側のエリアと屋外に設けられているのは、たくさんの植物と資材が並ぶ、園芸コーナー。明るく陽が入る建物内は、まるで温室のような雰囲気です。植物は地域の出荷業者が自信たっぷりに納めたもので、こまめに苗をチェックしに来ていることもあり、常に生き生きとして新鮮な状態で並んでいます。

「道の駅」庭園の郷 保内

大きなガラス張りのエリアの外は、季節の花や草木が並ぶ苗売り場。壁や屋根に使われた温かみのある木材ややわらかな光を照らす頭上のライトが、心地よい空間を演出しています。

「道の駅」庭園の郷 保内

大きくせり出した屋根の下は天候に左右されずに買い物ができ、ワークショップが定期的に催されています。一番人気のワークショップは寄せ植え講座で、用意された苗を植える初心者コースや、花を選ぶところから指導してくれるステップアップコースなど、お客様の要望に合わせて対応しています。

「道の駅」庭園の郷 保内 苔玉
左/特別な場所に飾りたくなる、おしゃれな雑木の苔玉。苔玉づくり講座も大人気。右/シンプルな素焼き鉢だけでなく、個性的な鉢も扱っている。

こだわりのガーデニングツールで 作業効率をアップさせよう

ここ三条市は隣の燕市と併せて日本最大の金属製品の産地です。それだけに、ガーデニングツールがホームセンター以上に揃う資材コーナーは必見。初心者から専門家、そして子どものための多種多様の金物のツールがずらりと並んでいます。

「道の駅」庭園の郷 保内の金物
「道の駅」庭園の郷 保内の金物
クワ、フォーク、鎌(上)、ハサミやノコギリ(下)など、どれも数種類ずつ並んでいるので、自分が使いやすいサイズや用途に合わせて選んで。

ここに並ぶ金物は、三条の工場で作られたものを厳選して紹介しています。たくさんあるなかでも特にガーデニング向けのこだわりアイテムは、初心者ガーデナーにも選び取りやすいようにテーブルの上に並べられています。

「道の駅」庭園の郷 保内のはさみ
ハサミ職人の平孝行さんや小林製鋏さんたちが作った、機能美を備えたハサミの数々。選ぶのに迷ったら、スタッフに気軽に声をかけてみて。
「道の駅」庭園の郷 保内

刃物や農具、鋳物などのガーデニング資材の多くが、三条で作られています。花首や長い茎を支える支柱や、プランターをハンギングするためのフックなど、ガーデニングでお役立ちのアイテムがたくさん。造園用の根巻や幹巻き用の資材も並んでいるので、眺めているだけで楽しく、勉強にもなります。

「道の駅」庭園の郷 保内の帽子

心地よく作業するための、ガーデニングライフをサポートしてくれるアイテムも充実しています。なかでも売り上げがよいのが、首を覆う布がついた色とりどりの作業帽。お手頃な値段なので、洗い替え用やその時の気分に合わせてかぶれるよう、いくつか揃えてみても。頭を覆う部分は、麦わらのものと布地のものなどがあります。お好みで選んで。

「道の駅」庭園の郷 保内

隣の加茂市は日本有数のニットの産地。ここでは、ガーデニング時にあると便利なものを扱っています。人気商品は、ふんわりと足首をカバーしてくれる足首ウォーマー(左)と、引き締め効果が高くてゴムがずれにくく、5本指で血行を促進する丈夫な靴下(右)。

「道の駅」庭園の郷 保内 バスケット

ここのイチオシの一つが、ビニールヒモを編んで作ったベトナム製のバスケット。ガーデニンググッズや野菜の買い出しなど、さまざまなシーンで使えます。洗えるのも嬉しいポイント。カラフルで大きさも数種類あるので、選ぶのに迷ってしまいそう。

ガーデニングライフにあると便利なおしゃれな雑貨類も揃い、ホームセンターをしのぐ品揃えを誇る、驚きの道の駅です。

道の駅ならではの おいしいものコーナー

天井が高く解放感にあふれ、明るく心地良い屋内の売り場は築5年。今年2021年初めに一部がリフォームされ、ますます買い物がしやすくなりました。ここには、ほかの道の駅同様、周辺の農家から採れた旬の野菜をはじめ、ここでしか手に入らない地場農産物も並んでいます。

