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AAAMYYYさんニューアルバム『Annihilation』についてインタビュー。Vol.2意外すぎる、音楽のルーツ

  • 2021.8.14

Tempalayのメンバーとして活動するほか、様々なアーティストに楽曲提供をするなど、多彩な才能を発揮しているシンガーソングライター、トラックメイカー、AAAMYYYさん。2021年8月18日に自身のセカンドフルアルバム『Annihilation』をリリースします。そんな彼女の魅力に迫るべく、ニューアルバムのことや、音楽に関心を持つようになった少女時代や留学時代のこと、そして猫を愛する素顔まで3回にわけてたっぷりインタビュー。2回目はカナダ留学時代のお話から。1回目のインタビューはこちら

――「キャビンアテンダントになりたくて」バンクーバーに留学なさったわけですが。

私はもともとスポーツを結構やっていて。スピードスケートとかバレーボールとか陸上とか、いろんなスポーツを経験しているんです。それで、留学したときも体を動かしたいというところから、「アグレッシブローラーブレーディング」というのをやってたんです。それは、ローラーブレードを履いて高いところを滑るとか、ランプをいくとか、トリックをキメる系のやつなんですが、それを現地のコミュニティでやってたんです。

――ストリート系の?

そうです。その中で、じゃあ、今日はこのスケートパークでこのトリックをキメよう、それをフィルムに収めてビデオクリップにしよう、とか、そういう文化があって。その映像につけるBGMがGorillazとかテーム・インパラとか、そういった音楽だったんです。それで、海外のインディーズシーンを初めて知って、カッコイイ! となったのが、音楽作りのキッカケなんです。じゃあ、自分でもクリップ用に何か曲を作ってみようかなあって。それで音楽制作アプリ「Garage Band」で始めるようになって。で、帰国してから本格的にやるようになって。ていうか、いろんなところに行きすぎてますよね、私。もともとの夢はCAだったはずなのに、スポーツしたり音楽したり(笑)。

――一見、バラバラに感じますが、それらがAAAMYYYさんの中で見事に合体し、ワンアンドオンリーな音楽になっているというか。

意外とつながるんです。不思議なことに。

――じゃあ、ファッションについてはどうですか? AAAMYYYさんはとっても個性的でファッショナブルな存在。いつ頃ファッションに目覚めましたか?

最初は全然興味なかった。田舎出身ですし、極端なことを言えば、「着られるものがあればそれでいい」という(笑)。

――出身は長野県でしたよね?

長野県佐久市のレタス産業が盛んな村です。だから、洋服は、ジャスコやしまむらで買い、雑誌は『nicola』を読む、みたいな(笑)。どこにでもいる田舎の子。それで、大学で東京に出てきましたが、CAを目指していたので、かなりコンサバティブな服を着ていたんです。ハイヒールを履いて、きれいめ、っていう。

――意外です(笑)。

だから、そういうファッションでカナダに行ったら、まったく馴染まず浮きました(笑)。やっぱり、いろんな意味で身の丈に合ったファッションというか、その環境に合った服をみんな着ているんです。本当のおしゃれとはこういうことなんだなって。そこからは一気にストリート系(笑)。ヒールをまったく履かなくなり、スニーカー派になって。ジーンズを初めて買ったのもそのタイミング。日本に帰ってきてから、Tempalayに出会ったりして、よりそういうファッションに興味を持つようになりました。

――カナダへ行ったのは何歳ぐらいの頃ですか?

大学3年のときですから、ちょうど二十歳の頃でした。

――カナダで音楽を作るようになり、帰国してから本格的に始められて。どこで発表をしていたんですか?ネット上ですか?

ネットだったりライブハウスでだったり。最初、私はもうひとりの女の子と一緒にユニットをやってたんです。カナダから帰ってきてから友達になった人。そもそも、高校の親友がメロコアやロックが好きな女の子で。その子がバンドやっていたので、たまに観に行ったり、物販の手伝いをしたりしていて、それがキッカケで出会ったんです。

――でも、エイミーさんの音楽はジャンル的にはエレクトロニカ。ちょっと世界が違うような気もします。

というか、バンドではあんまり使わないシンセサイザーを使ってみたという、反抗期がそうさせたというか(笑)。カナダでインディーズシーンに触れるようになってわかったのは、ヴィンテージシンセなどをしっかり使ってる楽曲が多いこと。真逆なんです。対極だなあと。自分がやるんだったらシンセサイザーだなって。

――ちなみに、英語が達者なのに、歌詞に英語がそれほど出てきませんよね。

実は、前身のバンドがずっと英語だったんです。伝わらなくて。日本語にしてからいろんな人に受け止めてもらえるようになった。そういう実感があって。

――詞は大事ですよね。内側から出てくる反骨精神みたいなものも感じるから日本語のほうがくるものがやっぱりありますよね。

去年1年で自分を省みる時間がすごくあったので、私の音楽のルーツはどこにあるのか、どうしてこういう音楽になったのか、自分なりに分析してみたんです。もちろん、カナダで出会ったインディーズの影響はひとつあるんですが、それ以外のものも大きい。そこで思ったのは、自意識が生まれる前の影響が強いのでは、と。

――それはつまり?

聴こうと思って聴いてなかった、無意識に耳に入って馴染んでいた音楽。例えば、おじいちゃんおばあちゃんが聴いていた演歌、観ていた「歌謡ショー」。母親が聴いていた松任谷由実さん。あと、父親が昔ブルースバンドをやっていたので、井上陽水さんとか、そういった曲も。おそらく、そういうものに幼少期に触れていたから、大人になって、自分の根底にあるものを落とし込んだときに、そういうものがにじみ出るのかなって。そういうことは思いました。

――面白い分析ですね。ユーミンさんや陽水さんというのはわかる気がするのですが、演歌も(笑)。

「歌謡ショー」に出ている演歌歌手の方々はだいたい聴いています。例えば、都はるみさん、天童よしみさん、五木ひろしさん、八代亜紀さん、藤あや子さん……。

――紅白歌合戦的な(笑)。

大好きなんです、実は(笑)。田舎なのでみなさん来てくださって「歌謡ショー」をやってくれるんです。

――観に行ってたんですか?

ちっちゃい頃はおじいちゃんおばあちゃんと一緒によく行ってました。

――それはつまり「五木ひろしショー」的なことですよね?

そうですそうです。だから、思春期になり、そういう音楽は興味ないって態度を取っていても実はよく知ってるぞっていう(笑)。体に染み込んでるんです。だから私の曲の中にも、これはもしや! っていうものがあると思うんです。

――もしや五木ひろしの影響が!

あるかもしれません(笑)。

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