「道の駅」庭園の郷 保内
地元の木をふんだんに使った、ぬくもりあふれる建物。冷暖房完備なので、冬場も一日中訪れる人が絶えない。
【ショップおすすめコーナー】
「道の駅」庭園の郷 保内
右/朝採りの野菜。なくなりそうになると、近くの農家さんが補充に来ることも。左/米どころらしく、いろいろなせんべいが山積みになっている。
「道の駅」庭園の郷 保内
左/新潟と言えば日本酒。新潟の日本酒や地ビールなど50種類以上、手軽に飲めるワンカップは30種類以上と、美味な逸品が豊富に揃っている。ラベルを眺めているだけで楽しい。右/新潟の特産品の枝豆も、せんべいやあられなどに加工され、お土産にぴったりの商品に。夏は野菜コーナーで販売されている、フレッシュな弥彦枝豆を試してみて。

今年のリニューアルオープン時に設けられたのが、子どもたちを遊ばせながら、大人がくつろぐことができるプレイスペース。子育て世代が楽しめるようにという配慮が、盛り込まれています。

「道の駅」庭園の郷 保内

子どもたちが喜んで登るという、木箱を積んだジャングルジム。まわりの大きな植物は、プラントハンター・西畠清順氏が主宰する‘そら植物園’によるもので、異国情緒を漂わす大きな植物が展示販売されています。冬場は室内でも氷点下になることもある新潟ですが、ここでも丈夫に育つように、比較的耐寒性のある種類が、あらかじめ寒さに慣らされて搬入されています。今後、西畠氏による海外の植木選びや演出法、現地の状況などについてのトークショーや講座などを催す予定もあります。

「道の駅」庭園の郷 保内
左/木のブロックの中には、造園や園芸、フラワーアレンジなど、植物にまつわる本がたくさん入っており、自由に読むことができる。右/誰もが休むことができるベンチでは、ここで購入したものや、一角にある‘こもれびカフェ’で販売しているフルーツサンドやジェラートをいただくことができる。
「道の駅」庭園の郷 保内
西畠氏おすすめの植物が並ぶ、地中海のような雰囲気漂うテラス。ここのテーブル席でも飲食が可能。

庭のことならなんでもお任せ! 頼もしい面子が勢ぞろい

建物の前には、広大な庭園と植物見本園が広がります。その広さなんと約30,000㎡。庭園には道の駅が提案する風景が見られ、見本園には保内の植木職人たちがすすめる植物や庭の提案がたっぷり盛り込まれています。

「道の駅」庭園の郷 保内
植木職人として活躍する保内の植木職人たちを紹介する、まるで映画の告知のような粋なポスター。
「道の駅」庭園の郷 保内
(上写真*)

植木屋それぞれの持ちスペースで、おすすめの植物を使いながら、独自の風景を作っています。ここに植えられているものは、大きい物でも根巻やポット植えのものなので買うことができ、頼めば庭に植えてもらうことも可能。

「道の駅」庭園の郷 保内
職人さんが立っていることもあるので、分からないことは遠慮なく相談してみて。
「道の駅」庭園の郷 保内
今、人気の植木はアオダモ。さらさらとした葉がさわやかな印象(左)。果物や実がなる花木の苗も並んでいる(中・右)。
保内五葉松

上写真は、300年ほど前から大切に育てられてきた、‘保内五葉松’。葉が青白く光り、美しいグラデーションを見せることから、‘霜降り五葉松’とも呼ばれています。季節で微妙な葉色の移ろいが楽しめる‘保内五葉松’。一見の価値あり。

見本園の奥で、赤いパラソルが目を引くのは、道の駅自慢のイタリアンレストラン「パスタとピザの店・base(バーゼ)」。ここでは、地元で採れた野菜をふんだんに使ったジャパニーズイタリアンレストランで、パスタ、ピザ、ラザニアなどのメニューがあります。

「道の駅」庭園の郷 保内
「道の駅」庭園の郷 保内
テラス席ではペット同伴が可能。のびやかに広がる美しい庭を眺めながらいただきましょう。(下写真*)

女性駅長とスタッフによる 庭の提案コーナーも注目

レストランのさらに奥に広がるのは、道の駅が提案するハーブガーデンやキッズガーデン。「キッチンガーデンは、くまのプーさんに出てくるラビットの畑をイメージしているんです。キッズガーデンは、オランダのカラフルで楽しいガーデンを意識してつくっていますが、こちらは、まだこれから力を入れていく場所なんです」と、道の駅・駅長の加藤はと子さん。

「道の駅」庭園の郷 保内
キッチンガーデンを囲む木の柵には、赤いベリーがたわわに実り、奥のコーナーへの期待感を高めていた。

加藤さんはもともと三条市の産業振興のイベントを成功に導いたという、凄腕の女性駅長さん。パワフルでありながらも朗らかな人柄も魅力です。そんな加藤さんはもともとガーデニングにも興味があり、当初より就任しているここの駅長職は、まさに適任。「対外的なことも多い駅長仕事の合間に庭のことを考えています。庭づくりだけに専念したいぐらい、ガーデンにいるのは気持ちがいいですね」と加藤さん。

「道の駅」庭園の郷 保内
「道の駅」庭園の郷 保内
ペイントしたタイヤを大きなコンテナにかぶせて作った、キノコを模したコンテナが並ぶ、キッズガーデン。これは庭のメンテナンススタッフのアイデアによるもの。赤いキノコには多肉植物、青いキノコには食虫植物が植わっている。
「道の駅」庭園の郷 保内
車椅子や立ったままで眺めることができるなど、お年寄りや身体の不自由な方が体に負担かけずに楽しめる「ユニバーサルガーデン」。腰高のコンテナには、ラベンダーやワイルドストロベリーなどのハーブと、彩り豊かな季節の草花が植わっている。

ここは、「造園・植木の振興」だけでなく、「文化の交流の場・子育てを応援する場の提供」など、地域貢献を強く意識している注目度の高い道の駅。2019年、国土交通省により「地域活性の拠点となり優れた役割を担う、‘重点道の駅’」に認定されました。

「道の駅」庭園の郷 保内

レストランの裏手には、子ども連れのお母さんがゆっくりイタリアンレストランの食事をしたり、セミナーやワークショプの開催など、さまざまな用途で利用できる和室(レンタルスペース)が設けられています。(1時間1部屋、500円(税込)、9~21時の間に利用可)。

「道の駅」庭園の郷 保内
イベントなどで使用するPR用のトラックも、かっこよくて見もの。

「植物に親しみ、地元の食を味わう」をテーマに設立された『「道の駅」庭園の郷 保内』。幅広い年齢層がゆったりと楽しめる、ユニバーサルなスポットです。ぜひ訪れてみて下さい。アクセスは、北陸自動車道・三条燕ICから約20分。JR信越本線「保内駅」から徒歩約20分。

【GARDEN DATA】

『「道の駅」庭園の郷 保内』

新潟県三条市下保内4035番地
TEL :0256-38-7276

営業時間:9:00~18:00

定休日:12月31日~1月2日(その他臨時休業あり)

写真協力(*)/庭園の郷 保内

Credit

写真&文/井上園子
ガーデニングを専門としたライター、エディター。一級造園施工管理技士。恵泉女学園短期大学園芸生活学科卒。造園会社、園芸店を経て園芸雑誌・書籍の編集者に。おもな担当書に『リーフハンドブック(監修:荻原範雄)』『刺激的ガーデンプランツブック(著:太田敦雄)』『GARDEN SOILの庭づくり&植物図鑑(著:田口勇・片岡邦子)』など。自身もガーデニングを楽しみながら、美術鑑賞や旅行を趣味にする。植物を知っていると、美術も旅も楽しみの幅が広がりますね。

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